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とりあえず魔獣をどうにかしないといけない。でも昨日のようなストーンバレットだと人にも当たりそうだ。どうしようかな。
考えた私は魔獣だけを空に浮かべた。やってみたらできたって感じだ。生きてる魔獣も死にかけてる魔獣もすべて空に浮かんでいる。その数は相当なもので、一目で見渡せないくらいだ。
いきなり浮かんだので魔獣も状況が把握できないみたいだ。悲鳴のような鳴き声が響きわたり、ジタバタと暴れまくっているのがわかる。騒々しいし、見苦しい。
「ダン様!」
私は近くにいるダン様を呼んだ。しかし普通の声量では聞こえないようで反応がない。もっと大きな声を出してみたのだが、それでも聞こえていないようで魔獣の団体を見つめている。
仕方がない。私は拡声器を思い浮かべる。しかしあれを持つのもなんか嫌だ。それで次はヘッドセットマイクを思い浮かべた。ライブとかで使っているアレだ。あれならオシャレだろう。いや、こんなところでオシャレを気にしてどうする。いやしかし。とにかく、ダン様と相談しないと何もできない。近くには魔法石が落ちている。これを使おう。口元にマイクがあるのがわかった。私は思い切り叫ぶ。
「ダン様!」
周囲に響き渡る私の声。その瞬間静寂が訪れた。人だけではなく、魔獣の鳴き声が止まる。どういう仕組みかわからないが、声が聞こえるならそれでいい。
「リサ・・・」
ようやくダン様が私のほうを向いた。
「もう、あなたには驚かされるばかりです」
呆れたような声だった。いや、何で?
「この後、どうしましょうか」
「いや、どうするって・・・」
これだけの魔獣を一気に片付けていいのか。それとも森に返せばいいのか。人間に危害を加えなければいいのであれば、それでも構わないのだろう。それとも魔法石が必要なのか。それなら選んでもらって・・・。ほら、いろいろな選択肢があるではないか。ダン様に決断してもらわねば。
「増え過ぎた魔獣は淘汰しなければなりません」
どれくらい増えたのだろうか。どうやって増えたのだろうか。本当に1日で増えたのか、それとも隠れていただけで最初から数は多かったとか?ダン様は何も言わず考え込んでいるようだった。
「お待ちください!」
そこに1人の男性が走り出てきた。スーツのような服装をして、丸メガネをかけた男性である。騎士服を着ていない人は動きやすい格好をしているのに、この人の格好は違う。明らかにこの場所にふさわしくない。誰だ?と思わず呟いた。
が、私は拡声器マイクをつけている。そのことを忘れていたので、周囲にその声は響き渡った。
「おいおい、何であんなに大声出せるんだ?」
「何かつけてるぞ、あれのせいだな」
すぐそばで男性2人が話している声が聞こえてきた。その瞬間だが、私は注目を浴びていることに気がついた。ここにいる全員が私を見ているのだ。何なら魔獣でさえ、こっちを見ている。ぐわっ、恥ずかしい。
思わず俯いてしまったが、スーツの男性はズンズンとこちらに向かってきた。ダン様が私の前に立つ。男性はダン様の数メートル前で立ち止まるとひざまづいた。
「ノートン・リンデバーと申します。魔獣を研究している者でございます。本日は研究発表の予定でしたが、知らせを聞いて駆けつけた次第でございます」
魔獣の研究者。大量発生したと聞いて駆けつけたのだろう。だから場に合わないスーツなのか。私は顔を上げて、マジマジと彼の様子を見た。
「可能であれば、魔獣を観察させて欲しいのです。こんな機会は二度とありません。浮かんでいる状態であれば、さほど危険はないでしょう」
ノートンは早口でそう訴えてくる。ノートンは小柄で筋肉も少なそうなひ弱な体型をしている。魔獣を探す体力があるようには見えない。魔獣は基本森の中で生活している。森に行かない限り、実際に見ることはできない。森から出せば魔法石になって消えてしまうからだ。
「俺からも頼みたい」
そう声を上げたのは、身長2メートルくらいありそうな筋骨隆々の大男だった。腕も足も私の身体くらいありそうで、とにかく筋肉が半端ないくらいにつきまくっている。そんな男がユラリと出てきたので驚いた。
「ギルド長のマジフカだ。ノートンが研究をしてくれれば、我々も助かる」
ギルド長出てきた。と、私の心は盛り上がった。少女マンガのはずなのにギルドがあるんだ。でも魔獣がいるならそれもあるかな、と冷静になったのだった。
