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7話 浄化
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俺、浄化の魔法が使えるようになったんだぜ!
シフォンたちに会う前は魔力もほんの少ししかなくて、弟に散々馬鹿にされていた俺がな!……でもなんでだ?
「シフォンは俺に、人間と契約する最後の力として『頑張れば馬鹿力が出る』能力をくれたんだよな?」
不思議に思って聞いてみた。
『それがのぉ、坊が無意識にサフィにも力を与えていたらしくてなあ。サフィが浄化を行使してくれるように強く願ったみたいなのだ。そのせいではないか?』
シフォンは珍しくも、もそもそと小さく答えた。
『その上、死にかけのサフィを見つけた際にな、サフィを死なせないために我らの特別な体液で治癒していたみたいでな。人間の持ち得ぬ体質になっておっても不思議ない』
「へ?」
うん、よくわかんねえけど、俺の力はクゥのおかげってことでOK?
「まあ、そのおかげでくさい臭いを放つ服は綺麗になったし、あの沼も綺麗にできたんだからよかったってことだよな。時間はかかっちまったけどさ」
俺、魔力量少ないからな。
元々なかった魔力だ。ちょっとでも役に立つようになっただけでも充分だろ。
なんつうか、ちょうどいいロマンっていうか。
こういう転生ものってさ、大きな力を手に入れると、陰謀とかに巻き込まれて戦わないといけなくなりそうだろ。
戦いとか、俺、向いてねえしな。
『心配せんでも使ううちに魔力の量はこれから徐々に増えるであろうし、使いこなすうちにスキルも増えるだろう。故にお主は魔力がたまりすぎる前に定期的に放出するか、誰かに譲渡できるよう身体の中で結晶にする方がよいであろうなあ。サフィの器はそれほど大きくなさそうだしの』
……魔力、増えるんかよ。
んで、俺の器、ちっさいのかよ。がっかりだよ。
そんなこと言われた俺は、ただいま絶賛仕分け中だ。
浄化の力を使ってな。放出だよ、放出!
アホみたいな怪力も役立てながら、冒険者の物と思われる荷物をうんしょうんしょと片付けている。
いや、あの『メイド イン ナンテコッタ』と書かれた袋、むっちゃ荷物が入ってるんだよ。
次から次へと出てきて、ゴミも入ってたけど、なんかやる気になった俺は袋ごとに荷物を入れ替えることにしたのだ。
ウエストポーチみたいな小さめの袋は、リュック3つ分くらいの荷物が入るみたいで、10個ある。
肩に掛けられる中くらいの袋は車1台くらい入るらしく、3個ある。
リュクタイプの大きい袋は今のところ、無限に入りそうで1個しかないけど、そんなに大きな物はないから使い道は今後もないかもしれねえな。
それぞれを綺麗に洗って、浄化もして金属の物は磨いてみた。
種類ごとに袋に入れたら、袋がいくつか余ったんだけど、そこで閃いたのだ。
袋に袋は入らねえのかなって。
やってみたらできてしまった。
だから全ての物をそれぞれの袋に入れて、最後に肩に斜めにかけるポーチに入れたら収まってしまった。
あの山のような荷物が。
で、シフォンもクゥも『人間のものなど使いようもないしいらない』っていうから貰うことにしたのだ。
なんだかものすごくお金持ちになった気分だ。
元手0で宝石ザクザクだぜ。
まあ、ここにいたら宝石なんて無用の長物なんだけどなー。
☆☆☆
『サフィ、それは食えんぞ。笑いながら死にたくなったら食えばいいと思うが』
ふむ、笑い茸みたいなものかな?
