53 / 68
53
しおりを挟む
「そうか、リサは平民か・・・」
ポールが神妙な顔をしている。隣でサイモンも両腕を組んで眉間に皺を寄せている。
「でもダン様がそばについているのですから、おかしな人間が寄ってくることはないでしょう」
しかしダン様は難しい顔をしてサイモンに向かって頭を左右に振った。
「むしろ、リサの後見人に名乗り出て王族に近づこうという輩が出てくる可能性が高い」
サイモンが深いため息をついた。
「いや、それならダン様が後見人になればいいんじゃないっすか」
ポールがニカっと笑っている。いかにも名案思いついた、という晴々しい笑顔である。
「そういうわけにもいかないのだよ」
ダン様の答えを聞いてポールは不思議そうな顔で首を傾げた。
「下手に王族が関わると余計な問題も発生するかもしれないですね」
サイモンがそう言うと、ポールが頭を抱えた。
「めんどくせーな」
私もそう思うよ。私は地味に暮らしていきたいだけ。そもそも王族の皆さんが私に関わってくるから面倒なことになるのだ。放っておいてくれればいい。そうすれば注目されることもないのだ。
しかしそうもいかない。すでにガッツリ関わってしまっている。入学式の時にリクライニングチェアなんか出さなきゃよかったのだ。あれさえなければ、と自分の失態が悔やまれる。でもそれはそもそも粗末な椅子を充てがわれたからで・・・。というか、何でこんなに魔法が使えるんだ。何で私はマンガの世界に入り込んだ?と答えの出ない問題を1人で悶々と考えてしまう。どうすることもできないのに。
「リサの後見人には然るべき人物を選定するつもりです。それまで、リサのことは静観しておくように」
私が1人で悩んでいるうちに彼らの中では何かしらの答えが出たようだ。ダン様の発言を聞いて王子が姿勢を正してダン様に向かって敬礼をした。
「了解しました。叔父上」
何だか大袈裟な仕草と口調だった。しかしダン様もポールもサイモンも反応していなかった。なんで王子は無視されるのだろうか。高貴な血筋の後継者なのに。腑に落ちないが、私も何もできずにスルーした。ごめん、王子。
そして時間になり、午後の授業に出ることになった。授業も嫌だがまたあの空間に行くことが嫌だ。なにしろ臭い。そして目のやり場に困る。珍妙すぎる髪型の人が多すぎるのだ。おしゃれって大変。男性は女子の苦労をもっと思いやるべきである。見当違いの苦労ではあるが、頑張っているのだ。
と、思いながら教室に入る。そう思わなければやってられない。案の定、数人の女子生徒がいた。臭い。一瞬忘れていたので慌てて魔法を使う。私の行動に気づいているかわからないが、彼女たちはあからさまに敵意のこもった目つきで私を見ていた。
「あなた」
その中の1人が私に向かって言った。頭の上には鳥がいる。オレンジの文鳥のような鳥。作り物とわかるが気持ち悪い。そういえばこんな感じの鳥のおもちゃが雑貨屋で売っていた。センサーで鳴く仕掛けがついているのだ。あれだとしたらさぞや愉快だろうな。何かの拍子でチュンチュン鳴く鳥を頭につけた人。・・・想像すると笑える。
「ダン様を突き飛ばしたんですって?」
目の前のチュンチュン女(もうそうとしか見えない)が言った。ダン様を突き飛ばす?聞き捨てならないワードだぞ。
「ご存じないかもしれませんけど、ダン様は国王陛下の弟君であらせられるのよ。そんな方を突き飛ばすなんてお父様に言って牢屋にぶち込んでやるわ」
チュンチュン女の父親は警察官とかなのか?子どもの言う「親に言いつけてやる」はどうでもいいのだが、ダン様を突き飛ばすわけないだろう。何を言っているのか?
