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episode.16 ②
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月明かりに照らされているリディオの横顔を見たいのだが、ソフィアは夜空を見上げた。
「今日は月が明るいですね。明日は晴れでしょうか」
「かもな。サンドロは天を味方につける男らしい」
「………自分で言ってました?」
「自分で言っていた」
ふふっとソフィアが笑うのに合わせてリディオも小さく笑った。
そんな横顔に、やはり見惚れてしまう。
「サンドロと旅へ出る事を望んでいないと言っていたな。お前がこの地にこだわる理由はなんだ?」
「!」
やはりリディオはあの日、ソフィアの言葉を聞いていた。
ソフィアが苦笑いを浮かべる。
「意地とかプライドとか、そんなやつだと思います。あの時はサンドロに、私の代わりはいくらでもいるって言われてちょっとムカついちゃったんです」
あの言い方はちょっと酷かったよな、とソフィアは反省した。
「私は先生の弟子なので、先生の亡き後は誰がなんと言おうと私が、ここの薬師なんです」
再び夜空を見上げたソフィアだったが、横目でリディオを盗み見る事をやめられなかった。
「今、何を考えていますか?」
明るい月明かりで表情はしっかり見えているのに、リディオの顔色からその心情を察する事はソフィアには出来なかった。
リディオが冷酷だと言われる所以は、そう振る舞う態度の他に、このあまりにも綺麗に整ったポーカーフェイスのせいでもあるかもしれない。
リディオの出っ張った喉仏がコクッと動くのをソフィアはまじまじと見ていた。
「お前が、どこにもいかずこの地にいる理由が、お前が師の意思を継いだ薬師だという事に加えて、俺がここにいるからだったら良いのにと、思っていた」
「…え」
「何よりも誰よりも、俺を選べばいいのにと…そんな欲深いことを考えている」
「欲…深い………」
何を言っているのか、頭がついていかないソフィアは、意味もなくリディオの言葉を繰り返すしか出来ずにいる。
「俺は騎士だ。何かあった時、俺はお前を1番に選べないかもしれない。なのに俺は、お前が俺を選べばいいと思っている」
「……………仕事の…話…?」
この夜空の様に深く暗い藍がかったリディオの瞳が、ただただ戸惑っているソフィアに向けられる。
ソフィアはぎょろぎょろと目を泳がせていた。
「あは…あはは!そ、そりゃあリディオさんに何かあった時は1番に優先させますよ!」
「いや、そういう話じゃーー」
「あっ!あ、あ!そろそろ戻らないと!美味しいもの全部食べられちゃいますよ!行きましょ!」
ほらほら、とソフィアはリディオの背中を押した。
「遅かったな。急患いたのか?」
カストが頬にお肉を詰め込んだ姿はまさにリスのようで可愛らしい。そんなカストをじっと見つめる事で、ソフィアは冷静さを取り戻そうとしていた。
「大丈夫!ちょっと流れ星を見てただけ」
ふんふんと荒い鼻息を立てるソフィアに、カストは「流れ星?」と夜空を見上げた。
「ソフィ!君にイルカの島の話がしたいヨ!こっち来て!」
「はいっ!!すぐ行きます!」
この時はやけに心臓が高鳴って自分ではどうしようも無くて、リディオから逃げる様にソフィアはサンドロに駆け寄った。
後になぜ逃げてしまったのかと未来の自分が頭を悩ませ後悔する姿など、この時のソフィアは想像する余裕もなかった。
「今日は月が明るいですね。明日は晴れでしょうか」
「かもな。サンドロは天を味方につける男らしい」
「………自分で言ってました?」
「自分で言っていた」
ふふっとソフィアが笑うのに合わせてリディオも小さく笑った。
そんな横顔に、やはり見惚れてしまう。
「サンドロと旅へ出る事を望んでいないと言っていたな。お前がこの地にこだわる理由はなんだ?」
「!」
やはりリディオはあの日、ソフィアの言葉を聞いていた。
ソフィアが苦笑いを浮かべる。
「意地とかプライドとか、そんなやつだと思います。あの時はサンドロに、私の代わりはいくらでもいるって言われてちょっとムカついちゃったんです」
あの言い方はちょっと酷かったよな、とソフィアは反省した。
「私は先生の弟子なので、先生の亡き後は誰がなんと言おうと私が、ここの薬師なんです」
再び夜空を見上げたソフィアだったが、横目でリディオを盗み見る事をやめられなかった。
「今、何を考えていますか?」
明るい月明かりで表情はしっかり見えているのに、リディオの顔色からその心情を察する事はソフィアには出来なかった。
リディオが冷酷だと言われる所以は、そう振る舞う態度の他に、このあまりにも綺麗に整ったポーカーフェイスのせいでもあるかもしれない。
リディオの出っ張った喉仏がコクッと動くのをソフィアはまじまじと見ていた。
「お前が、どこにもいかずこの地にいる理由が、お前が師の意思を継いだ薬師だという事に加えて、俺がここにいるからだったら良いのにと、思っていた」
「…え」
「何よりも誰よりも、俺を選べばいいのにと…そんな欲深いことを考えている」
「欲…深い………」
何を言っているのか、頭がついていかないソフィアは、意味もなくリディオの言葉を繰り返すしか出来ずにいる。
「俺は騎士だ。何かあった時、俺はお前を1番に選べないかもしれない。なのに俺は、お前が俺を選べばいいと思っている」
「……………仕事の…話…?」
この夜空の様に深く暗い藍がかったリディオの瞳が、ただただ戸惑っているソフィアに向けられる。
ソフィアはぎょろぎょろと目を泳がせていた。
「あは…あはは!そ、そりゃあリディオさんに何かあった時は1番に優先させますよ!」
「いや、そういう話じゃーー」
「あっ!あ、あ!そろそろ戻らないと!美味しいもの全部食べられちゃいますよ!行きましょ!」
ほらほら、とソフィアはリディオの背中を押した。
「遅かったな。急患いたのか?」
カストが頬にお肉を詰め込んだ姿はまさにリスのようで可愛らしい。そんなカストをじっと見つめる事で、ソフィアは冷静さを取り戻そうとしていた。
「大丈夫!ちょっと流れ星を見てただけ」
ふんふんと荒い鼻息を立てるソフィアに、カストは「流れ星?」と夜空を見上げた。
「ソフィ!君にイルカの島の話がしたいヨ!こっち来て!」
「はいっ!!すぐ行きます!」
この時はやけに心臓が高鳴って自分ではどうしようも無くて、リディオから逃げる様にソフィアはサンドロに駆け寄った。
後になぜ逃げてしまったのかと未来の自分が頭を悩ませ後悔する姿など、この時のソフィアは想像する余裕もなかった。
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