考えた私は魔獣だけを空に浮かべた。やってみたらできたって感じだ。生きてる魔獣も死にかけてる魔獣もすべて空に浮かんでいる。その数は相当なもので、一目で見渡せないくらいだ。
いきなり浮かんだので魔獣も状況が把握できないみたいだ。悲鳴のような鳴き声が響きわたり、ジタバタと暴れまくっているのがわかる。騒々しいし、見苦しい。
「ダン様!」
私は近くにいるダン様を呼んだ。しかし普通の声量では聞こえないようで反応がない。もっと大きな声を出してみたのだが、それでも聞こえていないようで魔獣の団体を見つめている。
仕方がない。私は拡声器を思い浮かべる。しかしあれを持つのもなんか嫌だ。それで次はヘッドセットマイクを思い浮かべた。ライブとかで使っているアレだ。あれならオシャレだろう。いや、こんなところでオシャレを気にしてどうする。いやしかし。とにかく、ダン様と相談しないと何もできない。近くには魔法石が落ちている。これを使おう。口元にマイクがあるのがわかった。私は思い切り叫ぶ。
「ダン様!」
周囲に響き渡る私の声。その瞬間静寂が訪れた。人だけではなく、魔獣の鳴き声が止まる。どういう仕組みかわからないが、声が聞こえるならそれでいい。
「リサ・・・」
ようやくダン様が私のほうを向いた。
「もう、あなたには驚かされるばかりです」
呆れたような声だった。いや、何で?
「この後、どうしましょうか」
「いや、どうするって・・・」
これだけの魔獣を一気に片付けていいのか。それとも森に返せばいいのか。人間に危害を加えなければいいのであれば、それでも構わないのだろう。それとも魔法石が必要なのか。それなら選んでもらって・・・。ほら、いろいろな選択肢があるではないか。ダン様に決断してもらわねば。
「増え過ぎた魔獣は淘汰しなければなりません」
どれくらい増えたのだろうか。どうやって増えたのだろうか。本当に1日で増えたのか、それとも隠れていただけで最初から数は多かったとか?ダン様は何も言わず考え込んでいるようだった。
「お待ちください!」
そこに1人の男性が走り出てきた。スーツのような服装をして、丸メガネをかけた男性である。騎士服を着ていない人は動きやすい格好をしているのに、この人の格好は違う。明らかにこの場所にふさわしくない。誰だ?と思わず呟いた。
が、私は拡声器マイクをつけている。そのことを忘れていたので、周囲にその声は響き渡った。
「おいおい、何であんなに大声出せるんだ?」
「何かつけてるぞ、あれのせいだな」
すぐそばで男性2人が話している声が聞こえてきた。その瞬間だが、私は注目を浴びていることに気がついた。ここにいる全員が私を見ているのだ。何なら魔獣でさえ、こっちを見ている。ぐわっ、恥ずかしい。
思わず俯いてしまったが、スーツの男性はズンズンとこちらに向かってきた。ダン様が私の前に立つ。男性はダン様の数メートル前で立ち止まるとひざまづいた。
「ノートン・リンデバーと申します。魔獣を研究している者でございます。本日は研究発表の予定でしたが、知らせを聞いて駆けつけた次第でございます」
魔獣の研究者。大量発生したと聞いて駆けつけたのだろう。だから場に合わないスーツなのか。私は顔を上げて、マジマジと彼の様子を見た。
「可能であれば、魔獣を観察させて欲しいのです。こんな機会は二度とありません。浮かんでいる状態であれば、さほど危険はないでしょう」
ノートンは早口でそう訴えてくる。ノートンは小柄で筋肉も少なそうなひ弱な体型をしている。魔獣を探す体力があるようには見えない。魔獣は基本森の中で生活している。森に行かない限り、実際に見ることはできない。森から出せば魔法石になって消えてしまうからだ。
「俺からも頼みたい」
そう声を上げたのは、身長2メートルくらいありそうな筋骨隆々の大男だった。腕も足も私の身体くらいありそうで、とにかく筋肉が半端ないくらいにつきまくっている。そんな男がユラリと出てきたので驚いた。
「ギルド長のマジフカだ。ノートンが研究をしてくれれば、我々も助かる」
ギルド長出てきた。と、私の心は盛り上がった。少女マンガのはずなのにギルドがあるんだ。でも魔獣がいるならそれもあるかな、と冷静になったのだった。
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