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ユーリは最悪な人物と出会ってしまいました。
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「ミー君、もうすぐだよ? もうすぐで、母様に会えるんだ!」
ミー君の背に乗ったヨナリウスは、声を弾ませて話しかけた。
もうすぐ母であるユーリに会える高揚感が隠しきれず、その声はいつにも増して明るい。
ミー君は、首に巻いたオレンジ色のリボンを風になびかせながらヨナリウスの声を聞くと、スピードを緩めることなく前へ前へと進んでいく。
空はオレンジ色に染まり、次第に光を失っていく。
夕暮れの光が石畳を朱に染め、街道の先には次第に大きく、頑丈そうな城門がその姿を現した。
そしてもう一人。
馬に乗り、ミー君の後ろを追っている者がいた。
コンラッドである。
「ヨナリウスの母君とは、どのような人物なのだろうか……」
ダンジョン内にいた頃、怪我をした部下に差し出した“薬入りのペンダント”を見て、ヨナリウスが口にした言葉が――コンラッドは気になっていた。
――五年前。
ユリアーナが、まだ公爵邸に来たばかりの頃。
あの頃の自分は……身代わり、などという言葉では足りない。
自分の世界を丸ごと背負おうとした彼女に、冷たい態度を取ることしかできなかった。
(何故、自分のためにそこまで?)
(死ぬまでずっと、苦しむことになるというのに……)
(自分の代わりに、そんなことをする義理など、君にはないというのに……)
他の者たちは、自分の屋敷の者や兄の家族、そしてその腹心の部下たち以外は、自分を忌み嫌い、恐れ、近くにいるだけで嫌な顔をして、逃げるように去っていく。
呪いは、ある条件下でしか発動しないというのに……。
兄の生母は、自分が側妃であるがゆえに、正妃の子であるコンラッドではなく、兄――現国王が呪いの器に選ばれたことに納得がいかなかった。
そして、ある条件下で見事その呪いをコンラッドへ移したのだ。
そう。
自分の魂と、正妃の魂を代償にして――。
その代償として母を亡くしたコンラッドは、「皇室の呪い」を受け継いだために公爵となり、王位継承権を剥奪された。
それからは、誰もが一歩引いた。
近くにいるだけで空気が硬くなり、会話が途切れ、視線だけが逃げていった。
そんな扱いを受け、他の誰かに呪いを移さない限り、二十歳で死ぬということを、彼は受け入れていた。
だからこそ剣術に心血を注ぎ、魔物が出れば率先して討伐に向かった。
呪われた自分の義務なのだと、そう心の中で言い聞かせながら。
そんな殺伐とした日々の中。
二十歳の誕生日まであと三ヶ月というところで――。
彼女の実家が、自分の呪いを引き受けると打診してきたのだ。
(何故、会ったこともない自分のために?)
納得がいかず、直接会いに行った。
そこには――。
(こんなにも儚げで美しい女性が、自分のために?)
