下出部町内漫遊記

月芝

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070 ただいま開発中

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 下出部防衛隊の拠点はガレージにて――

 現在、わたしたちは新兵器の開発中である。
 なんとかレッドクィーンを撃破し、占拠されていた工場跡地を奪い返すことに成功した。
 だが勝ってミッションをクリアしたことよりも、その戦いのさなかにブロックランドの秘密に気がつけたことこそが幸運であった。

 ブロックランドは想像と創造の世界。
 アイデアと工夫次第で、いくらでも強くなれる。
 そしてレッドクィーンを倒しても、第五の試練の儀がなおも継続中ということは、じきに新たなミッションが発動されて、さらなる強敵があらわれるとおもわれる。
 事態に備えるべく自陣営の強化は必須。
 そのための武器開発を、みんなで励んでいる。

 ジンさんはジープのさらなるパワーアップと、人型兵器の製造に着手している。
 ジープは装甲車みたいのにして、いちいち銃座にヒトがつかなくとも自動で撃てるようにして、いざともなれば中に籠城して戦えるようにするとのこと。
 人型兵器の方はまんまロボットである。
 パイロットが乗り込み操作するらしい。

 カクさんは待望の近接武器を自分でこさえてご満悦だ。細長い板状のパーツに青白い細かなパーツを貼りつけることでビームサーベルみたいなのを作っていた。あと同じ造りの槍も。

「はて、そんなのでちゃんと戦えるのかしらん?」

 わたしはちょっと不安になったものの、実際に試し切りならぬ試し崩しにてブロックの柱や壁を粉砕していたから、威力はなかなかであった。
 他にもカクさんは兜や甲冑を作っていた。額にVの字みたいな飾りがついており、けっこう派手である。

「そんなのを身につけていたら、かえって動きづらくない?」

 これまた不安になったわたしは遠回しにやめるよう説得を試みるも、ご満悦のカクさんは聞く耳を持たない。

「カーッカッカッ、軽い軽い。この程度の防具でロクに動けぬようでは武士の恥よ」

 と譲らない。
 これらの装備類にプラスして、ちゃんと改造した光線銃も使ってくれるというし、まぁ、いいか。

 そんなふたりを横目に、わたしはレッドクィーンとの戦いのさなかに作った新武器の出力を調整中。
 たしかに強力にてデカアリを一撃で粉砕し、女王をも見事に仕留めた威力には目を見張るものの、打つたびに反動で吹き飛ばされていたのでは、さすがにこちらの身がもたない。
 さりとてこの火力はたいそう魅力的にて、手放すにはいささか惜しい。
 そこで引き金の近くにツマミ式のスイッチをつけた。カチカチとツマミを回すことで弱中強と三段階に威力を変えて放てるように改造する。
 ついでに足回りの強化もはかった。
 車輪の付いた靴、ローラースケートみたいなのを作った。
 ブロック製だからちょっとゴツゴツしているけど、その分どっしりしているから安定している。体重を爪先にかければ前へと進み、カカトにかければバックする仕掛けにて、速度はそこそこ。
 これでもう汗だくになって駆けずり回らずにすむだろう……たぶん。

  〇

「こりゃまたずいぶんと大きいのを作ったねえ」

 一枝さんが「チチチ」とさえずり見上げていたのは、ジンさん主導のもとで鋭意製造中の人型兵器である。
 かわいいウグイスである一枝さんからすれば、たいていの物が大きく映るだろうけど、これについてはわたしも同感だ。
 実際、大きい。
 レッドクィーンといい勝負である。

 おかげでパーツ集めがたいへんであった。それこそ山のようにかき集めねばならなかった。組み立てるのも三人がかりにて、ようやく完成へと漕ぎつける。
 デザインについては、ぶっちゃけあまりかっこよくない。
 いかり肩にて両腕はたくましく、逆三角形の胴長短足にて、フォルム的にはマウンテンゴリラに似ているかも。

「どうしてこの形にしたの?」

 わたしが訊ねるとジンさんは「安定するから。あの生き物はじつに合理的な体をしているので、参考にさせてもらった」と答えた。

 大きくて黒い体、ムキムキに発達した筋肉を持つジャングルの王者。
 そんなのが巨大な大砲みたいなのを背負っている、しかもふたつも。
 たしかに強そうだ。
 でも、問題点がひとつあった。

 それはロボットがふたり乗りだということ!

 理由は機体を動かす者と攻撃等を担当する者が必要だから。
 ひとりだと上手く動かせないらしい。

 一枝さんは最初から除外して、チームからひとりあぶれる。
 べつにそれならそれでもかまわない。わたしは喜んでパイロットの座を譲ろう。
 しかしそれはかなわなかった。
 二枠のうちのひとつが、すでにわたしで埋まっているから。

「なんでよ!」
「しょうがなかったのだ。二人乗りにするにはそれだけスペースを確保しなくてはならん。我輩とカクのペアではそれだけ場所をとってしまう。その点、子どものミユウであれば、狭くてすむからな」

 仕様と設計上の兼ね合い。
 かくしてわたしはなし崩し的にロボットのパイロットに任命されてしまった。


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