男として育てられた公爵家の令嬢は聖女の侍女として第2の人生を歩み始めましたー友人経由で何故か帝国の王子にアプローチされておりますー

高井繭来

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「40階到ー着!」

 リュックタイプのマジックバックには魔物から強奪した金銀財宝がしこたま詰め込まれている。
 やはりこの行為は強盗では無いだろうか?
 ルインは思った。

「40回が最下層じゃないってことはこのダンジョン相当深いな」

「腕が鳴るのじゃ」

「の、前にランチタイムね」

「戦闘狂の上に食いしん坊。主殿、後2年で王妃教育間に合うのかえ?」

「う”っ頑張る」

 眼が泳いでいる。
 相当に自信がないらしい。
 アンドュアイスはルーシュにはのびのびして欲しいので王妃としての仕事で束縛はしたくないのだが、何せ帝国に嫁ぐのだ。
 大陸1の大帝国の王妃だ。
 嫁に出す方の立場からしたら恥をかかす訳にはいけないのでルーシュの特訓にも精が出ると言うモノだ。
 性別を抜きにすればちゃんと公爵家に育っただけあってマナーは意外と完璧だったりする。
 だが騎士をしていた為に政にはさっぱりなのだ。
 分からない所が分からない。
 勉強でも良くある奴だ。
 簡単に言うとルーシュは既に詰んでいる。
 本当に後2年でどうにかなるのだろうか…。

「ま、まぁ取り合えず飯食べようよルインさん」

「メニューは?」

「シスターハナベーグル」

「フレイムアーチャはアホしか居ないのじゃ」

「私だって買いたくないよ?でもコレが1番携帯食に向いている上に栄養満点で美味しい訳よ!ダンジョンに潜るんだから、この際プライドは捨てて来た訳ね!」

 ルインの言葉にルーシュが必死に弁解する。
 だが確かに美味しそうなベーグルだ。

 まずはビアリーベーグル。
 甘めのかぼちゃ餡入りで生地はサクッと軽め。
 ビアリーは茹でずに焼いたベーグルなので食感が通常のベーグルとはだいぶ違う。

 モキュモキュモキュ

 食べる手が止まらない。

 次にいちじくクルミベーグル。
 バリッと皮がクリスピーなのが特徴。
 イチジクとクルミの香ばしさが最高。

 そしてシナモンレーズンベーグル。
 ツヤッ、ピカッなこのお肌、むっちりした生地、で10代のお肌のような若々しさがある。
 酵母の生地で粉の甘みも素晴らしい。

「確かに美味いのじゃ」

「うん、どんどんレパートリー増えるし美味しくなるんだよね…シスターハナシリーズ………。あ、でもサイヒが今は全能神だから教会で作るのは間違いではない、のか?」

「難しい所なのじゃ…まさかあの時は神になるなぞ妾も想像して無かったのじゃ……」

「そしてルインさんに悲報、食べた後は水分補給もしっかりと!シスターハナドリンクねん」

「遂に飲み物にまで!?」

「でもコレ飲みやすいのよ。成分が汗と一緒らしくて甘み合ってほんのり酸っぱみあってグイグイ飲める上に疲れがとれる」

「ん~アルコールで無いのは残念じゃが、コレは確かに疲れた体に優しいのじゃ」

 所謂スポーツドリンクである。
 現在フレイムアーチャの王宮の騎士や兵士たちも愛飲している。
 運動の後はしっかり水分取らないと脱水症状になる。
 このドリンクを飲み始めたら倒れる兵も減った。
 まさに教会様様。
 シスターハナ様様なのだ。
 神のご加護って素晴らしい。

「さて、夕食には戻りたいから飛ばしますかルインさん!」

「了解なのじゃ!」

 元気満点でダンジョンの最下層69階までを踏破し、この日ルーシュは見事ダンジョンの記録を塗り破った。
 たんまり質の良い魔鉱石も取れて、後は誰にどう魔鉱石の加工を頼むかと言う問題だけが残された。
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