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051 古城山公園水上フェスタ
しおりを挟む公園の入り口には、赤青黄にピンク、色とりどりの風船を用いたカラフルなバルーンゲートが設置されていた。
その先に続く沿道には、いろんな動物たちのバルーンアート、風車、糸のついたハート型のラメ入りの風船などが、たくさん飾られている。
それらに混じって設置されていたのが案内板だ。
『鈴山海夕さま御一行はこちら』
と、矢印付きで提示されている。
その指示に従って園内を進めば、じきに池が近づいてきたのだけれども……
「なっ!」
わたしはその光景に絶句する。
ここまでは飾りたてられこそはしていたものの、見知った公園のまんまであったから。
でも池およびその周辺はすっかり様変わりしていた。
まず池だ。
もとはひょうたん型をしており、周囲が200メートルほどだったのに対して、いま目の前にあるのはズドンと奥行があって、幅もかなり広がっており、彼方の方がちょっとかすんでいるほど。
さらには巨大化した池? 湖? の正面より向かって右側の岸辺には段々の客席があって、そこに詰めかけやんやと騒いでいるのはたくさんの鳥たち。
マガモ、ハクチョウ、キジバト、スズメ、カラス、アオサギ、カイツブリ、カワウ、トラツグミ、キジ、ホトトギス、ニワトリ、メジロ、ツバメ、トンビ、モズ、コゲラ……
物知りなジンさんがざっと教えてくれただけでも、これだけの種類がいる! 実際はもっと多い!
みんな興奮しているらしく、こぞってガアガア鳴くものだから、とってもやかましい。
そんな賑やかな客席の向かい側、対岸に設置されてあるのは超巨大なスクリーンだ。競馬場とかにあるような大型ディスプレイにて。
これまたジンさん情報によれば『ターフビジョン』というモニターなんだとか。
水場のコースがあり、満員御礼の客席があり、リアルタイムで中継するのディスプレイもある。
まんま競艇場にて、どうやらここが第四の試練の儀の会場らしい。
わたしたちが姿をあらわすなり、会場中が歓声に包まれた。
さりとて、よくよく耳をすませてみれば、なんだか怒っているような声ばかり。
たとえ種族はちがえども、ここまでされたらさすがにわたしにもわかる。
――うわぁ、鳥たち、なんだかめっちゃ機嫌が悪い。
完全アウェイだ。
さながら悪役レスラーの入場のよう。
向けられる多数の悪意に、わたしは「ひぃえぇぇぇ」と首をすぼめて、なるべく客席の方とは目を合わさないようにする。
なのに一枝さんときたら「チチチ、これで襲われたらヒッチコックの映画みたいだねえ」なんぞと言う。
「へっ、映画? どんなの?」
「たしかタイトルは『鳥』っだっけか。町の住人たちが大量の鳥どもに襲われる動物パニック映画さ。いや~、あれはじつにおっかなかったねえ。ところでミユウは鳥葬(ちょうそう)って知ってるかい?」
「――っ!」
……おっふ、聞くんじゃなかった。
わたしは激しく後悔した。
ぷるぷる怯えていると、カクさんがポンとわたしの肩を叩く。
「なぁに襲われたとて大丈夫。なにせそれがしには食べるところがないからのぉ、カーカッカッカッ」
骨格標本ジョーク。
たぶん場を和ませようとしてくれたのだろうけど、ごめん、ちっとも笑えない。
かえってギクシャクしつつ、辿り着いたのは桟橋のところ。
黒い幕がかぶせられたものが六つばかり浮かんでいる。
そこでわたしたちを待っていたのは、大柄な女性であった。
よく焼けた小麦色の肌、肩幅はがっちりしており競泳選手のよう。
だぶだぶの白シャツ、胸元がちょっと開いておりボリュームのある谷間がお目見えしている。
首元にキラリと光るは金のネックレス。腰には渋い風合いをした革のベルトを装着し、サーベルが差してある。細身のレザーパンツに先の尖ったブーツ、赤のジャケットを羽織り、頭には三角帽――海賊帽をかぶっている。
勇ましい女海賊が登場!
「よくきたね。あたしの名はアレン。第四の試練の儀は『古城山公園水上フェスタ』でのボートレース対決だ」
女海賊が高らかに宣言した。
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