信じられなかった。
「問題ありませんわ。家と国の意向ですもの。」
本当にいいのかと確認するたび、彼女は同じ返答を繰り返す。
一見、投げやりな言葉にもとれる。
しかし彼女の目は――その美しいアメジスト色に輝く瞳は、死に急いでいるというよりも、何か希望を見いだしているような、そんな眩しい光を宿していた。
彼女は怯えていない。
(この呪いから逃れられた者は、千年の間一人もいないというのに……)
……それが、たまらなく腹立たしくて、眩しかった。
自分の命を粗末にしないでほしいのだと、心から願った。
だからこそ、結婚式を終えたすぐあと、逃げ出すように魔物討伐へと飛び出した。
それなのに……。
「怪我をしたときに、使ってくださいね。」
「首から下げていれば邪魔にならないし、なくさないでしょう?」
そう言われて渡された、塗り薬の入ったペンダントだった。
(君にもらった物だ。なくすわけがないだろう……)
失くした瞬間、彼女がこの世から消える気がして――怖かった。
コンラッドは、ユリアーナが自分の身を案じて渡してくれた塗り薬と毒消しの薬を、まるでお守りのように首から下げ、肌身離さず持っていた。
それを見たヨナリウスが、コンラッドに言ったのだ。
「それ、母様の薬入れによく似ているね。」
と。
――そして現在。
城門が近づくにつれ、風が強くなり、馬の吐息が白くかすんだ。
コンラッドは手綱を握り直し、ヨナリウスへ視線を向ける。
「ヨナの母君は……薬を作るのか?」
ミー君の背の荷に腰かけているせいか、ヨナの目線は馬上のコンラッドとほとんど変わらない。
声も届く距離だった。
「うん。いろんな薬草を育てているんだよ。それで作るの。とってもよく効くって、辺境伯領でも大人気なんだ!」
ヨナは「えへん」と自慢げに、小さな胸を思いきり張りながら言った。
「そういえば、ミー君はジェントワームだよな? 母君は、その薬草をミー君のもので育てているのか?」
「うん、そうだよ。辺境伯様のお屋敷ではミー君、そしてウィルの家ではズー君のものを使って、薬草を育てているんだって、母様が言ってた。」
(ん? ミー君とズー君? はて……どこかで聞いたような……)
コンラッドは以前、ターニャから話を聞いていたはずだったのだが……。
(思い出せない)
五年前に聞いた話は、すでに記憶の彼方へと消えてしまっているようだった。
「私の屋敷にも、ミートさんというジェントワームがいてな。妻の残した薬草を、ミートさんのもので育てているんだよ。」
コンラッドの言葉に、ヨナリウスは「はて?」と首をかしげた。
(あれ? ミートさんって、どこかで聞いたような……)
これも以前、ユーリはヨナリウスに説明していたはずである。
ミー君とズー君の母親が、ミートさんであるということを。
(でも、思い出せないや)
しかしヨナリウスもコンラッド同様、すぐに思考を放棄した。
母様に会ったら聞けばいいや――。
そう頭を切り替えたのだ。
もうすぐユーリに会えるうれしさが、思い出すことよりも優先されてしまった結果である。
「そこでお願いがあるんだが。ヨナの母君に、薬草の栽培についていろいろと教えてもらいたいと思うのだが……お願いできないだろうか?」
「どうかしたの?」
ヨナリウスは不思議そうに、コンラッドをまっすぐに見た。
「実は、その薬草栽培がなかなかうまくいかなくてな。いろいろ教えてもらえると、とても助かるのだが。」
コンラッドは言葉を選びながら、慎重にヨナリウスにお願いをした。
ヨナリウスは母様のことになると、途端に不機嫌になり、慎重になるからだ。
しかし――。
もうすぐ母様に会える喜びが勝るのか、ヨナリウスはその頼み事に対し、警戒心を一切見せなかった。
「うん、いいよ。母様に聞いてみるね?」