『幸福死茸というのだ』
幸せなのか不幸なのかわからないネーミングだ。
冒険者の荷物にあった筆記具に、黄色に茶色の水玉模様をメモメモする。
最近の俺は、シフォンとクゥに連れられて森の中での暮らし方を教わっている。
といってもここはシフォンの家の前なんだけどな。
火の魔法も水の魔法も少しだけ使えるようになった。
訓練の賜だ。
他にも、全ての属性の力がほんの少しずつ使えるはずらしい。
シフォンが譲ってくれた力はどれもレベル1として譲渡されていて、それをそれ以上に使いこなせるかは本人次第なんだってさー。
訓練でレベルを上げればもっと使えるようになるぞと言われたけど、火も水も普通の火力と普通の水道水が使えるようになるまで結構大変だった。
ひと月はかかった。
元々の素質が無い人間が、無理矢理手に入れた力なのだ。それなりの苦労をしなければ、使いこなせるわけがねえってことだな。
まあつまり、火と水が使えるようになったのは、それ相応の訓練をしたおかげというわけなので、不便がないなら今のままでいいよなって遠い目で思ってる。
それに比べて、風の魔法はすぐ使えるようになったんだよ。
それは『馬鹿力』の能力が風の魔法を応用した物だったからのようだ。
あの時シフォンが行った『馬鹿力』の譲渡は、たった1つだけ組み込めるしっかりとした術式での譲渡だったため俺の体にすぐに馴染んだらしい。
使い方次第で、自分の体重のコントロールもできるって言われてもな。
俺が女だったら有り難い能力だったんだろうけど。
それにしてもなんで森で暮らす力をつけようとしてるのかって?
だってさあ、真っ直ぐ家に帰ってもいいことなさそうだろ?
後2年くらいすると、弟のクリスは癒しの能力に目覚めるんだよ。
「お前『癒しの天使』降臨かよー」みたいに、おこぼれを貰った時なんかに使うちょっとした流行ワードになったくらいだから、多分間違ってねえと思う。
この世界でも癒しの能力は本っっっとに珍しくて、クリスがチヤホヤされだすのが簡単に想像できちまう。
病気も怪我も治しちまうんだから、当たり前っちゃ当たり前か。
すると俺はますます肩身の狭い思いをするようになってな、クリスへのイジメをエスカレートしていくってわけ。
で、みんなから嫌われて最終的に殺される、と。
そんなところに帰りたくねえだろう?
俺が表に出る前のサフィってさ、父さんは母さんを裏切ったんだとか、後妻が父さんの目に届かない影で陰湿だとか色んな理由から、意地とかプライドとかガッチガチで素直に甘えることも出来なくなっててさ。
他人に優しくして裏切られたりとかもあって人間不信だったんだよ。
そのせいで周りから煙たがられてるっつう状況なのに、クリスってこの漫画知ってて行動してるっぽいからなあ。
そもそも俺はそういった能力がほぼない設定だし、ここは魔法のある世界だけど、使える人は限られてる。
それこそ王族くらいじゃなかったか?割と自由に使えるの。
その王族だって全員が全員、自由に使えるわけではないみたいだし。
俺が魔法を使えるようになったってことがバレれば面倒なことにもなりそうだし、このまま外に出て元の生活するのは危険しかねえだろ。
ならバレないように生活したらいいんだろうけど、使えるもんは使っちまうもんね。
ぜってえバレるし。だから戻れねえ。
『だから、サフィ。それは食えんぞ。眠ったまま死にたい時になら食えばいいが』
そうか。
この白色に黒の縦シマ茸『シマウマ茸は安楽死茸』な。書き書き。
「っていうか、食べられるものってないのか?」
さっきからこの辺りにあるものって毒の物ばっかりじゃねえか。
『其方の足に踏みつけられてる草は、甘くて美味しいぞ。我は好きだ』
どれどれ、甘い草とな。これかな?
ぱく。
「ぐぇぇぇ!騙された!」
くっそマズイんですけど!ぺっぺっ!
『我が言ったのはそれではない。甘い匂いがするであろうが!なぜサフィは毒草ばかり手にするのだ』
全く世話のやけると、ふんふんと匂いを嗅いだあと口に咥えた草を頰に押し付けられた。
犬じゃないんだから、匂いなんかわかるかい。
ぱく。
むむむ~、甘、いかなあ?
