百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ

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本編

031 羽振り

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 大学の文化祭も追わり、日常が戻ってきた。講義を受けてサークルに行って時折バイトして、そんな感じの日々の中で私こと下条蘭は学部は違うが高校からの同級生である出水綾香とファミレスがるでにあへ訪れた。

「いやぁ、10月になったのにまだちょっと暑いね」

 朝晩こそ涼しくなってはきたけれど、たまにぶり返したように暑い日があると、ついついドリンクバーでアイスコーヒーが進んでしまう。

「綾香は家庭教師のバイト、どう?」
「けっこう楽しいよ。雇い主って言えばいいのかな? 実際に教える子の親御さんもすごく優しいし」

 綾香は教員志望で、いつかは私たちの母校でもある星花女子学園で教鞭をとりたいのだという。

「そりゃあよかった。綾香、ちょっと人見知りなところあるし」
「そうかな? まぁ、蘭ちゃんに比べるとそうかも?」

 確かに私は昔から人見知りなんてしないし、人前でも堂々としていられる方だと思う。
 そうでなければランジェリーカフェでバイトすることも、軽音楽サークルでギターボーカルなんてできないだろうと言われれば、まあその通りではあるんだけれど。

「蘭ちゃんって、その……最近なんだかツヤツヤしてるし、羽振りもいいし、大丈夫?」
「だ、大丈夫って何が?」
「蘭ちゃんが、えっと、うーん。ほら、どういうバイトしてるか知らないじゃん? でも、あ、そうだ。文化祭のステージで使ってたギター、夏休みにカラオケ行った時に弾いてたのと違ったよね。だから、その……」

 大学から仲良くなった友達には私が同性愛者であることを言っていないが、綾香はとっくに知っている。綾香だけじゃない。高校からの親友である美咲や七瀬もだ。
 綾香はきっと私が女の人を金づるにしているんじゃないだろうかという心配をしているんだろう。

「バイト先は変わらず秘密にしておきたいんだけど、それは時給がいいっていうのもあるんだよね。夏休みに見せたギターを買ったのはゴールデンウィークでさ、あれはバイト代もらう前だったんだよ。それで、今回はバイト代でステージ用のギターを買ったわけ」

 ゴールデンウィークに買ったギターはまだまだ初心者向けのモデルで練習に使いつぶしてもいいと思っているやつ。バイト代で買ったのは中級者向けを謳うモデルで、ステージにも映えるデザインに惚れて買った。

「ま、綾香に彼女が出来た頃にでも教えてやるからさ」
「もう、なによそれ……」
「いいじゃんか。で、綾香はバイト代貯まったらなにしたいの?」
「私は、まぁ……自動車学校代として貯めてるようなものだから」
「はーん、車校かぁ。通う? 合宿とかじゃなくて?」
「通いの方がスケジュール組みやすそうだし、大学近くと車校を結ぶシャトルバスがあるから、上手に使えば帰るのに便利だって先輩からも聞いたから」

 車の免許かぁ。取ろうと思えば取れるんだよなぁ。普通に通うとどれくらいの期間がかかるか分からないけれど、いっそ合宿でさくっと取ってしまえば、それこそ車でどこだって行けるわけで。

「年末年始に合宿免許ってやってるんかな。ちょっと調べてみようかな」
「免許取るの?」
「あれば便利そうだし」

 夏休み中のバイトでチップもけっこういただいてるし、冬までにある程度の金額が見込めそうだ。
 綾香たちとドライブしたっていいし、サラさんとドライブもいい。なんとなく貯めていたバイト代に目的ができると、なんだかバイトへのモチベーションも上がるような気がした。
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