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1章
追放
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アイラの叫びが屋敷に響いても、
誰も振り返らなかった。
その沈黙の痛さに耐えきれず、
アイラは涙で視界を滲ませながら家族にもう一度手を伸ばす。
「いやだ……パパ……ママ……行きたくないよ……!」
しかしガルド公爵は、硬い表情のまま命じた。
「……連れていけ」
その一言で、侍女たちがアイラに近づく。
彼女たちも涙ぐんでいたが、
その手は決して震えることを許されないほど厳しく教育されていた。
「いやっ……やだっ! 離して……!」
もがくアイラの腕を、使用人の手がそっと捕まえる。
痛くないように、優しく。
でも確実に逃げられない強さで。
大好きだった屋敷の廊下。
毎朝走った中庭。
母とお茶会をした温室。
兄姉と笑い合った書庫。
その全てが、遠ざかっていく。
(どうして……どうして、急に……?
昨日まで、あんなに優しかったのに……)
胸が痛む。
息が苦しい。
心がちぎれそうだった。
屋敷の正門に着くと、
黒い馬車が待っていた。
アイラは泣きながら扉を掴む。
「パパぁ……ママ……お願い……!
わたし、どこにもいかないから……!
悪いことしないから……!」
だが、ガルドはその言葉に眉一つ動かさなかった。
「……アイラ。
これは“お前のため”だ。
外で生きるほうが……アルセリア公爵家のためにも、そしてお前のためにも良い」
(嘘だ……全部、嘘だ……)
アイラはもう、わかっていた。
家族は恐れている。
魔力測定で明らかになる“異質すぎる力”を。
このままでは、公爵家の名誉も、政治的立場も揺らぐ。
──だから、消す。
それが“本音”だと、幼いながらに理解してしまった。
馬車に押し込まれ、、扉が閉まる直前──
家族の姿が見えた。
母は泣きながら口元を押さえ、
兄は拳を握り、
姉は今にも倒れそうなほど青ざめていた。
だけど──
誰もアイラを抱きしめてくれなかった。
馬車は動き出す。
「やだぁぁぁぁ!! 家に帰りたいよ!!」
泣き叫ぶ声が遠ざかり、
アルセリア公爵家はその声を無視するように静かに佇む。
やがて馬車が森に入る頃──
風が、ふと優しく吹いた。
森の奥から聞こえる気配。
──安心しろ。
──もうすぐ迎えに行く。
──愛し子よ、泣かないで。
それは確かに、
フェンリル、ウィングキャット、シャドーベアの気配だった。
アイラの孤独な旅は始まったばかり。
だが同時に──
本当の家族に出会う物語が動き始めたのだった。
誰も振り返らなかった。
その沈黙の痛さに耐えきれず、
アイラは涙で視界を滲ませながら家族にもう一度手を伸ばす。
「いやだ……パパ……ママ……行きたくないよ……!」
しかしガルド公爵は、硬い表情のまま命じた。
「……連れていけ」
その一言で、侍女たちがアイラに近づく。
彼女たちも涙ぐんでいたが、
その手は決して震えることを許されないほど厳しく教育されていた。
「いやっ……やだっ! 離して……!」
もがくアイラの腕を、使用人の手がそっと捕まえる。
痛くないように、優しく。
でも確実に逃げられない強さで。
大好きだった屋敷の廊下。
毎朝走った中庭。
母とお茶会をした温室。
兄姉と笑い合った書庫。
その全てが、遠ざかっていく。
(どうして……どうして、急に……?
昨日まで、あんなに優しかったのに……)
胸が痛む。
息が苦しい。
心がちぎれそうだった。
屋敷の正門に着くと、
黒い馬車が待っていた。
アイラは泣きながら扉を掴む。
「パパぁ……ママ……お願い……!
わたし、どこにもいかないから……!
悪いことしないから……!」
だが、ガルドはその言葉に眉一つ動かさなかった。
「……アイラ。
これは“お前のため”だ。
外で生きるほうが……アルセリア公爵家のためにも、そしてお前のためにも良い」
(嘘だ……全部、嘘だ……)
アイラはもう、わかっていた。
家族は恐れている。
魔力測定で明らかになる“異質すぎる力”を。
このままでは、公爵家の名誉も、政治的立場も揺らぐ。
──だから、消す。
それが“本音”だと、幼いながらに理解してしまった。
馬車に押し込まれ、、扉が閉まる直前──
家族の姿が見えた。
母は泣きながら口元を押さえ、
兄は拳を握り、
姉は今にも倒れそうなほど青ざめていた。
だけど──
誰もアイラを抱きしめてくれなかった。
馬車は動き出す。
「やだぁぁぁぁ!! 家に帰りたいよ!!」
泣き叫ぶ声が遠ざかり、
アルセリア公爵家はその声を無視するように静かに佇む。
やがて馬車が森に入る頃──
風が、ふと優しく吹いた。
森の奥から聞こえる気配。
──安心しろ。
──もうすぐ迎えに行く。
──愛し子よ、泣かないで。
それは確かに、
フェンリル、ウィングキャット、シャドーベアの気配だった。
アイラの孤独な旅は始まったばかり。
だが同時に──
本当の家族に出会う物語が動き始めたのだった。
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