わかんねえ。マズくはないけども。
『根っこのところが黄色いであろう?白やピンクの物はまた違う味がするのだ』
へえ。
美味しい!とはならないけど、食べられるならたくさん抜いておこうっと。
食べ物ないの辛かったからな。
「あ、こっちの根っこは白い」
ぱく。
ん~、しょっぱい?やっぱりわかんねえ。
じゃあこっちのピンクのは?
ぱく。
あ、これは辛い。これはわかるわ。
「うん、シフォンの言ってる意味がわかったわ。コレが一番美味しいかも」
にっこり笑って「ありがと」って言ったら『お、おう。人間にお礼言われるとか、マジレア、照れる』とかなんかボソッとわからねえことを呟いて、シフォンがどこかに行ってしまった。
いくら結界内のシフォンの庭だとしても、こんな原っぱにおいていかれても困るんだけど!
慌てて、クゥがシフォンを追いかけようとしているのを捕まえる。
「クゥは俺のこと置いていかねえよな?」
『ク、クゥ』
クゥを抱きしめると、諦めたように頷いた。
もうこうなったら草を抜く。
そりゃあ、もう冒険者のカバンに入るだけ入れてやろう。
んで、なんとなくこの辺りの草むしりを終えたら綺麗な庭になってた。
と、シフォンが帰ってきた~!
「お帰り~!」
待ってた、ぞ……?
ズルズルと引きずってきたのは、なんだか大きな、クマ、かな?
「ど、どうしたんだ?シフォン」
口の周り真っ赤だぞ、ちとコワイぞ。
『サフィが腹を空かせているかと思ってな。草ばかりではかわいそうだと思って、狩ってきたのだ』
照れ顔のシフォンだが、口の周りの血が怖さを演出しとる。
「そ、そうですか。ありがとうございます」
しかし、この熊、美味しいのだろうか?
この後俺は、この熊の生臭さを消すために冒険者ノートを見ながら、抜いた調味料を調合することになった。
あまりにもたくさん抜いた草のせいで乾燥と粉砕を繰り返しているうちに、あんまり覚えなくていいやと思っていた火魔法のレベルが少しずつ上がることになってしまっていることには気づいていなかった。
シフォンたちに会う前は魔力もほんの少ししかなくて、弟に散々馬鹿にされていた俺がな!……でもなんでだ?
「シフォンは俺に、人間と契約する最後の力として『頑張れば馬鹿力が出る』能力をくれたんだよな?」
不思議に思って聞いてみた。
『それがのぉ、坊が無意識にサフィにも力を与えていたらしくてなあ。サフィが浄化を行使してくれるように強く願ったみたいなのだ。そのせいではないか?』
シフォンは珍しくも、もそもそと小さく答えた。
『その上、死にかけのサフィを見つけた際にな、サフィを死なせないために我らの特別な体液で治癒していたみたいでな。人間の持ち得ぬ体質になっておっても不思議ない』
「へ?」
うん、よくわかんねえけど、俺の力はクゥのおかげってことでOK?
「まあ、そのおかげでくさい臭いを放つ服は綺麗になったし、あの沼も綺麗にできたんだからよかったってことだよな。時間はかかっちまったけどさ」
俺、魔力量少ないからな。
元々なかった魔力だ。ちょっとでも役に立つようになっただけでも充分だろ。
なんつうか、ちょうどいいロマンっていうか。
こういう転生ものってさ、大きな力を手に入れると、陰謀とかに巻き込まれて戦わないといけなくなりそうだろ。
戦いとか、俺、向いてねえしな。
『心配せんでも使ううちに魔力の量はこれから徐々に増えるであろうし、使いこなすうちにスキルも増えるだろう。故にお主は魔力がたまりすぎる前に定期的に放出するか、誰かに譲渡できるよう身体の中で結晶にする方がよいであろうなあ。サフィの器はそれほど大きくなさそうだしの』
……魔力、増えるんかよ。
んで、俺の器、ちっさいのかよ。がっかりだよ。
そんなこと言われた俺は、ただいま絶賛仕分け中だ。
浄化の力を使ってな。放出だよ、放出!