「見た方がいらっしゃるのよ」
「犯罪者なんて怖いわ」
「さっさと出ていけばいいのに」
嫌悪感丸出しで言ってくる女子たち。それぞれが頭の上に大きなリボンや飾りをつけている。思い返したら、確かにダン様に連れ出されて足がもつれてそんなことになった。事実ではあるが、ダン様は許してくれている。しかし。
いつの間にか教室内にはたくさんの生徒が集まっていた。机の数より多いのではないか。つまり他のクラスの人たちも来ているのだ。彼女たちは一様に私を責めてくる。出ていけとか、犯罪者とか、罵ってくるのだ。この状況、どうしたらいいのだろう。冷静に考えてしまうのだった。
ポールが神妙な顔をしている。隣でサイモンも両腕を組んで眉間に皺を寄せている。
「でもダン様がそばについているのですから、おかしな人間が寄ってくることはないでしょう」
しかしダン様は難しい顔をしてサイモンに向かって頭を左右に振った。
「むしろ、リサの後見人に名乗り出て王族に近づこうという輩が出てくる可能性が高い」
サイモンが深いため息をついた。
「いや、それならダン様が後見人になればいいんじゃないっすか」
ポールがニカっと笑っている。いかにも名案思いついた、という晴々しい笑顔である。
「そういうわけにもいかないのだよ」
ダン様の答えを聞いてポールは不思議そうな顔で首を傾げた。
「下手に王族が関わると余計な問題も発生するかもしれないですね」
サイモンがそう言うと、ポールが頭を抱えた。
「めんどくせーな」
私もそう思うよ。私は地味に暮らしていきたいだけ。そもそも王族の皆さんが私に関わってくるから面倒なことになるのだ。放っておいてくれればいい。そうすれば注目されることもないのだ。
しかしそうもいかない。すでにガッツリ関わってしまっている。入学式の時にリクライニングチェアなんか出さなきゃよかったのだ。あれさえなければ、と自分の失態が悔やまれる。でもそれはそもそも粗末な椅子を充てがわれたからで・・・。というか、何でこんなに魔法が使えるんだ。何で私はマンガの世界に入り込んだ?と答えの出ない問題を1人で悶々と考えてしまう。どうすることもできないのに。
「リサの後見人には然るべき人物を選定するつもりです。それまで、リサのことは静観しておくように」
私が1人で悩んでいるうちに彼らの中では何かしらの答えが出たようだ。ダン様の発言を聞いて王子が姿勢を正してダン様に向かって敬礼をした。
「了解しました。叔父上」
何だか大袈裟な仕草と口調だった。しかしダン様もポールもサイモンも反応していなかった。なんで王子は無視されるのだろうか。高貴な血筋の後継者なのに。腑に落ちないが、私も何もできずにスルーした。ごめん、王子。
そして時間になり、午後の授業に出ることになった。授業も嫌だがまたあの空間に行くことが嫌だ。なにしろ臭い。そして目のやり場に困る。珍妙すぎる髪型の人が多すぎるのだ。おしゃれって大変。男性は女子の苦労をもっと思いやるべきである。見当違いの苦労ではあるが、頑張っているのだ。
と、思いながら教室に入る。そう思わなければやってられない。案の定、数人の女子生徒がいた。臭い。一瞬忘れていたので慌てて魔法を使う。私の行動に気づいているかわからないが、彼女たちはあからさまに敵意のこもった目つきで私を見ていた。
「あなた」
その中の1人が私に向かって言った。頭の上には鳥がいる。オレンジの文鳥のような鳥。作り物とわかるが気持ち悪い。そういえばこんな感じの鳥のおもちゃが雑貨屋で売っていた。センサーで鳴く仕掛けがついているのだ。あれだとしたらさぞや愉快だろうな。何かの拍子でチュンチュン鳴く鳥を頭につけた人。・・・想像すると笑える。
「ダン様を突き飛ばしたんですって?」
目の前のチュンチュン女(もうそうとしか見えない)が言った。ダン様を突き飛ばす?聞き捨てならないワードだぞ。
「ご存じないかもしれませんけど、ダン様は国王陛下の弟君であらせられるのよ。そんな方を突き飛ばすなんてお父様に言って牢屋にぶち込んでやるわ」
チュンチュン女の父親は警察官とかなのか?子どもの言う「親に言いつけてやる」はどうでもいいのだが、ダン様を突き飛ばすわけないだろう。何を言っているのか?
「見た方がいらっしゃるのよ」
「犯罪者なんて怖いわ」
「さっさと出ていけばいいのに」
嫌悪感丸出しで言ってくる女子たち。それぞれが頭の上に大きなリボンや飾りをつけている。思い返したら、確かにダン様に連れ出されて足がもつれてそんなことになった。事実ではあるが、ダン様は許してくれている。しかし。
いつの間にか教室内にはたくさんの生徒が集まっていた。机の数より多いのではないか。つまり他のクラスの人たちも来ているのだ。彼女たちは一様に私を責めてくる。出ていけとか、犯罪者とか、罵ってくるのだ。この状況、どうしたらいいのだろう。冷静に考えてしまうのだった。
53
あなたにおすすめの小説
夫より強い妻は邪魔だそうです【第一部完】
小平ニコ
ファンタジー
「ソフィア、お前とは離縁する。書類はこちらで作っておいたから、サインだけしてくれ」
夫のアランはそう言って私に離婚届を突き付けた。名門剣術道場の師範代であるアランは女性蔑視的な傾向があり、女の私が自分より強いのが相当に気に入らなかったようだ。
この日を待ち望んでいた私は喜んで離婚届にサインし、美しき従者シエルと旅に出る。道中で遭遇する悪党どもを成敗しながら、シエルの故郷である魔法王国トアイトンに到達し、そこでのんびりとした日々を送る私。
そんな時、アランの父から手紙が届いた。手紙の内容は、アランからの一方的な離縁に対する謝罪と、もうひとつ。私がいなくなった後にアランと再婚した女性によって、道場が大変なことになっているから戻って来てくれないかという予想だにしないものだった……
私ですか?
庭にハニワ
ファンタジー
うわ。
本当にやらかしたよ、あのボンクラ公子。
長年積み上げた婚約者の絆、なんてモノはひとっかけらもなかったようだ。
良く知らんけど。
この婚約、破棄するってコトは……貴族階級は騒ぎになるな。
それによって迷惑被るのは私なんだが。
あ、申し遅れました。
私、今婚約破棄された令嬢の影武者です。
【完結】五度の人生を不幸な出来事で幕を閉じた転生少女は、六度目の転生で幸せを掴みたい!
