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そして全能神は愉快犯となった
【189話】
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「そんな訳で私の愛娘が可愛い」
「惚気るな惚気るな全能神」
ガフティラベル帝国王宮の上皇后のサロンである。
今は人は下がらせているので茶を淹れもてなすのはルーシュの役目だ。
と言うか、ルーシュはこの心友に茶を淹れて貰った記憶がない。
【全知全能】の能力を使えば茶くらい美味しいものが己で淹れれるであろうに。
サイヒは己で茶を淹れる事を嫌う。
(まぁそう言う所がこいつの甘えたな所なんだよね~)
流石は心友。
サイヒの事をよく理解している。
多分未だに恋に溺れている伴侶のルークよりも、未だに尊敬し敬愛する専属侍女のマロンよりもルーシュはサイヒを理解しているであろう。
だからこその心友だ。
もう1人だけ居る心友もその辺りは同じようなものである。
そうサイヒは意外に甘えたなのである。
何でも自分で出来てしまうため人の手が要らない。
人を煩わせることも無い。
聖女だった頃も、宦官(仮)であった頃も、全能神になってもサイヒは何時でも己1人で立つことが出来る。
サイヒはその圧倒的な能力と存在感で他者の力を必要としない。
そして誰もが敬い敬愛を捧げる。
己の下に就こうとする者にサイヒは心情をさらけ出せない。
だから己を敬わないルーシュとクオンがお気に入りなのである。
アンドュアイス?
あれは保護犬なので枠外である。
サイヒが無条件で可愛がる己の子以外の例外だ。
「で、お前は惚気に来たの?それとも寂しくて来たの?」
「両方だ、うん、茶が上手いな。マロンには負けるが」
「マロンちゃんは家事力がカンストしてるから別格なの!これでも聖女付きの自助したことあるし、皇妃になるため上流階級の御持て成しのマナーとか訓練してるんだから、私だってそれなりの茶は淹れれるんだかんな」
「うむ、ちゃんと美味い。合格点だ」
「お前何様…あ~全能神様だったね」
「敬って良いぞ?」
「敬いませんよ~だ」
そんな事したら傷つく癖に、とルーシュは知っている。
心友が自分を敬い出したらサイヒは手酷く傷つくだろう。
その傷を誰にも見せずに。
だから自分だけはこの孤高の生き物と対等であろうとルーシュは思う。
そう思ってしまっている時点で己もこの存在に骨抜きにされているのを心の隅に隠しながら。
「で、ライトニングにソレイユ君のこと伝えておけばいい訳なんね?」
「うむ、頼む。今日はルークもアンドュも居ないしお前の部屋でパジャマパーティーといこうではないか」
「働け働け全能神」
「大丈夫だ3日分の仕事は終わらせた」
「パジャマパーティーのため張り切ったなお前」
「お前がマロンと2人で私を置いてパジャマパーティーをした事を恨んでいる訳では無い」
「いや、無茶苦茶根に持ってるじゃん!何年前の話だよソレ!?」
「20数年だな」
「引きずるなオイ全能神、大人げないぞ…………?」
「私の精神は何時でも17歳のぴちぴちの頃から変わらん。見た目もそうだが」
「どうせ私は普通の人間何で老けてきましたよーだ!!」
「怒るな、魔力が強い分常人よりは全然若く見えるぞ。安心しろ」
「お前が17歳で止まってるから嫌でも外見年齢の差を感じずにはいられんのよ!少しは老けろ!」
「無茶を言うな。全能神は年を取らん、魔王とその眷属もだが。お前も全能神の眷属にならないか?今なら若返り不老の上処遇改善費も出るからお得だぞ?」
何処ぞの鬼のようにさらっと勧誘をする全能神。
全能神自ら勧誘とは待遇が良すぎる、が。
「いや、スカウトすんな。私は人としてアンドュアイス様と添い遂げるって決めてるんだかんな」
「アンドゥは年をとっても可愛さが減らんな」
「そうソレ!毎日骨抜きにされて困るんだが!何とかしろ全能神!」
「可愛いは正義だ。私の保護犬が毎日可愛くて嬉しい」
「お前ほんとにアンドュ様好きなんね!」
「妬くな妬くな、お前も好きだぞルーシュ?」
「そう言うとこ!友達なくさないように気をつけろよお前!」
「大丈夫だ心友は私を裏切らない」
(だからそう言う所だってんの!思わずクラッと来るんよ私だって!!)
