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本編
030 文化祭
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サラさんとの待ち合わせは大学近くのファミレス”がるでにあ”にした。サラさんと待ち合わせ場所について放しているときに、なんとファミレスに入ったことがないという衝撃の告白をされてしまったのだ。これはもう、ファミレスを体験してもらうよりほかないと思って、私おすすめのグラタンを遅めの朝食にいただいて、それから大学に向かうことにした。
「サラさん……?」
文化祭と書かれたアーチの前で立ち止まるサラさんに声をかけると、サラさんはなんだか緊張したような面持ちでいた。ちなみに今日の装いはお嬢様らしさ全開の清楚な白ワンピースだ。腰をベルトで締めているからボディラインがはっきり出ているのに、それでもなお清楚に見えるのはツバ広の帽子の効果なんだろうか。
「なんだか、すごく久々に来るような気がして……」
「え、久々?」
「言ってませんでしたっけ。私、ここのフランス語学科卒なんですよ」
「そうなんですか!? てっきり、サラさんもっといい大学出てたと思ってました」
でも思い返せばもともとサラさんはシルキストの常連で、就活に失敗してシルキストで働くことになったと言っていたっけ。別に働かなくたって一生暮らせるような身分なのに働いくなんて物好きだなぁと思ったっけ。
「だったら学生時代に文化祭だって来てたんじゃ……?」
「私、サークル活動もしてませんでしたし、ほとんど送迎してもらっていたので、授業の無い日には大学に来てなかったんです。お友達も……いませんでしたから」
寂しい告白だぁ。これはもう、思いっきり楽しんでもらわねば。
「何年分かまとめて今日は楽しみましょう。まぁ、私も一年目なんでどこでどんなイベントやってるかとか知らないですけど、とにかくあちこち行ってみましょう。学部棟以外、あんまり行ったことないですもんね?」
「う、うん。構内もあまり散策したことないの。だから、えっと、その……」
何か言いたげに口ごもるサラさん。その気持ちを察して、私はそっとサラさんの手を握る。
「迷ったら大変ですもんね」
「ランちゃん……ありがとう」
大学での文化祭でサークルが出店するのは大きくわければ、うちの軽音部みたいなステージ系、それから販売系、そして体験系のいずれかに大別される。
有名人とかお笑い芸人を呼んでのステージもあるみたいだけど、その時間帯には軽音部の方でリハーサルがあるから参加できない。
サラさんと二人で大学構内を歩くだけで結構、特別な感じがするのでちょっとしたバザーのエリアを見るだけで楽しい。案外、誰かに見られたら~みたいな不安はなくなった。文化祭の高揚感でけっこう浮かれた雰囲気の人が多いからだろう。
「これ、綺麗ね」
「サラさんこういうのも似合いますね」
サラさんの目に留まったのは鉱物研究のサークルがハンドメイドで作ったアクセサリーだ。
小さなアメジストのアクセサリーはサラさんの胸元で輝くとなんだかとても高級なものに見えてくるから不思議だ。私が買ってプレゼントすることにした。
「ありがとうランちゃん。えへへ。私、ランちゃんとセフレになれてよかった」
「あぁ……えっと、そこは単に友達でよかったのでは?」
無垢な顔でセフレと言い出すサラさんに、流石にこれは周りに聞かれていまいかと見渡してしまう。まぁ、シンディ先輩にも看破されているように、サラさんとは何度もことに及んでいる仲なんだけれど。
「どうして? 私たち、えっちなことも出来るくらい特別な仲良しなんだもの。ランちゃんは、私ともうえっちしたくなくなっちゃった?」
寂し気に私の目を覗くサラさん。
「待って、今したくなっちゃうから待って。そっか、そうだよね」
サラさんにとってセフレはセックスだけの関係じゃなくて、セックスができるくらいの仲で、きっと親友より上の扱いなんだろう。そう思うと、いい気がしてくる。
「今夜はサークルの打ち上げがあるから難しいけど、また近いうちに、ね?」
「うん、ありがとう。いつでも大歓迎だからね?」
