男として育てられた公爵家の令嬢は聖女の侍女として第2の人生を歩み始めましたー友人経由で何故か帝国の王子にアプローチされておりますー

高井繭来

文字の大きさ
72 / 109
本編で語られなかったイチャラブ事情

68

しおりを挟む
「助けてサイエモ――――ンッ!!!」

 フレイムアーチャの侯爵武家”ドラゴニア公爵家”に声が響いた。
 勿論ルーシュの部屋からである。

「いい加減その呼び方は止めんか?」

 ゲシッと背中を蹴られた。
 背中を蹴るまでが様式美である。
 そしてお馴染みの背中に付いた足跡。
 今回はブーツだったので何時もよりヒールの分痛かった。

「サイヒーッ助けてくれよ―――――っ!」

「良いではないかお泊り旅行。ついに大人の階段を登る時が来たか?」

「お前やっぱり覗いてたんね!?」

「たまたま見えただけだ、気にするな」

「そのたまたまの回数が多すぎない?」

「全能神は世界中に気を配らないといけないからな。そしてたまたたまお前とアンドュがじゃれてるところに出くわすだけだ。カカンは風呂文化が良いぞ?たっぷり肌を磨いて三つ指ついてアンドュをベッドの上で待つが良い」

 今日もサイエモンは意地悪である。
 可愛い子ほど虐めたい。
 全能神も心友の前では年相応の女の子だ。
 なんて言ってもまだ18歳。
 心友と絡むときくらい素でいたいのだ。
 そしてルーシュはサイヒに魅了されないから素で居れる希少な存在である。
 なので虐めながらもちゃんと協力はしてやるのがサイヒのスタンスである。

「まぁ私から姉上に話を通して王宮の書庫に入れるようにしてやろう。大聖女の伴侶の書いた魔導書もちゃんとあるぞ。因みに内容はここ1000年でもトップクラスに高位知識だ」

「マジで?サンキューサイヒ!」

(と言うか書物の内容を把握している私が手を貸したら次元移動の術くらい授けてやるのだが、楽しそうなので放っておいてみよう)

「何かお前楽しそうじゃね?」

「いやいや故郷を思い出して愉悦に浸っているだけだ。そう言えばまだルークをカカンに連れて行ってなかったな、今度連れて行ってやるとしよう。ルークは花も好きだから喜ぶであろうな」

「じゃぁ4人で旅行しよう!そうしよう!」

「お前アンドュと2人きりになりたくないだけだろ」

「え、いや、その、な………」

「嘘をつくことに向いてないな。私はルークとイチャイチャしたいから例え心友でも愛犬でもその時間の妨げになるものはいらんぞ?お前らもイチャイチャしたら良いではないか」

「そんな!アンドュ様とイチャイチャなんて…心臓が潰れる………」

「その時は蘇生してやるから安心してイチャイチャしたら良い」

 ヴェー、とルーシュが唸る。
 追い詰められた珍獣のような鳴き声だとサイヒは思った。
 面白いから口には出さないが。

「下着はちゃんと新品をは着けていくことだな。男と女の2人旅、何かが起こるやもしれんからな」

「何もねーよ!寧ろ無さ過ぎてこっちが困ってんのよ!!」

「ではイイ機会ではないか。頑張ってアンドュを誘惑するんだな。カカンはそう言う雰囲気になりたいなら最高の国だぞ。
花は咲き乱れてるし、食べ物も美味しい、風呂も充実、と新婚旅行先NO1の国だからな」

「………アンドュ様、そう言う雰囲気になるのかな私で?」

 あれだけ愛を囁かれ続けてまだ自分に自信のないルーシュである。
 まぁアンドュアイスの過去が過去だけにルーシュが一歩踏み出す勇気がないのは仕方ない。
 相手は生粋の女嫌いなのだ。
 ルーシュ、サイヒ、ドラゴニア家の皆さま、そしてサイヒの寵愛を受けている女の子は別枠らしいが。
 その中でもルーシュは本当の本当に特別なのだが、お子ちゃまなルーシュはまだ気付かない。

「まぁアンドュは肉欲が殆どないからそう言う事には発展せんかもしれんが、良い雰囲気は作れると思うぞ?16歳ならキス位はしても早すぎではないだろう。お休みのキスをするくらいには進展があると良いな」

「サイエモンが割と真面目な事言ってる………」

「姉上に話を通すのは止めておこうか?あぁん?」

「すんませんでした――――っ!!!」

 見事な土下座であったと後にサイヒは語ったのだった。
 婚前旅行が上手くいくかどうか、全てはルーシュの方にかかっているようである。
しおりを挟む
感想 197

あなたにおすすめの小説

『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』

夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」 教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。 ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。 王命による“形式結婚”。 夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。 だから、はい、離婚。勝手に。 白い結婚だったので、勝手に離婚しました。 何か問題あります?

『働いたら負けだと思ったので、何もしなかったら勝手に勝ちました』

ふわふわ
恋愛
王太子から一方的に婚約を破棄された公爵令嬢、 ファワーリス・シグナス。 理由は単純。 「何もしようとしない女だから」。 ……だが彼女は、反論もしなければ、復讐もしない。 泣き叫ぶことも、見返そうと努力することもなく、 ただ静かに言う。 ――「何をする必要が?」 彼女は何もしない。 問題が起きれば専門家が対処すべきであり、 素人が善意で口出しする方が、かえって傷口を広げると知っているから。 婚約破棄の後、 周囲は勝手に騒ぎ、勝手に動き、勝手に自滅し、 勝手に問題を解決していく。 彼女がしたことは、 ・責任を引き受けない ・期待に応えない ・象徴にならない ・巻き込まれない ――ただそれだけ。 それでも世界は、 彼女を基準にし、 彼女を利用しようとし、 最後には「選ぼう」とする。 だがファワーリスは、 そのすべてを静かに拒み続ける。 働いたら負け。 何もしないのが勝ち。 何も背負わず、何も奪わず、何も失わない。 「何もしない」という選択を貫いた令嬢が手にしたのは、 誰にも邪魔されない、完全な自由だった。 これは、 戦わず、争わず、努力もせず、 それでも最後に“勝ってしまった” 一人の令嬢の、静かなざまぁ物語。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

婚約破棄から50年後

あんど もあ
ファンタジー
王立学園の卒業パーティーで、王子が婚約者に婚約破棄を宣言した。王子は真に愛する女性と結ばれ、めでたしめでたし。 そして50年後、王子の孫の王子は、婚約破棄された女性の孫と婚約する事に。そこで明かされた婚約破棄の真実とは。

転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。 毎日19時に更新予定です。

好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】

皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」 「っ――――!!」 「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」 クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。 ****** ・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。

最愛の番に殺された獣王妃

望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。 彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。 手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。 聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。 哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて―― 突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……? 「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」 謎の人物の言葉に、私が選択したのは――

王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!

gacchi(がっち)
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ? 王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。 国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから! 12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。

処理中です...