それを表に出さないのはルーシュの優しさだ。
だからルーシュは全能神の心友なんてやっていられるのだ。
因みにルークとアンドュアイスが居ないのは外交の為だ。
人間の国の、ではない。
本日は妖精界に行っている。
本来は全能神のサイヒの役目だが、それは彼方のお偉いさんに辞退されている。
妖精女王は全能神様に骨抜きにされて夢中なのである。
外交が外交にならない。
精霊界、巨人界でも同じだ。
トップがサイヒに骨抜きにされているので話にならない。
サイヒとしても誘惑してくる輩は相手にしたく無いのでwinwinだ。
なのでルークとアンドュアイスが外交に赴いている訳である。
天然2人だと心配が残るが、ちゃんとクオンとマロンを伴って行ったので大丈夫だろう。
クオンは卒なく仕事がこなせる有望な人材であるし、マロンは実家が商人なんだけあって商談が得意なのだ。
それでいて話し上手。
クオンの堅苦しすぎるところはマロンが上手く解すだろう。
有能な夫婦である。
全能神と魔王が手元に置きたくなるのも当然の人材だ。
手元に置いてるのはソレが理由ではないが。
ただ単に2人の事が好ましいから傍に置いているだけだ。
ソレを知るのは本当に全能神に近い者だけであろう。
例えば今お茶をしているルーシュとかだ。
(結局寂しい時には私の所に来るんだよなコイツ。まぁ、ソレが嫌でない時点で私も私だ)
寂しがりの全能神はルーシュの1番の得意お菓子であるレモンケーキを嬉しそうに頬張っていた。
味が特段美味しい訳では無いだろう。
マロンから手ほどきを受けたレモンケーキはそれなりの美味しさの自信はあるが、宮廷料理人やミシュニャンの星付きのパティシエに比べれば素朴過ぎる味だと思うのだが。
「中々美味いぞ」
(アンドュ様もお前も私の事好き過ぎでしょーて)
分かりやすい好意の表現に、ルーシュはむず痒くなりながら緩んだ頬を誤魔化すためにカップに口をつけるのだった。
茶の出来も勿論合格点である。
今日のパジャマパーティーは何を作ろうか?
そんな事考えている時点でルーシュもサイヒの事が好きすぎるのだが、ソレを表に出さない術はもう極めておるので、サイヒ専用のポーカーフェイスで寂しがりの全能神の相手をしてやることを決めるのであった。
「惚気るな惚気るな全能神」
ガフティラベル帝国王宮の上皇后のサロンである。
今は人は下がらせているので茶を淹れもてなすのはルーシュの役目だ。
と言うか、ルーシュはこの心友に茶を淹れて貰った記憶がない。
【全知全能】の能力を使えば茶くらい美味しいものが己で淹れれるであろうに。
サイヒは己で茶を淹れる事を嫌う。
(まぁそう言う所がこいつの甘えたな所なんだよね~)
流石は心友。
サイヒの事をよく理解している。
多分未だに恋に溺れている伴侶のルークよりも、未だに尊敬し敬愛する専属侍女のマロンよりもルーシュはサイヒを理解しているであろう。
だからこその心友だ。
もう1人だけ居る心友もその辺りは同じようなものである。
そうサイヒは意外に甘えたなのである。
何でも自分で出来てしまうため人の手が要らない。
人を煩わせることも無い。
聖女だった頃も、宦官(仮)であった頃も、全能神になってもサイヒは何時でも己1人で立つことが出来る。
サイヒはその圧倒的な能力と存在感で他者の力を必要としない。
そして誰もが敬い敬愛を捧げる。
己の下に就こうとする者にサイヒは心情をさらけ出せない。
だから己を敬わないルーシュとクオンがお気に入りなのである。
アンドュアイス?
