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045 託された想い、迫るタイムリミット
しおりを挟むゲーム終盤、生き残った者たちの行動は二極化した。
果敢に隻眼の死神に挑むか。
あるいは戦いを回避し、勝利条件を満たすべく動くか。
わたしたちは後者ゆえに、戦う選択をした者らの奮闘を横目に、ウエスタンストリート内をシャカシャカ移動する。
残り少ない獲物を捜索つつ大きな宝箱を探す。もしかしたらこの事態を打開できるお助けアイテムなり、強力な武器が手に入るかもしれないとの淡い期待にて。
でも、結果としてわたしたちの目論みどおりにはいかなかった。
それは雑貨屋を調べているときのことである。
カウンターの奥にて未開封の大きな宝箱を発見し、ラッキーと喜んだところで……
急に表が騒がしくなったとおもったら、窓辺から外を見張っていたジンさんが「いかん、ヤツがこっちに来るぞ!」と声を荒げた。
直後に店のドアがバンッと開く。
転がり込んできたのは一組の男女。健闘およばず味方を失い、追われるようにして逃げてきたのだ。
そのせいで隻眼の死神をここに連れてきてしまう。
「おっ、そんなところに隠れていたのか。探す手間がはぶけたな」
言うなり牙寿郎は猛然と走り出した。
こっちは五人いるけどおかまいなしだ。まとめて始末するつもりのようだ。
だからとて、こちらもおとなしくやられてやるつもりなんてない。
逃げ込んできた男女は、せめて一矢報いようと銃を手にしている。
ジンさんはドア脇の壁に張りつき、ヤツが押し入ってきたところを狙うつもりのようだ。
カクさんはカウンターに肘をつきライフルを構える。
だからわたしもすぐにトイガンを準備しようとしたのだけれども、カクさんがそれを制した。
「みどもらが時間を稼ぐ。ミユウはさっき見つけたそいつを持って裏口から先にいけ」
自分だけ逃げろと言われて、わたしは困惑する。
ジンさんと目が合うも、彼もまた小さくうなづく。
どうやらいざというときには、こうするようにふたりで事前に取り決めていたようである。知らぬはわたしばかりであったのだ。
それでもなお仲間を見捨てて逃げることを、わたしがためらっていると……
ポイっと飛んできたのは小袋。
投げて寄越したのは二人組の女性の方。
「あなたにあげるわ。迷惑をかけちゃったおわびよ。それからあとは頼んだわね。どうかアイツにひと泡ふかせてやってちょうだい」
振ればじゃらじゃらと音がする。袋の中身はコインだ。
全滅して奪われるぐらいならばと、託すことにしたらしい。
これが後押しとなった。
覚悟を決めたわたしは小袋と宝箱のなかにあったモノを引っ掴むなり、ひとり裏口へと向かった。
雑貨屋の裏口からわたしが外へと出るのと入れちがうようにして、牙寿郎が室内へと押し入ってきた。
たちまちバンバンと多数の銃声が折り重なり、雑貨屋内は騒然となった。
その音を背中越しに聞きながら、わたしは目元を手の甲で拭いひた走る。
〇
チャリン、チャリン、チャリン。
コインを数える。
貰った分は15枚あった。
これで手持ちの36枚と合わせて51枚となり勝利条件はクリア!
と、喜びたいところだけど、ちがうんだなこれが。
最初に割り振られた1枚は、倒されて奪われるまで所持しておかなければならないルール。でないと、せっかく倒したのにまったくコインが手に入らないなどの、ズルが横行することになるので。
よってジンさんとカクさんの分を差し引くと、現在の手持ちは49枚になる。
惜しい、あとちょっと足りない。
「……うぅ、またひとりぼっちになってしまった」
とある民家の二階の一室にて。
身を潜めコインを数え終えたところで、わたしは「はぁ」と嘆息。
いろいろと託されちゃったけれども牙寿郎は強い。それも断トツだ。ぶっちゃけアレと戦って勝てるとは到底おもえない。
さっき手に入れたお役立ちアイテムを前にして、わたしは「う~ん」と腕組み。
「でも、これを使ったらどうにかなりそうな気はするんだよねえ」
それぐらいに強力なアイテムではある。
ただし、使いどころがむずかしい。数もひとつきりなので失敗は許されない。はずしたらそれまでだ。
こうなると頭脳労働を担当するジンさんと相談する前に、別行動になったことがつくづく悔やまれる。
「あ~ん、どうしたらいいのよ、もう!」
わたしがガシガシ頭をかいていたら――コツ、コツ、コツ。
窓ガラスを叩く音がした。
誰かとおもえば一枝さんであった。
窓を開けて招き入れるとウグイスは「チチチ」とさえずり言った。
「残り時間十分を切ったよ。あと現時点で生き残っているのは、ミユウとガジュロウだけだね」
一枝さんはメッセンジャー。
悲しいお知らせを告げられて、わたしはますます頭を抱える。
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