乙女ゲーの世界に聖女様として召喚されたけど興味がないので妹に譲ります

ゆずぽんず

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間違えた選択肢

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聖女様の部屋は、今までの歴代の聖女様も使っていたらしい。そうリオが言っていた。
部屋には本棚とベッド、茶菓子やアンティークな雑貨など綺麗に整理整頓されていた。


「牢屋にいて疲れたでしょ?紅茶入れてあげるね」
「あ、大丈夫です」
「まあまあそんな遠慮しなくていいから」
「アレンの淹れる紅茶は美味しいよ~!」


ソファに座る姉と姉にしがみつく妹。妹をチラリと見ると牢屋や死刑という言葉が余程怖かったのか姉から離れる気配がない。


「ねえ、そろそろ二人きりにさせてほしいんだけど」
「?どうして?」
「…妹と話したいことがあるんだ」
「そっか、わかった」


アレンが紅茶を淹れ終わるとティーカップを彼女の前に置いた。心地よい香りに対して姉は何も思わず、手をつけない。


「飲まないの?」
「後で飲むよ、喉乾いてないから」
「ふうん…、ああ茶菓子も持ってくるね。ここの料理人のお菓子美味しいんだよ。俺も結構好きなんだよね」
「…ねえ」


二人きりにしてよ、妹が疲れてきてる、と言うの飲み込む。ずっと緊張して疲れたのだろう。もう口数も少なくなってきている。
しかし、部屋から出る気のないアレンに姉は眉を顰める。さっきわかったと言ったのに。


「部屋からは出ないよ」
「…私たちを監視するため?」
「そうだよ。どちらかが聖女様かもしれないということはどちらかが偽物の可能性もある」
「…それは」
「まあ、その前に君が逃げないか見ておかないとね」


姉が不快そうにアレンを睨む。


「君は俺のことが嫌いみたいだから」


ソファ座っている姉の背後からぬっと腕が伸びてくる。リオだ。姉に抱きつくと「アレンは怖いね~」と場に合わない明るい声で言った。


「そんなこと言われたら仲良くできないよ~。聖女様は女の子なんだから優しくしないと」
「俺は充分仲良くしてるつもりだよ」
「…」
「監視なんてされたら疲れちゃうよね。ここは聖女様の言う通りにしてあげようよ」


リオの言葉にアレンはにこりと微笑んだ「そうだね、今日はもうゆっくりさせてあげよう。何かあったら呼んでね」と彼はドアに向かった。リオも後を追って「ばいばーい、また後で遊びにくるね!」と手を振った。
ガシャンと閉まったドアを見て、ふうと姉は息を吐いた。


「チカ、ベッド行こう。暫く寝てて」
「うん…お姉ちゃんも一緒に寝よ」
「ええよ」


一緒にベッドに入ると妹はあまり寝付けないのか、でも寝ようとして目を閉じる。その間姉は妹の頭を撫でる。
次第に眠った妹を見て姉は上体を起こした。すうすうと眠っている妹を見て決意する。

この子は絶対に死なせない。どんなことがあっても守り通してみせる。

幼い頃、妹のチカは病弱でずっと入院していた。私は妹には明るくいて欲しかったから学校が終わった後は毎日妹の病室に通っていた。両親は共働きだった。
学校にも行けず他に友達もいなかったチカに私以外に見舞いにする人もいなかった。
お絵描きだって、しりとりだって、ゲームだって。
妹がしたいと言えば何だって叶えた。

そんなチカがこの世界を謳歌したいというのなら私はそれを叶えよう。

私がこの世界から消えれば、元の世界に帰れば、この子は聖女だと確定する。


「…その為にはまずあの部屋を調べないと」


最初にいた聖女様を召喚する部屋。きっと何かある筈。
姉は静かにベッドから出るとドア向かって歩き出した。そして音を立てずにドアを開けて外に出る。
するとすぐに話しかけられた。


「やあ、もう約束は破るの?」
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