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終章 ガラテヤの騎士、ジィン
第百五十七話 観測不能な観測可能の未来
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ガラテヤ様は風を纏い、クダリ仙人を追いかける。
「遅い、遅いわ、神様!」
「おお、この私にカウンターを仕掛けるなんてね……!いやあ、大したものだよ!」
吹き飛びながら、クダリ仙人は動揺した様子は無く口を動かしていた。
「減らず口をッ!【飛風】!」
さらにガラテヤ様はスピードを上げ、クダリ仙人の眼前へ。
「何の、これしき……」
正面に両手をかざしてバリアを張るクダリ仙人だったが、ガラテヤ様は次の瞬間、その右を通り過ぎていた。
「【刹」
バリアの真横を抜けたガラテヤ様は、風を纏った右手を後ろへ伸ばす。
「アレ?」
「抜】!」
そして、バリアの手前に在る胸を貫くように、その右手を捻じ込み、辻斬りのように心臓を掠め取った。
「グェェェェェッ!」
クダリ仙人は全身から血を吹き出し、その場に倒れ込む。
「フン、こんなものかしら。でも、手応えが無い。まだ終わりじゃあないんでしょう?神様?」
「……そのとーーーり!!!ところで、その『神様』っていうのは皮肉かい?」
「ええ。わざわざ説明させないで頂戴。所詮は意志を持つ存在如きが、随分と良いご身分ね、という意味よ」
「全く、酷いお嬢さんだネ。神様だってことも、この世界を天国にできるってことにも、嘘をついているつもりは無いんだけど」
心臓を抜き取られて尚、平然と起き上がったクダリ仙人は、何事も無かったかのように軽い口で話を始めた。
「だからこそ、よ。だからこそ、貴方の『天国』を完成させる訳にはいかないの。貴方を本当の神様だと今、信じざるを得なくて、言っていることも本当だと信じているからこそ、貴方を止めないといけないの」
「…‥理解できないな。素晴らしい世界の住人として、永遠の命を得ることがそんなに嫌かい?」
ポカンと口を開けたクダリ仙人は、ただ首を傾げるのみ。
「無限の存在を持つ神様には、理解できないでしょうね。夢を見て、大切な人達と一緒に生きて、歳をとって、一緒に死んでいくことまで含めて、やっと素晴らしい人生なんだって」
ガラテヤ様は胸に手を当て、俺の方を向いて言った。
「……死も、素晴らしいものかあ。それは確か人間特有なのかもしれないね。でも、いざ自分や大切な人のことになったら、喜べなくない?」
「ええ。でも、だから私達は大切に生きようとする。そして死ぬ時に、良い人生だったと思えるように、生き方を決めるの。死が存在しない人生は、もう人生とは呼べないわ」
「そう、なのかなー?」
そして、どうにも納得いかないといった様子のクダリ仙人へ、ガラテヤ様は言い放つ。
「納得してもらわなくて結構よ。死ぬはあくまでも、人生のエンディングでしかないと、私は思う。それがハッピーだろうと、バットだろうと。だから、そのエンディングを奪う貴方は、人として許せない。だから倒す。殺すか、殺せないなら、この世界から追い返すか封印する。これは私の……いえ、私達の覚悟だから」
「あー……。うん。分かった。とりあえず私としても、この状況で、天国を逃す手は無いからさ。残念だけど。君達には犠牲になってもらうしか無いね」
「できるものならやってみなさい!【飛風】……」
拳を構え、再びガラテヤ様は走り出す。
「【反転】」
しかし突撃は、あろうことか真逆の方向へ。
「あ、危ないっ!」
そこは俺の眼前。
しかし俺は、突撃してくるガラテヤ様の身体を受け止める状況を、あまりにも想定していなかった。
「ぐへぇっ!」
「ぶへっ!」
