ここは少女マンガの世界みたいだけど、そんなこと知ったこっちゃない

ゆーぞー

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 デザートは別腹とは誰が言い出したことなのだろうか。別のお腹なんてないんだろうけどさ。満腹だけど何か食べたいと思うのは何故だろうか。きちんと食べたはずなのに、どうしてだかデザートも食べなきゃという気になっている。食べたいものは食べたい。

 そこで出したのがプリンアラモードだ。どうしてこんなものを出してしまったのか。それは以前行った都心のカフェで食べたものを思い出してしまったからだ。思い出してしまったのだから仕方がない。プリンを真ん中に見事に飾り切りされたさまざまなフルーツが脇を彩り、生クリームもふんだんに盛られている。まさに芸術品。そしてカロリーも半端なくお値段もあっと驚く代物であった。

 一度だけしか食べていないが、印象は強烈だった。そしてパスタの後のデザートにしていいのだろうかと思ったが、もう引き返すことはできない。こうなってしまった以上責任を取って食べるしかないのだ。体重って魔法でどうにかできないだろうか。

「これは・・・」
「素敵・・・」
「リサはすごいなぁ」
「見たことがありません」
「・・・スッゲー」

 全員の目が釘付けになっている。そりゃそうだよね。私だって初めて見た時は目が点になったもの。

「デザートです。食べ終わったら授業ですよね」
「ハハハ、リサは真面目だなぁ」

 王子、入学式の翌日だよ?いきなりサボりは許されないんだよ。

「授業よりもリサの魔法の方が重大ではないでしょうか」

 サイモンはそう言って飾り切りのリンゴを指で突いている。白鳥の形に切られたリンゴだ。すごいよね。私が切ったわけじゃないけどさ。

「確かにそうですが、授業は出席してもらわないと」

 ダン様はそう言っているが、目は皿の上から離れない。授業に出るのはいいのだが、またあの匂いの中に帰るのか。憂鬱だ。憂鬱すぎる。

 一瞬落ち込みかけたが、そんなことではダメだ。今を楽しまなくてどうする。今は目の前の問題を片付けよう。目の前の問題。それはプリンアラモードを食べること。では。

 スプーンをプリンに突き刺すと振動が指に伝わりそうだ。柔らかい。そして甘い匂いが漂う。最高だ。スプーンで掬ったプリンを口の中へ入れる。美味しい。やはりお高いだけある。

「うっめーな、これ」

 ポールはもう半分以上食べていた。王子も食べてはいたが、まだほんの数口。他の3人は食べずに眺めている。

「リンゴが白鳥に見えるって、僕の目はおかしくなったのかもしれません」
「サイモン様、それは魔法にかかっているからです」
「何だって?いつの間に・・・」
「魔法ではない、現実です。リサは魔法を使えますが、現実に生み出しているのですよ」
「なんてことだ・・・」

 ダン様とアメリアさんとサイモン。いったい何を言い合っているのだろう。おかしなテンションになっている。聞かなかったことにして、私はプリンに集中しよう。

「リサはいつもこんなものを食べていたのか?」

 皿についた生クリームをスプーンで擦り取りながら、ポールが聞いてきた。

「まさか」

 そんな誤解をされては困る。リサは孤児院で育っている。こんな贅沢なものを魔法で出して食べていたなんて思われたら、孤児院へ寄付する人がいなくなってしまう。

「こちらへ来てから才能が開花したようですね」

 聞いていたのかダン様が言った。ありがとう、ダン様。うまくフォローしてくれて。

「と言うことは・・・」

 スプーンを咥えながらポールが天井を向いた。何かを考えているようである。

「リサと一緒にいれば、これだけのご馳走食わせてくれるってことか」

 ニカっと歯を見せてポールが笑う。いや、笑われても了承できる話ではない。そもそも一緒にいれるわけがない。そんなことをしたらどうなるか。女子生徒たちから嫌われて破滅街道まっしぐらだ。

「ポールにしてはいい考えだね」

 サイモンまで口を出してきた。食事に興味がなかったんじゃないの?それなのにパスタは平らげているし、プリンアラモードだってパクパクと食べている。勝手にキャラ変しないでほしい。

「平民のリサは生徒たちから悪意を持たれている。我々は守らねばならないだろう」

 王子が異様にキリッとした顔で宣言した。それを聞いてサイモンとポールもうなづきあっている。いや、それ、困るから。マンガのストーリーに近づいてきてしまった。何とかしなければ、そう思いながらプリンを食べたが味を感じることができなくなっていた。
 
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