ヨナは機嫌よく返事をしてくれた。
――それが、この後ユーリを追い込むことになるとも知らずに。
コンラッドは、ヨナの母君に会うのを少しだけ楽しみにしていた。
(もしかしたら、ユリアーナが育てた薬草の、よりよい栽培方法も知っているかもしれない)
ユリアーナが自分の元へ帰ってくるまで、絶やすことなく大切に育ててきた、その薬草たちのことを思いながら。
そして一行は無事に城下町へと入り、王国の騎士の先導のもと、王城へと招かれる。
王城に入った途端、広間の方から一人の女性が駆け出してきた。
「母さま!」
ヨナリウスが大声を上げ、ミー君の背からぴょんと飛び降りると、全速力で走り出した。
笑顔で駆けてくるヨナを見守りながら、ユーリは両腕を広げた。
小さな身体が胸に飛び込み、ぎゅっとしがみつく。
「……ヨナ。」
この子さえいればいい。
この子と一緒にいられるなら、それで――。
しかし。
幸せをかみしめていた瞬間は、あっという間に違うものへと変わっていった。
「――ユリアーナ?」
聞き覚えのある、低く、よく通る声。
その声は明らかに、捨てたはずの自分の名前を呼んでいた。
ミー君の背に乗ったヨナリウスは、声を弾ませて話しかけた。
もうすぐ母であるユーリに会える高揚感が隠しきれず、その声はいつにも増して明るい。
ミー君は、首に巻いたオレンジ色のリボンを風になびかせながらヨナリウスの声を聞くと、スピードを緩めることなく前へ前へと進んでいく。
空はオレンジ色に染まり、次第に光を失っていく。
夕暮れの光が石畳を朱に染め、街道の先には次第に大きく、頑丈そうな城門がその姿を現した。
そしてもう一人。
馬に乗り、ミー君の後ろを追っている者がいた。
コンラッドである。
「ヨナリウスの母君とは、どのような人物なのだろうか……」
ダンジョン内にいた頃、怪我をした部下に差し出した“薬入りのペンダント”を見て、ヨナリウスが口にした言葉が――コンラッドは気になっていた。
――五年前。
ユリアーナが、まだ公爵邸に来たばかりの頃。
あの頃の自分は……身代わり、などという言葉では足りない。
自分の世界を丸ごと背負おうとした彼女に、冷たい態度を取ることしかできなかった。
(何故、自分のためにそこまで?)
(死ぬまでずっと、苦しむことになるというのに……)
(自分の代わりに、そんなことをする義理など、君にはないというのに……)
他の者たちは、自分の屋敷の者や兄の家族、そしてその腹心の部下たち以外は、自分を忌み嫌い、恐れ、近くにいるだけで嫌な顔をして、逃げるように去っていく。
呪いは、ある条件下でしか発動しないというのに……。
兄の生母は、自分が側妃であるがゆえに、正妃の子であるコンラッドではなく、兄――現国王が呪いの器に選ばれたことに納得がいかなかった。
そして、ある条件下で見事その呪いをコンラッドへ移したのだ。
そう。
自分の魂と、正妃の魂を代償にして――。
その代償として母を亡くしたコンラッドは、「皇室の呪い」を受け継いだために公爵となり、王位継承権を剥奪された。
それからは、誰もが一歩引いた。
近くにいるだけで空気が硬くなり、会話が途切れ、視線だけが逃げていった。
そんな扱いを受け、他の誰かに呪いを移さない限り、二十歳で死ぬということを、彼は受け入れていた。
だからこそ剣術に心血を注ぎ、魔物が出れば率先して討伐に向かった。
呪われた自分の義務なのだと、そう心の中で言い聞かせながら。
そんな殺伐とした日々の中。
二十歳の誕生日まであと三ヶ月というところで――。
彼女の実家が、自分の呪いを引き受けると打診してきたのだ。
(何故、会ったこともない自分のために?)
納得がいかず、直接会いに行った。
そこには――。
(こんなにも儚げで美しい女性が、自分のために?)