アホみたいな怪力も役立てながら、冒険者の物と思われる荷物をうんしょうんしょと片付けている。
いや、あの『メイド イン ナンテコッタ』と書かれた袋、むっちゃ荷物が入ってるんだよ。
次から次へと出てきて、ゴミも入ってたけど、なんかやる気になった俺は袋ごとに荷物を入れ替えることにしたのだ。
ウエストポーチみたいな小さめの袋は、リュック3つ分くらいの荷物が入るみたいで、10個ある。
肩に掛けられる中くらいの袋は車1台くらい入るらしく、3個ある。
リュクタイプの大きい袋は今のところ、無限に入りそうで1個しかないけど、そんなに大きな物はないから使い道は今後もないかもしれねえな。
それぞれを綺麗に洗って、浄化もして金属の物は磨いてみた。
種類ごとに袋に入れたら、袋がいくつか余ったんだけど、そこで閃いたのだ。
袋に袋は入らねえのかなって。
やってみたらできてしまった。
だから全ての物をそれぞれの袋に入れて、最後に肩に斜めにかけるポーチに入れたら収まってしまった。
あの山のような荷物が。
で、シフォンもクゥも『人間のものなど使いようもないしいらない』っていうから貰うことにしたのだ。
なんだかものすごくお金持ちになった気分だ。
元手0で宝石ザクザクだぜ。
まあ、ここにいたら宝石なんて無用の長物なんだけどなー。
☆☆☆
『サフィ、それは食えんぞ。笑いながら死にたくなったら食えばいいと思うが』
ふむ、笑い茸みたいなものかな?
『幸福死茸というのだ』
幸せなのか不幸なのかわからないネーミングだ。
冒険者の荷物にあった筆記具に、黄色に茶色の水玉模様をメモメモする。
最近の俺は、シフォンとクゥに連れられて森の中での暮らし方を教わっている。
といってもここはシフォンの家の前なんだけどな。
火の魔法も水の魔法も少しだけ使えるようになった。
訓練の賜だ。
他にも、全ての属性の力がほんの少しずつ使えるはずらしい。
シフォンが譲ってくれた力はどれもレベル1として譲渡されていて、それをそれ以上に使いこなせるかは本人次第なんだってさー。
訓練でレベルを上げればもっと使えるようになるぞと言われたけど、火も水も普通の火力と普通の水道水が使えるようになるまで結構大変だった。
ひと月はかかった。
元々の素質が無い人間が、無理矢理手に入れた力なのだ。それなりの苦労をしなければ、使いこなせるわけがねえってことだな。
まあつまり、火と水が使えるようになったのは、それ相応の訓練をしたおかげというわけなので、不便がないなら今のままでいいよなって遠い目で思ってる。
それに比べて、風の魔法はすぐ使えるようになったんだよ。
それは『馬鹿力』の能力が風の魔法を応用した物だったからのようだ。
あの時シフォンが行った『馬鹿力』の譲渡は、たった1つだけ組み込めるしっかりとした術式での譲渡だったため俺の体にすぐに馴染んだらしい。
使い方次第で、自分の体重のコントロールもできるって言われてもな。
俺が女だったら有り難い能力だったんだろうけど。
それにしてもなんで森で暮らす力をつけようとしてるのかって?
だってさあ、真っ直ぐ家に帰ってもいいことなさそうだろ?
後2年くらいすると、弟のクリスは癒しの能力に目覚めるんだよ。
「お前『癒しの天使』降臨かよー」みたいに、おこぼれを貰った時なんかに使うちょっとした流行ワードになったくらいだから、多分間違ってねえと思う。
この世界でも癒しの能力は本っっっとに珍しくて、クリスがチヤホヤされだすのが簡単に想像できちまう。
病気も怪我も治しちまうんだから、当たり前っちゃ当たり前か。
すると俺はますます肩身の狭い思いをするようになってな、クリスへのイジメをエスカレートしていくってわけ。
で、みんなから嫌われて最終的に殺される、と。
そんなところに帰りたくねえだろう?
