家族に捨てられたけど、もふもふ最強従魔に愛されました

朔夜

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2章

追放の理由

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焚き火のはぜる音だけが、静かな森に響いていた。
アイラは、フェンリルの前に座りながら、
胸の奥に小さく灯る“違和感”の正体を求めていた。
「……ねぇ、フェンリル。
パパも、ママも……昔は優しかったの。
ずっと笑ってくれて……いっぱい抱きしめてくれた。
だから……わたし……よくわからないの」
フェンリルは大きな尾を揺らし、深くうなずいた。
『ああ。
ガルドも、お前の母も……最初は心からお前を愛していた。
それは紛れもない事実だ』
ウィングキャットも頬をすり寄せながら言った。
『アイラが赤ちゃんのとき、
ママはずっと抱っこしてたよ?
眠れなくて泣く夜も、優しく歌ってた』
シャドーベアが小さな手でアイラの袖をつまんだ。
『……10歳までは……本当に幸せだった……』
アイラはぎゅっと胸を押さえた。
「……うん。
毎日、楽しかった。
家族が大好きだった」
だが、フェンリルの瞳がわずかに曇る。
『すべてが変わったのは──
“魔力測定の日”だ』
焚き火がぱちりと大きく弾けた。
アイラの指が震える。
「……あの日……?」
フェンリルは静かに語り始めた。
『この国では、10歳になると“正式な魔力測定”を行う。
お前も、公爵家の子として例外ではなかった』
天空猫が小さくうなずく。
『本当はね、記録だけのはずだった。
「少し魔力が強いかもね」って言われてるくらいで……
深刻なものじゃなかったの』
けれど──
影熊が震える声で言う。
『……測定器が……壊れた……』
アイラの呼吸が止まった。
(……壊れた……?)
フェンリルは重々しく告げた。
『壊れただけではない。
王都にある“上位魔導師用の測定水晶”ですら、お前のせいで粉砕した』
アイラの心臓が跳ねる。
「……わ、たし……?」
『そうだ。
測定器の魔力上限は“成人の上位魔術師の5倍”。
お前は──
その 二十倍 を叩き出した』
焚き火の光が揺れて見える。
「二十倍……? そんな……」
信じられない。
自分がそんな怪物みたいな数字を出したなんて。
だがフェンリルは続ける。
『王城の監視塔が異常魔力として検知し、
大騒ぎになった。
「公爵家に危険な存在がいる」
「制御できなければ国家災厄になる」
そんな声が次々に上がった』
天空猫がしょんぼりとうつむく。
『お母さん……泣いてた。
“どうして……あの子がこんなにも強いの……”って』
影熊は苦しそうに影を揺らした。
『……そして、アイラの魔力は……
抑制魔法も、封印魔具も効かなかった……』
アイラの胸がぎゅっと締め付けられる。
(わたし……そんなに……?)
フェンリルは、包み込むようにアイラを抱き寄せた。
『ガルドは最後まで必死だった。
「娘を守る」と訴え続けた。
だが……周囲の恐怖が勝った。』
少しの沈黙の後、フェンリルは低く告げた。
『──そして決まったのだ。
“他国に知られる前に、森で死んだことにする” と。』
アイラの身体から、色が抜け落ちたように力が抜けた。
「……わたし……
“強すぎた”から……?」
フェンリルは力強く、しかし優しく抱きしめる。
『違う。
お前が強すぎたのではない。
周りが弱かったのだ。
愛するより、理解するより──
恐れる方が簡単だったのだ』
アイラの目に涙があふれる。
(愛されていたのに……
でも、力を知った途端……家族は背を向けた……?)
フェンリルはその涙を舌でそっと拭った。
『だから我らは誓う。
お前が力を恥じる必要はない。
その力は祝福だ。
──我らの“家族”として生きるための』
ウィングキャットがぎゅっと抱き付く。
『アイラはね、弱くなんかないよ。
誰よりも、優しいの!』
シャドーベアも涙目でうなずく。
『……泣かないで……
ぼくたちがついてる……ずっと』
焚き火の暖かさが、ゆっくりとアイラの心に灯る。
そして、アイラは小さく息を吸った。
「……全部、知りたい。
どうしてわたしが強いのか……
この力が何なのか……
ちゃんと、向き合いたい」
フェンリルの蒼い瞳が輝く。
『ならば行こう。
お前の力の源に──
“星降りの森”の奥へ』
こうして、
アイラの“真の力”の旅が始まった
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