信じられなかった。
「問題ありませんわ。家と国の意向ですもの。」
本当にいいのかと確認するたび、彼女は同じ返答を繰り返す。
一見、投げやりな言葉にもとれる。
しかし彼女の目は――その美しいアメジスト色に輝く瞳は、死に急いでいるというよりも、何か希望を見いだしているような、そんな眩しい光を宿していた。
彼女は怯えていない。
(この呪いから逃れられた者は、千年の間一人もいないというのに……)
……それが、たまらなく腹立たしくて、眩しかった。
自分の命を粗末にしないでほしいのだと、心から願った。
だからこそ、結婚式を終えたすぐあと、逃げ出すように魔物討伐へと飛び出した。
それなのに……。
「怪我をしたときに、使ってくださいね。」
「首から下げていれば邪魔にならないし、なくさないでしょう?」
そう言われて渡された、塗り薬の入ったペンダントだった。
(君にもらった物だ。なくすわけがないだろう……)
失くした瞬間、彼女がこの世から消える気がして――怖かった。
コンラッドは、ユリアーナが自分の身を案じて渡してくれた塗り薬と毒消しの薬を、まるでお守りのように首から下げ、肌身離さず持っていた。
それを見たヨナリウスが、コンラッドに言ったのだ。
「それ、母様の薬入れによく似ているね。」
と。
――そして現在。
城門が近づくにつれ、風が強くなり、馬の吐息が白くかすんだ。
コンラッドは手綱を握り直し、ヨナリウスへ視線を向ける。
「ヨナの母君は……薬を作るのか?」
ミー君の背の荷に腰かけているせいか、ヨナの目線は馬上のコンラッドとほとんど変わらない。
声も届く距離だった。
「うん。いろんな薬草を育てているんだよ。それで作るの。とってもよく効くって、辺境伯領でも大人気なんだ!」
ヨナは「えへん」と自慢げに、小さな胸を思いきり張りながら言った。
「そういえば、ミー君はジェントワームだよな? 母君は、その薬草をミー君のもので育てているのか?」
「うん、そうだよ。辺境伯様のお屋敷ではミー君、そしてウィルの家ではズー君のものを使って、薬草を育てているんだって、母様が言ってた。」
(ん? ミー君とズー君? はて……どこかで聞いたような……)
コンラッドは以前、ターニャから話を聞いていたはずだったのだが……。
(思い出せない)
五年前に聞いた話は、すでに記憶の彼方へと消えてしまっているようだった。
「私の屋敷にも、ミートさんというジェントワームがいてな。妻の残した薬草を、ミートさんのもので育てているんだよ。」
コンラッドの言葉に、ヨナリウスは「はて?」と首をかしげた。
(あれ? ミートさんって、どこかで聞いたような……)
これも以前、ユーリはヨナリウスに説明していたはずである。
ミー君とズー君の母親が、ミートさんであるということを。
(でも、思い出せないや)
しかしヨナリウスもコンラッド同様、すぐに思考を放棄した。
母様に会ったら聞けばいいや――。
そう頭を切り替えたのだ。
もうすぐユーリに会えるうれしさが、思い出すことよりも優先されてしまった結果である。
「そこでお願いがあるんだが。ヨナの母君に、薬草の栽培についていろいろと教えてもらいたいと思うのだが……お願いできないだろうか?」
「どうかしたの?」
ヨナリウスは不思議そうに、コンラッドをまっすぐに見た。
「実は、その薬草栽培がなかなかうまくいかなくてな。いろいろ教えてもらえると、とても助かるのだが。」
コンラッドは言葉を選びながら、慎重にヨナリウスにお願いをした。
ヨナリウスは母様のことになると、途端に不機嫌になり、慎重になるからだ。
しかし――。
もうすぐ母様に会える喜びが勝るのか、ヨナリウスはその頼み事に対し、警戒心を一切見せなかった。
「うん、いいよ。母様に聞いてみるね?」
ヨナは機嫌よく返事をしてくれた。
――それが、この後ユーリを追い込むことになるとも知らずに。
コンラッドは、ヨナの母君に会うのを少しだけ楽しみにしていた。
(もしかしたら、ユリアーナが育てた薬草の、よりよい栽培方法も知っているかもしれない)
ユリアーナが自分の元へ帰ってくるまで、絶やすことなく大切に育ててきた、その薬草たちのことを思いながら。
そして一行は無事に城下町へと入り、王国の騎士の先導のもと、王城へと招かれる。
王城に入った途端、広間の方から一人の女性が駆け出してきた。
「母さま!」
ヨナリウスが大声を上げ、ミー君の背からぴょんと飛び降りると、全速力で走り出した。
笑顔で駆けてくるヨナを見守りながら、ユーリは両腕を広げた。
小さな身体が胸に飛び込み、ぎゅっとしがみつく。
「……ヨナ。」
この子さえいればいい。
この子と一緒にいられるなら、それで――。
しかし。
幸せをかみしめていた瞬間は、あっという間に違うものへと変わっていった。
「――ユリアーナ?」
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