聖女の力を姉に譲渡し国を出て行った元聖女は実は賢者でした~隣国の後宮で自重せずに生きていこうと思います~

高井繭来

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そして全能神は愉快犯となった

【188話】

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「ソレイユ様は何に興味がありますか?」

 カマラが訪ねる。
 実際良い案だと思う。
 天界には色々なスキルを持った者が多くいる。
 地上の比ではない。
 天界で学べるのならソレイユは自分の身を護る術も身に着けられるだろう。

 カマラの中にソレイユに護られるという選択肢は無かった。

 何せ神術使い。
 剣術は『剣聖』の称号が与えられる程の腕前。
 何が来ても負ける気はしない。
 
 まぁ母親相手に勝てる気はしないが。
 アレは化け物なので除外する。
 基本皆そうしている。
 未だにサイヒを越えようと鍛錬しているクオンはいっそ珍獣扱いである。
 まぁクオンの頑張りを応援してリる者も多いが。
 クオンには男女問わずファンが多いのである。

 全能神に負けて欲しいわけでは無いが、日常振り回されている身の者からすれば、誰かが一矢報いてくれたら少しはスカッとするかもな~くらいは考えちゃう時がある。
 頑張れ王宮勤めの者たちよ。
 多分そんな日は来ない。
 ソレを分かっていてもクオンは応援したいのは判官びいきと言うやつだろうか?
 特に普段クオンに世話になっている者は願っている。
 騎士団員とか文官とかその他諸々。
 
 こうも一矢報いて欲しいなんて思われるトップも珍しい。
 それだけ皆が振り回されているのだろう。

 既にカマラは母親に勝とうなどと言う気はない。
 まぁ密かにクオンを応援している一員ではあるが。

「剣術を習うならクオンさんが良いと思いますソレイユ様」

「剣術、かぁ…どうせなら傷を癒したりできるようになりたいですね、カマラさんはすぐ自分の身を顧みないで傷を作ってくるから」

「う、それは済みません。でも妊娠してからは危ない事はしていないですよ?」

「うん、カマラさんのお腹には僕たちの愛の結晶が宿っているんだもんね。自分も子供も大切にして下さいね。2人とも僕の宝物なんですから」

「ハイ、タイセツニシマス………」

 ソレイユの言葉にカマラは赤くなって片言になる。
 随分と女になってから純情になったものだ。
 男の姿をして女を誘惑していた過去が嘘のようである。

「でも宰相が剣を携えるというのも……」

 そうソレイユは宰相となった。
 ライトニングが皇帝となってから、片腕としてその聡い頭脳をフル活用しているのだ。
 それでいて性格が穏やかなので外交などにも向いてる。
 部下からも慕われていて、愛する美しい妻との間に子も設けて、今まさに順風満帆なのであった。

「素手ならドラジュだな。婿殿は魔力も法力も少ないから闘気を身に着けるのが良いだろう。今のドラジュはお前より強いぞカマラ」

 ニヤリとサイヒが笑う。
 相変わらずの壮絶な色香を放つ笑みである。
 娘のカマラでも少し圧倒される。

「ではドラジュさんにお頼みしたいですね、良いですかお義母さん?」

 その色香にあてられないのがソレイユなのである。
 サイヒの周りの妻や恋人を持つ者はサイヒの色香にあてられない。
 だからこうしてサイヒも大切にする。
 素で付き合える相手がどれだけ貴重か分かっているのだ。
 そう言う意味ではカマラは最良の物件を引き当てた事になる。

「うむ、ドラジュに話を通しておこう。それと回復に興味があるならマロンの調合スキルも教わっておくのも良いかもな、娘の婿だ。特別に私の専属侍女も貸し出そう」

「それは有難いです!有難うございますお義母さん!これで僕も少しはカマラさんたちを護ることが出来ますね」

 にこやかな笑顔をソレイユが浮かべる。
 カマラはその笑顔に見惚れる。
 昔はあんなに内気だったのに、いつの間にか頼れる男に成長した。
 ソレイユは武術など身につけなくても、ポーションの調合が出来なくても、何時だってカマラの心を護っていてくれているのだ。
 どれだけカマラがソレイユに護れているか、ソレイユが1番気付いていない。

「あ、カマラさんの里帰りの期間伸ばしてもらえるようにライトニング様に報告しないと!」

「それなら私が報告に行こう。久しぶりにルーシュと愛犬にも会いたいしな」

 どちらかと言うと報告がオマケであろう。
 サイヒはルーシュとアンドュアイスと過ごす時間が大好きなのである。
 ルークが居なければサイヒの中での優先順位はこの2人がトップであっただろう。
 クオンとマロンは別枠である。
 世の中比べられないモノも存在するのだ。

「何から何まで有難うございますお義母さん」

「良い良い、婿殿は鍛錬と勉学に励んでくれ。それとウチの娘をよろしく頼む」

「はい、何よりもカマラさんを優先します」

「だからそう言うところですよソレイユ様………」

 真っ赤になったカマラの呟きはソレイユには聞こえなかったそうだ。
 まぁサイヒはばっちり鼓膜と網膜に我が子の愛らしい姿を焼き付けてはいたのだが、それに気付いた者は存在しなかった。
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