下出部町内漫遊記

月芝

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040 スナイパー襲撃

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 第三の試練の儀が始まった。
 安全対策のゴーグルをしっかり装着する。
 トイガン片手にわたしは仲間たちへ「さぁ、行こう」
 まずすべきは新たな武器の調達だ。
 いくらパーツの組み合わせ次第で強くなるとはいえ、初期のトイガンでは話にならない。たぶん至近距離で撃ち合っても一方的にやられちゃうだろう。
 だから、さっそく大きな宝箱を探すべく保安官事務所から外へ出ようとするも、わたしは「ぐえっ」
 いきなり襟首(えりくび)をつかまれ、うしろに引き倒された。
 やったのはカクさんだ。
 何をするのかと文句を言おうとするも――

 パンッ!

 尻もちをついたわたしが目にしたのは、ついさっきまで自分が立っていたところにスポンジ弾が飛んできた光景である。
 スポンジ弾は半開きのドアにヒット。当たった箇所がうっすらピンク色の粉まみれとなる。チョークの粉みたいだ。どうやらこれがゾンビ対策に施された特殊なインクとやららしい。
 にしても「ふぃ~」
 あ、危なかった。カクさんが助けてくれなかったら、開始直後にやられてしまうところであった。

 わたしは這うようにして屋内へ逃げ戻る。
 それと入れちがうようにして、カクさんが部屋の隅にあった長イスを入り口付近に転がした。敵が突入してこれないようバリケードにするのと盾にするためだ。あいにくとドアは閉められなかった。手をのばすと、そこをパンパン狙い撃ちされてしまう。
 いくつもの発射音がしたとおもったら、ポコポコ飛んでくるスポンジ弾。半開きのドアの表面がたちまちピンクや黄や青の粉まみれとなった。
 こちらを狙うスナイパーはひとりではないようだ。

 ジンさんは窓辺に張りつき外の様子をうかがっている。
 一枝さんは保安官の机のところで、なぜだかイスに座ってふんぞり返っている。

「あー、びっくりしたぁ~。まさか初っぱなから狙われるとはおもわなかったよ」

 まだドキドキしているわたしに、一枝さんは「チチチ」と首を左右に回し「いわゆる出端(でばな)をくじくというやつだね。狙いとしては悪くない」
「……ガジュロウの仕業かな?」
「う~ん、それはどうだろう。あいつはアレでけっこう一本気なところがあるからねえ。たぶんちがうんじゃないかなぁ」

 だとすれば、別の者に狙われたことになる。
 保安官事務所に案内されるところを見られて、目をつけられたか。

「どこから狙っているのかさっぱりわからん。面倒なことになったな。これではうかつに出られんぞ」とジンさん。
「こうして足止めを喰らっているあいだにも、他の連中はどんどん先へと進んでいるだろうのぉ」とはカクさん。

 ふたりの言うとおりにて、グズグズしていたら完全に出遅れてしまう。はてさて、どうしたものやら。
 三人がひそひそ相談をしていると、いつの間にやら席を立っていた一枝さんがちょんちょん歩きにて「おーい、こっちに勝手口があるよ」

 保安官事務所には裏手にもうひとつ扉があった。
 表からは完全に死角になっており、ここからならばこっそり外に出られる。
 とはいえ先の失敗もあるからここは念には念を入れて慎重に。
 少しだけ扉を開けて様子をうかがうこと、しばし。

「……問題はなさそうだね」
「そのようだな」
「よし、では参るとしようか」

 言うなりカクさんがライフルを構えつつ、ドアの隙間から外へと。
 建物と建物の間、ネコが好みそうな裏路地にて、敵影はなし。
 カクさんは付近を素早く確認し「いいぞ、こい」
 合図を受けて、ジンさんと肩に一枝さんを乗せたわたしも続く。

 表の通りは見張られている。
 だからこのまま裏から隣の建物へと向かうことにする一行。
 にしても、保安官事務所のすぐ隣が診療所で、さらにその隣が教会で、そこの裏手が墓地とか。
 う~ん、これがいわゆる『ゆりかごから墓場まで』というやつなのかしらん。


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