聖女の力を姉に譲渡し国を出て行った元聖女は実は賢者でした~隣国の後宮で自重せずに生きていこうと思います~

高井繭来

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そして全能神は愉快犯となった

【163話】

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 運動の後の食事は美味しい。
 これは万国共通である。
 まぁ運動の内容が内容なので胸を張って言えないが。
 でも内風呂で綺麗に体を磨いたので許してい頂きたい。

 それにしても外で2人で入る露天風呂は良かった。
 ルークは思い出す。

 明るい所で見るサイヒの裸体は芸術品の様だった。
 とても2人も子供がいるようには見えない。
 しかも子供は既に成人済みだ。
 年を取らない神様と言うのは人間にとっては憧れを抱かせるものだ。
 
 1番脂がのった頃、と言うには年若いサイヒだが十分に魅力的な女性だ。
 いや、まだ17歳だから少女と言った方が正しいのだが。
 だがサイヒには女性と言う言葉がしっくりくる。
 中身が成熟しているからだろうか?

 それに比べてルークは何処かあどけない。
 子供の頃の不遇を全て取り返すかのように、サイヒの愛を貪っている。
 サイヒがルークを溺愛していなかったらとっくに見放されていただろう。

 そうならないのはお互いの存在が遺伝子レベルで最高に相性が良いのが大きい。

 嫌がらせをしようとして最強のカップルを作った前全能神は哀れな奴である。
 【全知全能】と呼ばれた古代種。
 サイヒは決して彼を忘れる事は無いだろう。
 遺伝子を操作し魔王であるルークと愛し合いながらも殺し合いをさせようとした、ある意味もう1人の親。
 お前のお陰で私は楽しく伴侶と末永く生きるぞ、有難う童貞のまま死んでいったお父様…と言った感じだ。
 最後までユラに操を立てた点だけは美徳と見てやっても良いかも知れない。

「サイヒ、この魚美味しいぞ、ほらあーん」

「ん、んまいな」

 同じ食事をあーんさせる意味はあるのだろうか…?

 本日のお品書き
 料理長特選・山海の幸会席
 【主なメニュー一例】
 ●大人夕食(会場食)
 肉汁滴るジューシーな『福島県内産和牛料理』
 上品な味わいが引き立つ『季節を巡る、焼き物』
 季節ごとに厳選した、新鮮『お刺身4種盛り』など

 天界でも海の幸も山の幸も手に入るが、やはり旅行先で食べる食事と言うのは別格である。
 しかも部屋に運ばれる上げ膳据え膳。
 食べている間、誰の邪魔が入ることも無い。

 普段から最高のシェフにしてパティシエにして侍女のマロンの食事を食べなれているサイヒでも思わず舌鼓をうってしまう。
 ルークからのあーんもスパイスか?
 普段、2人きりでこんな風に部屋で食事をとることなどない。
 シチュエーションも最高のスパイスらしい。
 
 どうやらサイヒは己で思っているより浮かれていたようだ。
 目の前にはご馳走と、ご馳走を差し出してくるご馳走(ルーク)。
 どんなに好き勝手しても怒られない。
 愚痴を言うクオンは居ないし、吐血の掃除もしなくて良い。
 まぁ掃除をするのは使用人だが…。

「今度クオンとマロンにも旅行をプレゼントするか」

「そうだな、2人ともきっと喜ぶ!サイヒは優しいな!!」

 ニッコニコのルークの笑顔を1週間独占できるのだ。
 それくらいにはサイヒの心も広くなる。

「そう言えばルークは布団で寝るのは初めてか?」

「ベッド以外で寝るのは初めてだ」

「布団は1組で良いと仲居に伝えるか?」

「そ、ソレは…恥ずかしいから伝えないで良い………」

 目の前に真っ赤に熟れたルークの照れ顔。
 確かなご馳走だ。
 まぁ使用したら1組しか使ってないのはバレるのだが、ソレは言わないでいてやるのがサイヒの優しさだった。
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