俺が表に出る前のサフィってさ、父さんは母さんを裏切ったんだとか、後妻が父さんの目に届かない影で陰湿だとか色んな理由から、意地とかプライドとかガッチガチで素直に甘えることも出来なくなっててさ。
他人に優しくして裏切られたりとかもあって人間不信だったんだよ。
そのせいで周りから煙たがられてるっつう状況なのに、クリスってこの漫画知ってて行動してるっぽいからなあ。
そもそも俺はそういった能力がほぼない設定だし、ここは魔法のある世界だけど、使える人は限られてる。
それこそ王族くらいじゃなかったか?割と自由に使えるの。
その王族だって全員が全員、自由に使えるわけではないみたいだし。
俺が魔法を使えるようになったってことがバレれば面倒なことにもなりそうだし、このまま外に出て元の生活するのは危険しかねえだろ。
ならバレないように生活したらいいんだろうけど、使えるもんは使っちまうもんね。
ぜってえバレるし。だから戻れねえ。
『だから、サフィ。それは食えんぞ。眠ったまま死にたい時になら食えばいいが』
そうか。
この白色に黒の縦シマ茸『シマウマ茸は安楽死茸』な。書き書き。
「っていうか、食べられるものってないのか?」
さっきからこの辺りにあるものって毒の物ばっかりじゃねえか。
『其方の足に踏みつけられてる草は、甘くて美味しいぞ。我は好きだ』
どれどれ、甘い草とな。これかな?
ぱく。
「ぐぇぇぇ!騙された!」
くっそマズイんですけど!ぺっぺっ!
『我が言ったのはそれではない。甘い匂いがするであろうが!なぜサフィは毒草ばかり手にするのだ』
全く世話のやけると、ふんふんと匂いを嗅いだあと口に咥えた草を頰に押し付けられた。
犬じゃないんだから、匂いなんかわかるかい。
ぱく。
むむむ~、甘、いかなあ?
わかんねえ。マズくはないけども。
『根っこのところが黄色いであろう?白やピンクの物はまた違う味がするのだ』
へえ。
美味しい!とはならないけど、食べられるならたくさん抜いておこうっと。
食べ物ないの辛かったからな。
「あ、こっちの根っこは白い」
ぱく。
ん~、しょっぱい?やっぱりわかんねえ。
じゃあこっちのピンクのは?
ぱく。
あ、これは辛い。これはわかるわ。
「うん、シフォンの言ってる意味がわかったわ。コレが一番美味しいかも」
にっこり笑って「ありがと」って言ったら『お、おう。人間にお礼言われるとか、マジレア、照れる』とかなんかボソッとわからねえことを呟いて、シフォンがどこかに行ってしまった。
いくら結界内のシフォンの庭だとしても、こんな原っぱにおいていかれても困るんだけど!
慌てて、クゥがシフォンを追いかけようとしているのを捕まえる。
「クゥは俺のこと置いていかねえよな?」
『ク、クゥ』
クゥを抱きしめると、諦めたように頷いた。
もうこうなったら草を抜く。
そりゃあ、もう冒険者のカバンに入るだけ入れてやろう。
んで、なんとなくこの辺りの草むしりを終えたら綺麗な庭になってた。
と、シフォンが帰ってきた~!
「お帰り~!」
待ってた、ぞ……?
ズルズルと引きずってきたのは、なんだか大きな、クマ、かな?
「ど、どうしたんだ?シフォン」
口の周り真っ赤だぞ、ちとコワイぞ。
『サフィが腹を空かせているかと思ってな。草ばかりではかわいそうだと思って、狩ってきたのだ』
照れ顔のシフォンだが、口の周りの血が怖さを演出しとる。
「そ、そうですか。ありがとうございます」
しかし、この熊、美味しいのだろうか?
この後俺は、この熊の生臭さを消すために冒険者ノートを見ながら、抜いた調味料を調合することになった。
あまりにもたくさん抜いた草のせいで乾燥と粉砕を繰り返しているうちに、あんまり覚えなくていいやと思っていた火魔法のレベルが少しずつ上がることになってしまっていることには気づいていなかった。
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