あれは保護犬なので枠外である。
サイヒが無条件で可愛がる己の子以外の例外だ。
「で、お前は惚気に来たの?それとも寂しくて来たの?」
「両方だ、うん、茶が上手いな。マロンには負けるが」
「マロンちゃんは家事力がカンストしてるから別格なの!これでも聖女付きの自助したことあるし、皇妃になるため上流階級の御持て成しのマナーとか訓練してるんだから、私だってそれなりの茶は淹れれるんだかんな」
「うむ、ちゃんと美味い。合格点だ」
「お前何様…あ~全能神様だったね」
「敬って良いぞ?」
「敬いませんよ~だ」
そんな事したら傷つく癖に、とルーシュは知っている。
心友が自分を敬い出したらサイヒは手酷く傷つくだろう。
その傷を誰にも見せずに。
だから自分だけはこの孤高の生き物と対等であろうとルーシュは思う。
そう思ってしまっている時点で己もこの存在に骨抜きにされているのを心の隅に隠しながら。
「で、ライトニングにソレイユ君のこと伝えておけばいい訳なんね?」
「うむ、頼む。今日はルークもアンドュも居ないしお前の部屋でパジャマパーティーといこうではないか」
「働け働け全能神」
「大丈夫だ3日分の仕事は終わらせた」
「パジャマパーティーのため張り切ったなお前」
「お前がマロンと2人で私を置いてパジャマパーティーをした事を恨んでいる訳では無い」
「いや、無茶苦茶根に持ってるじゃん!何年前の話だよソレ!?」
「20数年だな」
「引きずるなオイ全能神、大人げないぞ…………?」
「私の精神は何時でも17歳のぴちぴちの頃から変わらん。見た目もそうだが」
「どうせ私は普通の人間何で老けてきましたよーだ!!」
「怒るな、魔力が強い分常人よりは全然若く見えるぞ。安心しろ」
「お前が17歳で止まってるから嫌でも外見年齢の差を感じずにはいられんのよ!少しは老けろ!」
「無茶を言うな。全能神は年を取らん、魔王とその眷属もだが。お前も全能神の眷属にならないか?今なら若返り不老の上処遇改善費も出るからお得だぞ?」
何処ぞの鬼のようにさらっと勧誘をする全能神。
全能神自ら勧誘とは待遇が良すぎる、が。
「いや、スカウトすんな。私は人としてアンドュアイス様と添い遂げるって決めてるんだかんな」
「アンドゥは年をとっても可愛さが減らんな」
「そうソレ!毎日骨抜きにされて困るんだが!何とかしろ全能神!」
「可愛いは正義だ。私の保護犬が毎日可愛くて嬉しい」
「お前ほんとにアンドュ様好きなんね!」
「妬くな妬くな、お前も好きだぞルーシュ?」
「そう言うとこ!友達なくさないように気をつけろよお前!」
「大丈夫だ心友は私を裏切らない」
(だからそう言う所だってんの!思わずクラッと来るんよ私だって!!)
それを表に出さないのはルーシュの優しさだ。
だからルーシュは全能神の心友なんてやっていられるのだ。
因みにルークとアンドュアイスが居ないのは外交の為だ。
人間の国の、ではない。
本日は妖精界に行っている。
本来は全能神のサイヒの役目だが、それは彼方のお偉いさんに辞退されている。
妖精女王は全能神様に骨抜きにされて夢中なのである。
外交が外交にならない。
精霊界、巨人界でも同じだ。
トップがサイヒに骨抜きにされているので話にならない。
サイヒとしても誘惑してくる輩は相手にしたく無いのでwinwinだ。
なのでルークとアンドュアイスが外交に赴いている訳である。
天然2人だと心配が残るが、ちゃんとクオンとマロンを伴って行ったので大丈夫だろう。
クオンは卒なく仕事がこなせる有望な人材であるし、マロンは実家が商人なんだけあって商談が得意なのだ。
それでいて話し上手。
クオンの堅苦しすぎるところはマロンが上手く解すだろう。
有能な夫婦である。
全能神と魔王が手元に置きたくなるのも当然の人材だ。
手元に置いてるのはソレが理由ではないが。
ただ単に2人の事が好ましいから傍に置いているだけだ。
ソレを知るのは本当に全能神に近い者だけであろう。
例えば今お茶をしているルーシュとかだ。
(結局寂しい時には私の所に来るんだよなコイツ。まぁ、ソレが嫌でない時点で私も私だ)
寂しがりの全能神はルーシュの1番の得意お菓子であるレモンケーキを嬉しそうに頬張っていた。
味が特段美味しい訳では無いだろう。
マロンから手ほどきを受けたレモンケーキはそれなりの美味しさの自信はあるが、宮廷料理人やミシュニャンの星付きのパティシエに比べれば素朴過ぎる味だと思うのだが。
「中々美味いぞ」
(アンドュ様もお前も私の事好き過ぎでしょーて)
分かりやすい好意の表現に、ルーシュはむず痒くなりながら緩んだ頬を誤魔化すためにカップに口をつけるのだった。
茶の出来も勿論合格点である。
今日のパジャマパーティーは何を作ろうか?
そんな事考えている時点でルーシュもサイヒの事が好きすぎるのだが、ソレを表に出さない術はもう極めておるので、サイヒ専用のポーカーフェイスで寂しがりの全能神の相手をしてやることを決めるのであった。
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