銀の鳥籠

善奈美

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銀の鳥籠Ⅰ ルイ&サクヤ編

135 挑発

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 ……まさか、見たいって言うとか思わなかった。
 
「サクヤ?」
「先生に持って行ってもらった」
「……」
 
 そんな顔するなよ。だいたいさ、俺が持ってても、意味ないんじゃねぇの?
 
「見たかったんだけどね」
「ほら、先生ここに来るしさ。見せてもらえば」
「確実に養護教諭に見せてるでしょう。あの人だったら、絶対離さないと思うけど」
 
 そう言えばオレって、養護教諭を見たことねぇよ。この学校って無駄に大きいし。初等部から高等部まで一つの建物だしさ。広すぎて、探検しようって気力はねぇよ。地上部も地下部もかなりの階数だし。
 
 寮はユエの話じゃ、初等部、中等部、高等部と別々の寮で、学年が上がると部屋が変わる、らしい。あくまでらしいなのは、俺に実感がないからだ。
 
 教室内にオレとルイだけになったのを見計らったかのように、教師と誰かが入ってきた。誰?
 
「ほら、養護教諭だよ」
 
 ルイが教えてくれた。わあ。教師も綺麗な顔してるけど、この人、女の人みてぇ。線が細いし。睫毛とかバサバサだし。
 
「ルイが見たいだろうと思ったんだが。こいつに見せたのがまずかった」
「……やっぱり?」
 
 ルイは苦笑いだ。
 
「相変わらずですね。ツユハ(露葉)先生は」
 
 ツユハって言うのか。って、今更だけど、オレ、担任の名前しらねぇ。ヤバい。今更訊けねぇ。
 
「だって。アサイ(朝依)が」
「分かりますけどね。そのままでは、個にはならないんですよ」
 
 ルイの言葉にツユハ先生? はシュンとした。担任の名前、アサイって言うんだな。聞く前に分かって良かったぜ。
 
「こいつにさっき聞いたんだが」
「卵のことですよね?」
「そうだ。どういうことなんだ?」
「私とサクヤも火の鳥から聞くまで、知らなかったんですよ」
 
 お、ルイはちゃんと敬語使ってる。まあ、ルイは普段も丁寧な話し方だからな。
 
「簡易的、ってどういうことだ?」
「なんらかの理由で、本来の手順をすっ飛ばして卵を作ってるんだと思います。ただ、誰も認識していない。先生は何か知りませんか?」
「お前の魔力は収集してないのか? もしくは、火の鳥に聞いてないのか?」
「クレナイとベニは魔法使いの事情に精通しているわけではないですよ。魔力にしても、あの人が捕獲されたので、前ほど情報を集めてきません」
 
 やっぱり、防衛本能張りに集めてたのか。
 
「いつから、魔力の強い魔法使いの人口が減り始めましたか? 教職に就いているなら、それくらい分かりますよね?」
 
 ……ルイ、何気に挑発してないか?
 
「言うようになったな」
「まあ、いろいろ、押し付けられてるんで、少しくらい周りにも動いていただかないと」
「その前に、見たいんじゃないか」
 
 教師(心の中はこれでいく!)は養護教諭、もとい、ツユハ先生の手から石のように見える精霊をルイに手渡した。白っぽい色合い。見た目は本当に石に見えるんだよな。しかも、真ん丸。
 
「石みたいに見えるけど、生命体の波動だね。精霊って言われればそうだろうけど、何かを内包してる」
「今まで、感じたこともなかったのに、あそこ通ったら変な感じがしたんだよな?」
 
 本当に違和感って言葉がぴったりだったんだ。
 
「変なところで卵の姿が解けたら、完全に魔物の餌だね。これだけ魔力を感じるなら、普通の場所じゃ捕食されてもおかしくないし」
 
 ルイの一言にツユハ先生が絶句。瞳に涙まで溜め込んだ。本当に感情の起伏が激しい人だな。これで養護教諭してて、怪我人の手当てとかできるのかね?
 
「学校はありとあらゆる方法で守られてるから、魔の者は魔法使いと契約してないと入り込めないし。無事だった理由も分かるんだけど」
 
 ルイのやつ、ツユハ先生の状態を分かってねぇ。まあ、知らないうちにフォローしてるけどさ。
 
 
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