そのまま風を纏って突っ込んでくるガラテヤ様に正面から衝突され、俺とガラテヤ様は、そのまま数メートル後方へ吹っ飛んでしまった。
「遅い、遅いわ、神様!」
「おお、この私にカウンターを仕掛けるなんてね……!いやあ、大したものだよ!」
吹き飛びながら、クダリ仙人は動揺した様子は無く口を動かしていた。
「減らず口をッ!【飛風】!」
さらにガラテヤ様はスピードを上げ、クダリ仙人の眼前へ。
「何の、これしき……」
正面に両手をかざしてバリアを張るクダリ仙人だったが、ガラテヤ様は次の瞬間、その右を通り過ぎていた。
「【刹」
バリアの真横を抜けたガラテヤ様は、風を纏った右手を後ろへ伸ばす。
「アレ?」
「抜】!」
そして、バリアの手前に在る胸を貫くように、その右手を捻じ込み、辻斬りのように心臓を掠め取った。
「グェェェェェッ!」
クダリ仙人は全身から血を吹き出し、その場に倒れ込む。
「フン、こんなものかしら。でも、手応えが無い。まだ終わりじゃあないんでしょう?神様?」
「……そのとーーーり!!!ところで、その『神様』っていうのは皮肉かい?」
「ええ。わざわざ説明させないで頂戴。所詮は意志を持つ存在如きが、随分と良いご身分ね、という意味よ」
「全く、酷いお嬢さんだネ。神様だってことも、この世界を天国にできるってことにも、嘘をついているつもりは無いんだけど」
心臓を抜き取られて尚、平然と起き上がったクダリ仙人は、何事も無かったかのように軽い口で話を始めた。
「だからこそ、よ。だからこそ、貴方の『天国』を完成させる訳にはいかないの。貴方を本当の神様だと今、信じざるを得なくて、言っていることも本当だと信じているからこそ、貴方を止めないといけないの」
「…‥理解できないな。素晴らしい世界の住人として、永遠の命を得ることがそんなに嫌かい?」
ポカンと口を開けたクダリ仙人は、ただ首を傾げるのみ。
「無限の存在を持つ神様には、理解できないでしょうね。夢を見て、大切な人達と一緒に生きて、歳をとって、一緒に死んでいくことまで含めて、やっと素晴らしい人生なんだって」
ガラテヤ様は胸に手を当て、俺の方を向いて言った。
「……死も、素晴らしいものかあ。それは確か人間特有なのかもしれないね。でも、いざ自分や大切な人のことになったら、喜べなくない?」
「ええ。でも、だから私達は大切に生きようとする。そして死ぬ時に、良い人生だったと思えるように、生き方を決めるの。死が存在しない人生は、もう人生とは呼べないわ」
「そう、なのかなー?」
そして、どうにも納得いかないといった様子のクダリ仙人へ、ガラテヤ様は言い放つ。
「納得してもらわなくて結構よ。死ぬはあくまでも、人生のエンディングでしかないと、私は思う。それがハッピーだろうと、バットだろうと。だから、そのエンディングを奪う貴方は、人として許せない。だから倒す。殺すか、殺せないなら、この世界から追い返すか封印する。これは私の……いえ、私達の覚悟だから」
「あー……。うん。分かった。とりあえず私としても、この状況で、天国を逃す手は無いからさ。残念だけど。君達には犠牲になってもらうしか無いね」
「できるものならやってみなさい!【飛風】……」
拳を構え、再びガラテヤ様は走り出す。
「【反転】」
しかし突撃は、あろうことか真逆の方向へ。
「あ、危ないっ!」
そこは俺の眼前。
しかし俺は、突撃してくるガラテヤ様の身体を受け止める状況を、あまりにも想定していなかった。
「ぐへぇっ!」
「ぶへっ!」
そのまま風を纏って突っ込んでくるガラテヤ様に正面から衝突され、俺とガラテヤ様は、そのまま数メートル後方へ吹っ飛んでしまった。
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