アノマロカリス
ファンタジー
「ノワール・エルティナス! 貴様とは婚約破棄だ!」
ノワール・エルティナス伯爵令嬢は、アクード・ベリヤル第三王子に婚約破棄を言い渡される。
理由を聞いたら、真実の相手は私では無く妹のメルティだという。
すると、アクードの背後からメルティが現れて、アクードに肩を抱かれてメルティが不敵な笑みを浮かべた。
「お姉様ったら可哀想! まぁ、お姉様より私の方が王子に相応しいという事よ!」
ノワールは、アクードの婚約者に相応しくする為に、様々な事を犠牲にして尽くしたというのに、こんな形で裏切られるとは思っていなくて、ショックで立ち崩れていた。
その時、頭の中にビジョンが浮かんできた。
最初の人生では、日本という国で淵東 黒樹(えんどう くろき)という女子高生で、ゲームやアニメ、ファンタジー小説好きなオタクだったが、学校の帰り道にトラックに刎ねられて死んだ人生。
2度目の人生は、異世界に転生して日本の知識を駆使して…魔女となって魔法や薬学を発展させたが、最後は魔女狩りによって命を落とした。
3度目の人生は、王国に使える女騎士だった。
幾度も国を救い、活躍をして行ったが…最後は王族によって魔物侵攻の盾に使われて死亡した。
4度目の人生は、聖女として国を守る為に活動したが…
魔王の供物として生贄にされて命を落とした。
5度目の人生は、城で王族に使えるメイドだった。
炊事・洗濯などを完璧にこなして様々な能力を駆使して、更には貴族の妻に抜擢されそうになったのだが…同期のメイドの嫉妬により捏造の罪をなすりつけられて処刑された。
そして6度目の現在、全ての前世での記憶が甦り…
「そうですか、では婚約破棄を快く受け入れます!」
そう言って、ノワールは城から出て行った。
5度による浮いた話もなく死んでしまった人生…
6度目には絶対に幸せになってみせる!
そう誓って、家に帰ったのだが…?
一応恋愛として話を完結する予定ですが…
作品の内容が、思いっ切りファンタジー路線に行ってしまったので、ジャンルを恋愛からファンタジーに変更します。
今回はHOTランキングは最高9位でした。
皆様、有り難う御座います!
どうして私にこだわるんですか!?
風見ゆうみ
恋愛
「手柄をたてて君に似合う男になって帰ってくる」そう言って旅立って行った婚約者は三年後、伯爵の爵位をいただくのですが、それと同時に旅先で出会った令嬢との結婚が決まったそうです。
それを知った伯爵令嬢である私、リノア・ブルーミングは悲しい気持ちなんて全くわいてきませんでした。だって、そんな事になるだろうなってわかってましたから!
婚約破棄されて捨てられたという噂が広まり、もう結婚は無理かな、と諦めていたら、なんと辺境伯から結婚の申し出が! その方は冷酷、無口で有名な方。おっとりした私なんて、すぐに捨てられてしまう、そう思ったので、うまーくお断りして田舎でゆっくり過ごそうと思ったら、なぜか結婚のお断りを断られてしまう。
え!? そんな事ってあるんですか? しかもなぜか、元婚約者とその彼女が田舎に引っ越した私を追いかけてきて!?
おっとりマイペースなヒロインとヒロインに恋をしている辺境伯とのラブコメです。ざまぁは後半です。
※独自の世界観ですので、設定はゆるめ、ご都合主義です。
出来損ないと呼ばれた伯爵令嬢は出来損ないを望む
家具屋ふふみに
ファンタジー
この世界には魔法が存在する。
そして生まれ持つ適性がある属性しか使えない。
その属性は主に6つ。
火・水・風・土・雷・そして……無。
クーリアは伯爵令嬢として生まれた。
貴族は生まれながらに魔力、そして属性の適性が多いとされている。
そんな中で、クーリアは無属性の適性しかなかった。
無属性しか扱えない者は『白』と呼ばれる。
その呼び名は貴族にとって屈辱でしかない。
だからクーリアは出来損ないと呼ばれた。
そして彼女はその通りの出来損ない……ではなかった。
これは彼女の本気を引き出したい彼女の周りの人達と、絶対に本気を出したくない彼女との攻防を描いた、そんな物語。
そしてクーリアは、自身に隠された秘密を知る……そんなお話。
設定揺らぎまくりで安定しないかもしれませんが、そういうものだと納得してくださいm(_ _)m
※←このマークがある話は大体一人称。
私の生前がだいぶ不幸でカミサマにそれを話したら、何故かそれが役に立ったらしい
あとさん♪
ファンタジー
その瞬間を、何故かよく覚えている。
誰かに押されて、誰?と思って振り向いた。私の背を押したのはクラスメイトだった。私の背を押したままの、手を突き出した恰好で嘲笑っていた。
それが私の最後の記憶。
※わかっている、これはご都合主義!
※設定はゆるんゆるん
※実在しない
※全五話
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる