最弱スキルも9999個集まれば最強だよね(完結)

排他的経済水域

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外伝52話 全てのスキルを9999個集めれば最強だよね

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「ふぅ……流石に終わったか?」

「ケインさん、それフラグです」

クリフが言うが、今回ばかりは話が別である。

「でもいくらなんでも今の一撃を耐えれる奴なんていないだろ。真正面から撃ったのなら対処のしようはあるだろうけど、完全な不意打ちだったし当たる直前を僕は見たんだから」

「それもそうですね……あり得るとしたら不意打ちも完全に察知して『転移』するとかしか……」

ここで孝勇が、何か疑問に思ったようで問いかけてくる。

「待て、ケイン。奴は『転移』が使えるのか?ならば直前に逃げる事も可能では無いのか?」

「いいや、それは無いよ。直前に奴がルーナと僕の居場所を入れ替える為に『転移』の登録場所を切り替えていたからな。仮にあそこに『転移』したとしてもさっきの場所からそう離れていないから魔法の範囲内だ。『転移』は一ヶ所までしか登録出来ない」

「そうか…なら安心だ」

「不意打ちに対処出来なかったって所だと思うが、まあ何にせよ当たってくれて良かった……いや、待てよおかしい」

「何故?」

「シムはルーナの『盤上返し』が使えたはずだ。使う隙が無かったのか?いや、そうじゃない。まだシムは生きている」

「何っ!」

「そんな馬鹿な…….あれを喰らって生きてるはず……」

「YES、ワタシも想定外でしたよ」

そう言ってクリフの後ろから火属性魔法『ファイヤーレイ』を放ったのは案の定シムであった。

クリフは体を貫かれて吐血している。
火属性魔法だったと言う事もあり、傷跡は焼けて止血されているがいつ死んでもおかしくない。

一方のシムは見た所外傷はあるが、瀕死という事もなさそうだ。

「クリフッ!!!」

「何故だ?……一体どうやってあの攻撃を」

「YES、今のワタシは気分が良い。少しくらい喋ってあげましょう」

そう言ってシムは一瞬で移動した。
僕の背後に。

「っ!?」

「な、なんだと……」

「まさか……そう言う事か……」

「Oh……ケイン、君は分かった様ですね」

意味が分からないという顔の孝勇。
だが、ケインは状況を理解した様である。

「YES、貴方の察したようにワタシは取得したのです『スキル重複』をね」

「ど、どう言う事だ!?」

「孝勇……言っていなかったが、こいつの……シムのオリジナルスキルは『模倣』だ。要するに僕のスキルをコピーして自分自身にスキルを与え続けたんだよ。システムだからこそ出来る芸当だ。さっき見せたのは恐らく『縮地』だろう」

「YES、その通り。ついでに言えばワタシの場合ケインと違いスキルの取得に制限が有りません。故に……貴方とはレベルが段違いですよ?」

「そ、そんな……」

「全てのスキルが重複し、数も9999個……だと?」

「YES、諦めて死になさい」

絶望的状況だ。
誰もがそう思った。

だが、唯一瞳に希望を残していたのはケイン。

彼女だけは勝ち筋を探していた様である。

「いや、シムはまだ9999個のスキルは取得していない。先程の『縮地』は僕の縮地よりは少し発動が遅かった……気がする」

「NO、気のせいでしょう」

「いいや、違うね。恐らく1000個あるか無いかって所か?その証拠に9999個全てのスキルを取得した割にはさっきの攻撃で喰らったダメージが大きすぎる。きっと自身へのスキル付与には時間がかかるんだ。だから今ならまだ倒せる」

「……ケイン、残念です。もう少しで騙せたと言うのに」

「僕達が撤退したらその隙に更に自分にスキルを付与し続けられる。それを狙っていたな?」

「YES、しかし……それをさせてはもらえないようですね」

「ああ、させない」

すると、ケインはどこかに居るであろうマレトに向けて声を放つ。

「マレト!今すぐ3人を『交換』してくれ!」
 
それに呼応する様に孝勇、恭弥、クリフの3人が突然藁人形と入れ替わった。
これで良い、きっとクリフは鈴木に治療してもらえる筈だ。

「Fack……あと少しで『即死』を与えられたのに」

「ふぅ……危ない危ない。もう少しで人質をまた取られるとこだった。舐めプせずに初手でクリフに『即死』を与えるべきだったな。じゃあ始めようか」

「……」


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