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第十章 されど幸せな日々
105 遊んでもいい 成人
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大人たちは、静かにご飯を食べた。静かにお酒を飲んでいた。去年は、あちらこちらで話す声が聞こえていたのだけれど、今年はとても静かだ。
子ども達は去年と変わらず、あ、お花の人参入ってる、とか、これ美味しい、って喋っていた。でも、あら、いいね、とか、良かったねえ、って答える大人の声はなんだか小さくて、すぐに部屋の中は静かになった。
去年の集まりの時と同じように、大人用の食べ物とは別に、子ども用の食べ物が並べられていた。俺の前にも、子どもと同じものが置かれた。これも、去年と同じ。俺は大人だけれど、食べられる量があまり多くないので子ども用がぴったりなんだ。子ども用を置いてくれて良かった。
少しずつおかずが出てきて、最後に汁物やご飯が出てくる形じゃなくて、最初から全部並んでいるのもいい。お腹いっぱいになってから好きな食べ物が出てくると、食べられなくてがっかりしちゃうから。だからって、後から出てくる食べ物のことを考えながら食べていると、先に出てきた好きな食べ物をどのくらい食べていいのか分からなくなっちゃう。少しずつ出てくる形は食べ方も難しい。
最初から全部並べておいてくれると、好きな物を少しずつ食べられていい。茶碗蒸しも汁物も、蓋を開けて冷ましておけるし、ばっちり。
周りを見ると、子ども達は俺と同じように蓋を開けて茶碗蒸しを置いていて、熱すぎるものが苦手なの一緒だな、って嬉しくなった。大人になると、熱いものも食べられるようになるのかもしれない。俺は、食べることだけはまだ子ども用だから、熱いのが苦手なんだ。きっとそうだ。大人用の食事ができる頃には、茶碗蒸しの蓋を開けてすぐにすくって食べているのかもしれない。緋色みたいにね。
「兄上! 俺、あ、ええっと私、食べ終わった! 遊ぼう」
美味しいな、って思いながらもくもくと食べていたら、見可の元気な声が聞こえた。早いなあ。見可は、少しくらい熱い食べ物も、あちっ、あちって言いながら食べるもんな。よく噛んで食べなさい、とか、お口にたくさん入れすぎないんだよ、ってよく言われている。分かった、ってちゃんとお返事はするけれど、ぱくぱくとすごい速さで食べる。それで、食べ方は綺麗なんだからすごい。
「見可、早いよ。まだ皆食べ終わっていない。それに……」
灯可はあまり大きくない声で見可に答えて、朱可をそっと見上げた。灯可も、結構熱いものが食べられるから食事は早くて、もうほとんど終わりかけている。去年は一番に食べ終わって、俺を遊びに誘ってくれたなあ。
「遊んでも、よろしいのですか?」
「もちろんだよ」
「あの、いつも通りに?」
「ああ、もちろんだ」
灯可は、ほっとした顔をして、朱可は優しく笑った。
「灯可。今日も福笑いするの?」
ちゃんと作っても面白い顔になるあれ。俺の得意なやつ。
「成人さま」
灯可は、俺が話しかけると、やっとにっこり笑った。
「します。でも、福笑いは成人さまが上手すぎて勝てないので、今日はかるたとすごろくも持ってきたんです。かるたとすごろくは、そう簡単に負けませんよ」
おお。また新しい遊びだ。楽しみ!
子ども達は去年と変わらず、あ、お花の人参入ってる、とか、これ美味しい、って喋っていた。でも、あら、いいね、とか、良かったねえ、って答える大人の声はなんだか小さくて、すぐに部屋の中は静かになった。
去年の集まりの時と同じように、大人用の食べ物とは別に、子ども用の食べ物が並べられていた。俺の前にも、子どもと同じものが置かれた。これも、去年と同じ。俺は大人だけれど、食べられる量があまり多くないので子ども用がぴったりなんだ。子ども用を置いてくれて良かった。
少しずつおかずが出てきて、最後に汁物やご飯が出てくる形じゃなくて、最初から全部並んでいるのもいい。お腹いっぱいになってから好きな食べ物が出てくると、食べられなくてがっかりしちゃうから。だからって、後から出てくる食べ物のことを考えながら食べていると、先に出てきた好きな食べ物をどのくらい食べていいのか分からなくなっちゃう。少しずつ出てくる形は食べ方も難しい。
最初から全部並べておいてくれると、好きな物を少しずつ食べられていい。茶碗蒸しも汁物も、蓋を開けて冷ましておけるし、ばっちり。
周りを見ると、子ども達は俺と同じように蓋を開けて茶碗蒸しを置いていて、熱すぎるものが苦手なの一緒だな、って嬉しくなった。大人になると、熱いものも食べられるようになるのかもしれない。俺は、食べることだけはまだ子ども用だから、熱いのが苦手なんだ。きっとそうだ。大人用の食事ができる頃には、茶碗蒸しの蓋を開けてすぐにすくって食べているのかもしれない。緋色みたいにね。
「兄上! 俺、あ、ええっと私、食べ終わった! 遊ぼう」
美味しいな、って思いながらもくもくと食べていたら、見可の元気な声が聞こえた。早いなあ。見可は、少しくらい熱い食べ物も、あちっ、あちって言いながら食べるもんな。よく噛んで食べなさい、とか、お口にたくさん入れすぎないんだよ、ってよく言われている。分かった、ってちゃんとお返事はするけれど、ぱくぱくとすごい速さで食べる。それで、食べ方は綺麗なんだからすごい。
「見可、早いよ。まだ皆食べ終わっていない。それに……」
灯可はあまり大きくない声で見可に答えて、朱可をそっと見上げた。灯可も、結構熱いものが食べられるから食事は早くて、もうほとんど終わりかけている。去年は一番に食べ終わって、俺を遊びに誘ってくれたなあ。
「遊んでも、よろしいのですか?」
「もちろんだよ」
「あの、いつも通りに?」
「ああ、もちろんだ」
灯可は、ほっとした顔をして、朱可は優しく笑った。
「灯可。今日も福笑いするの?」
ちゃんと作っても面白い顔になるあれ。俺の得意なやつ。
「成人さま」
灯可は、俺が話しかけると、やっとにっこり笑った。
「します。でも、福笑いは成人さまが上手すぎて勝てないので、今日はかるたとすごろくも持ってきたんです。かるたとすごろくは、そう簡単に負けませんよ」
おお。また新しい遊びだ。楽しみ!
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