そう言ってもらって気合がますます入るあたり、我ながら単純だなあ。それからもうしばらく大学構内を散策して、私はステージの準備に取り掛かった。サラさんに最高のパフォーマンスを見せることができたと自負している。
こうして私とサラさんにとって初めての文化祭は幕を下ろしたのだった。
「サラさん……?」
文化祭と書かれたアーチの前で立ち止まるサラさんに声をかけると、サラさんはなんだか緊張したような面持ちでいた。ちなみに今日の装いはお嬢様らしさ全開の清楚な白ワンピースだ。腰をベルトで締めているからボディラインがはっきり出ているのに、それでもなお清楚に見えるのはツバ広の帽子の効果なんだろうか。
「なんだか、すごく久々に来るような気がして……」
「え、久々?」
「言ってませんでしたっけ。私、ここのフランス語学科卒なんですよ」
「そうなんですか!? てっきり、サラさんもっといい大学出てたと思ってました」
でも思い返せばもともとサラさんはシルキストの常連で、就活に失敗してシルキストで働くことになったと言っていたっけ。別に働かなくたって一生暮らせるような身分なのに働いくなんて物好きだなぁと思ったっけ。
「だったら学生時代に文化祭だって来てたんじゃ……?」
「私、サークル活動もしてませんでしたし、ほとんど送迎してもらっていたので、授業の無い日には大学に来てなかったんです。お友達も……いませんでしたから」
寂しい告白だぁ。これはもう、思いっきり楽しんでもらわねば。
「何年分かまとめて今日は楽しみましょう。まぁ、私も一年目なんでどこでどんなイベントやってるかとか知らないですけど、とにかくあちこち行ってみましょう。学部棟以外、あんまり行ったことないですもんね?」
「う、うん。構内もあまり散策したことないの。だから、えっと、その……」
何か言いたげに口ごもるサラさん。その気持ちを察して、私はそっとサラさんの手を握る。
「迷ったら大変ですもんね」
「ランちゃん……ありがとう」
大学での文化祭でサークルが出店するのは大きくわければ、うちの軽音部みたいなステージ系、それから販売系、そして体験系のいずれかに大別される。
有名人とかお笑い芸人を呼んでのステージもあるみたいだけど、その時間帯には軽音部の方でリハーサルがあるから参加できない。
サラさんと二人で大学構内を歩くだけで結構、特別な感じがするのでちょっとしたバザーのエリアを見るだけで楽しい。案外、誰かに見られたら~みたいな不安はなくなった。文化祭の高揚感でけっこう浮かれた雰囲気の人が多いからだろう。
「これ、綺麗ね」
「サラさんこういうのも似合いますね」
サラさんの目に留まったのは鉱物研究のサークルがハンドメイドで作ったアクセサリーだ。
小さなアメジストのアクセサリーはサラさんの胸元で輝くとなんだかとても高級なものに見えてくるから不思議だ。私が買ってプレゼントすることにした。
「ありがとうランちゃん。えへへ。私、ランちゃんとセフレになれてよかった」
「あぁ……えっと、そこは単に友達でよかったのでは?」
無垢な顔でセフレと言い出すサラさんに、流石にこれは周りに聞かれていまいかと見渡してしまう。まぁ、シンディ先輩にも看破されているように、サラさんとは何度もことに及んでいる仲なんだけれど。
「どうして? 私たち、えっちなことも出来るくらい特別な仲良しなんだもの。ランちゃんは、私ともうえっちしたくなくなっちゃった?」
寂し気に私の目を覗くサラさん。
「待って、今したくなっちゃうから待って。そっか、そうだよね」
サラさんにとってセフレはセックスだけの関係じゃなくて、セックスができるくらいの仲で、きっと親友より上の扱いなんだろう。そう思うと、いい気がしてくる。
「今夜はサークルの打ち上げがあるから難しいけど、また近いうちに、ね?」
「うん、ありがとう。いつでも大歓迎だからね?」
そう言ってもらって気合がますます入るあたり、我ながら単純だなあ。それからもうしばらく大学構内を散策して、私はステージの準備に取り掛かった。サラさんに最高のパフォーマンスを見せることができたと自負している。
こうして私とサラさんにとって初めての文化祭は幕を下ろしたのだった。
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