下出部町内漫遊記

月芝

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068 ブロックランドの秘密

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 半壊した建屋内にレッドクィーンと閉じ込められてしまった。
 予想外の事態に戸惑っていると「あぶない、ミユウ!」との声、一枝さんだ。
 注意をうながされて、わたしはハッと我に返っては横っ飛び。

 直後に――ドッスン!

 さっきまでわたしがいた所へと振り下ろされたのは、レッドクィーンの怒りの鉄槌である。
 その大きな図体と膨らんだ腹部のせいで女王さまはろくに動けない。ぬいぐるみのクマのような姿勢にてどっしり座っているから、自由に動かせるのは六本足のうちの前二本のみ。それでわたしを踏み潰そうとしてくる。

 わたしも武器を手に反撃をする。
 しかし光線の直撃を受けても、レッドクィーンはちょっと身じろぎしては、ほんの少しだけ動きを止めるばかりで、すぐさまモゾモゾ動き出す。
 初期装備として配備された携帯用の光線銃には、ジープの銃座に積んであるヤツほどの威力はない。そのためほとんど効果ナシ!?

「やっぱりダメか。狙うなら弱点の青いところなんだけど……」

 なんとかして背後に回り込もうとするも、させじとレッドクィーンが足を振り下ろしては妨害してくる。
 それに周囲にあるブロックの瓦礫の山も邪魔だ。
 女王にとっては守る壁となり、わたしにとっては障害物となっている。なかなか近づけない。もしもこの状況で敵の援軍が駆けつけたら、その時点でゲームオーバーだ。
 だからわたしはなんとかこれを打開しようと、ちょろちょろ駆け回っていたのだけれども……

「あっ」

 足下に転がっていたブロック片にけつまづいてしまう。
 両手をついてしまった。膝もちょっとすりむきわたしは顔をしかめる。それでもすぐに起き上がろうとするが、そのタイミングでまたしても上空にいる一枝さんから「ミユウ、避けて!」という緊急事態を告げる声が降ってきた。

 ――女王の攻撃が来る!

 のんびり立ち上がっている暇はない。
 だから、わたしはそのままゴロンゴロンとでんぐり返し。じつは水泳は苦手だけどマット運動はけっこう得意にて。倒立前転とかお手の物だったりする。
 おかげで窮地は脱するも、まったくの無傷とはいかなかった。

 ズドンときて、ぐしゃり。

 レッドクィーンの踏みつけにより、壊されたのはわたしの武器である。「あーっ!」
 とっさのことで手放してしまったところに被害を受けた。
 残骸を拾っては引き金をカチカチやってみるも、やはりダメであった。辛うじて原型は留めているものの、完全に壊れてしまっている。
 ボスとの戦いのさなかに唯一の攻撃手段を失ってしまい、わたしは呆然自失となりかけるも、手の中の壊れた武器を前にして、ふとある疑問が浮かんだ。
 たんなる思いつきであったが、それはいまの自分にとっては天恵にも等しい閃き。

『そもそもの話、どうしてコレが武器足りえていたのか?』

 なにせブロックを組んで作られた品である。
 敵のデカアリやレッドクィーンもそうだ。ジンさんとカクさんが使っているジープや銃座だって。下出部防衛隊の拠点も、街も、家も、ビルも、道路も……、なにもかもがブロックで構成されている。
 ここはブロックランドにて、そういう世界だからと、とくに深く考えることもなく受け入れていたけれども、よくよく考えてみたらおかしな話である。

 どうして敵キャラは動くの?
 どうして車が走るの?
 どうして銃から光線が発射されるの?

 全部が全部、ブロックで作られたモノなのに、である。
 さらに根本的なことに言及すれば「ブロックって、何?」

 ブロックは知育玩具だ。
 いろんなパーツを組み合わせては、様々な造形を産み出すことができる。
 建物、乗り物、動物、植物、恐竜だけでなく、ロボットや映画にアニメの世界を再現したりと、アイデア次第で無限に遊べる。
 想像力と創造力を育むスゴイおもちゃ。

「あっ、そっか。わたし……わかっちゃったかも」

 わたしは独りごちる。
 ここはブロックランド。
 ブロックで作られた世界であるが、それだけじゃない。 
 ブロックで作られたモノが動く世界でもあったのだ。
 想像力と創造力こそが最大にして最強の武器。
 だからこそ初期装備は必要最小限であったのだ!

「そうとわかれば……」

 わたしはペロリと舌なめずり。
 幸いにも素材となるブロックならば周辺に溢れており、何でも作り放題にて。
 さっそくレッドクィーンを攻略すべく、新たな武器の組み立てに着手する。


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