好きな人と結婚出来ない俺に、姉が言った

しがついつか

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羨ましい

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ジョージは自分の道を進む姉を、密かに羨んでいた。

だからだろう。
サンドウィッチを平らげたジョージの口から、頭の片隅でいつも思っていた言葉が零れ出た。


「――姉さんは良いよな…自分の好きに出来て…」


言ってからジョージはハッとするが、一度口から出た言葉は取り消せない。

内心焦るジョージを一瞥すると、カップを置いたカレンが口を開いた。



「貴方が塞ぎ込んでいるのは、好きな人と結婚出来ないことが原因かしら?」


カレンはわかった上で問いかけている。

弟が平民の娘との結婚を望んでいること。そして父から反対されたこと。
母がジョージの婚約者を選定中であり、そのことに彼が焦り始めたということも、カレンは知っていた。



「――父上に反対された…」
「でしょうね」


ジョージは俯く。


「私がお父様だとしても、まず反対するわよ。ただ金品を貢いで貰おうとしているだけかもしれないし、ジョージの身分をわかった上で近づいて我が家を乗っ取るつもりかもしれないのだから」
「違う!彼女はそんなことをしない!」


ジョージは姉の言葉をすぐさま否定した。


「マリはそんなことをしない!
 マリは俺の身分を知らないし、今までだって彼女から俺に何かを強請る事なんて一度も無かった!
 俺が贈ったのは平民街で買った花やお菓子ばかりだけど、どれも嬉しそうに受け取ってくれて…。
 少し値の張るアクセサリーなんかは『買って貰うんじゃ意味が無い。欲しいものは給料を貯めて自分で買うんだ』って言ってたんだ」


そんな彼女が金目当てでジョージと付き合っているはずがない。
やや噛みつくように訴えた彼に、カレンは呆れたようにため息を吐く。


「まあ、それはそうでしょうね。彼女が無害であることはとっくに調べが付いているわ。
 もし財産目当てや我が家を陥れるために貴方に近づいたのなら、お父様がとっくに対処しているもの」
「――え…?」

「あのねぇ、ジョージ。あなたはグレイキャット伯爵家の次期当主となるのよ。
 素行の悪い者が当主になれると思う?
 変な輩と付き合って悪事を働くようなことになったらいけないから、貴方の人付き合いについてはすべてお父様に報告されているのよ。
 怪しい人物がいた場合は、貴方に害が及ぶ前にすべて処理しているの。
 少し関わることがあったけど、しばらくすると会わなくなったような人に思い当たる節はないかしら?
 ――ああ、もちろん私の人間関係についても逐一報告されているわよ。貴方よりは少し緩いかもしれないけど」



ジョージが彼女と今も会えるのは、彼女が無害だという証なのだ。

「ジョージが彼女と付き合うことにお父様が口を出さなかったのは、相手の人間性に問題が無いことがわかったからよ。
 借金があるわけでもなく、彼女の家族にもとりわけ大きな問題があるわけでもない。
 だから静観していたの。貴方がどうするのかを見極めるためにね」


姉の話を聞き、ジョージはぽかんとした表情を浮かべる。


(全然知らなかった…)


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