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第8章
第4話:光と闇の共作
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ノアールとの「対等の取引」が始まってから、廃墟での生活は一変した。以前の生活が一方的な支配と監視だったとすれば、今は極度に緊密な共同作業だ。
俺たちは、王城から持ち出した古代の文献や魔導書を広げ、鎖が解ける条件である「光と闇の融合」について調査した。俺が聖炎の理論を、ノアールが闇の魔力の根源的な知識を出し合う。
鎖は、俺たちの首を繋いだまま、テーブルの上で光と闇の魔力が混ざり合うのをじっと見守っているようだった。
「セレ。この文献によれば、『融合』は単なる力の混合ではない。光と闇が、互いの存在意義を認め、役割を完全に受け入れた時、一時的に発生する究極の調和だ」
ノアールは、鎖に引かれて俺の隣に座りながら、冷静に説明した。
「つまり、俺が闇であるお前を滅却する道具だと認め、お前が光である俺を支配する道具だと認めるということか」
俺は皮肉を込めて言った。
ノアールは首を横に振った。
「逆だ。君が、僕の闇の存在を必要とし、僕が君の光の存在を必要とすることだ。支配でも、滅却でもない。依存だ」
「それは、共依存ではないのか」
「ああ、そうかもしれない。だが、この鎖は、対等の依存、つまり愛がなければ解けない」
彼の言葉に、俺は苛立ちを覚えた。彼の視線は常に論理的で冷静であり、俺の感情的な動揺を正確に突いてくる。しかし、彼が目の前にいる限り、俺の孤独は満たされていた。
調査を進めるうちに、俺はノアールの闇の魔力が、俺の光の魔力を理解するためにどれほど不可欠かを知った。俺の光が暴走しそうになったとき、ノアールがそっと鎖を通じて闇の波動を流し込み、光を鎮静させる。逆に、ノアールの闇が光の牢獄の後遺症で暴れそうになったとき、俺は反射的に彼に聖炎の熱を分け与えた。
それは、まるで長年連れ添った夫婦のような、言葉を必要としない呼吸のようだった。
ある夜、調査に行き詰まり、ノアールが疲労でそのままテーブルに突っ伏して眠ってしまった。彼の首の鎖は、俺の足首に繋がれたままだ。
俺は、鎖を通じて、ノアールの微かな呼吸と魔力の流れを感じていた。鎖は、物理的な拘束具であると同時に、俺たちの生命のラインになっていた。
俺は、彼の蒼白な頬に手を伸ばした。以前なら、これは獲物を確認する行為だったが、今は違う。彼の安らかな寝顔を見て、俺の胸に湧き上がったのは、彼を誰にも邪魔させずに守り続けたいという、純粋な感情だった。
(もし、この鎖が解けた後、お前が本当に俺のもとを去ったら……)
その想像だけで、俺の心臓は締め付けられるような痛みに襲われた。それは、復讐の失敗への怒りではなく、愛するものを失う恐怖だった。
俺は、彼を起こさないようにそっと抱き上げ、寝床に運んだ。鎖は、二人の体を必然的につながせたままだった。
その時、ノアールが寝言のように呟いた。
「……セレ……」
俺の名前だ。反射的に、俺は彼の鎖を握りしめた。
「ここにいる。お前は俺のそばにいる。誰にも渡さない」
俺は、支配者としてではなく、保護者として、その夜、ノアールの隣で眠りについた。鎖が解けるための条件が「対等の愛」であるなら、俺は憎しみという名の壁を壊し、真の愛情を見つける必要がある。それは、俺の孤独を終わらせるための、唯一の道だった。
俺たちは、王城から持ち出した古代の文献や魔導書を広げ、鎖が解ける条件である「光と闇の融合」について調査した。俺が聖炎の理論を、ノアールが闇の魔力の根源的な知識を出し合う。
鎖は、俺たちの首を繋いだまま、テーブルの上で光と闇の魔力が混ざり合うのをじっと見守っているようだった。
「セレ。この文献によれば、『融合』は単なる力の混合ではない。光と闇が、互いの存在意義を認め、役割を完全に受け入れた時、一時的に発生する究極の調和だ」
ノアールは、鎖に引かれて俺の隣に座りながら、冷静に説明した。
「つまり、俺が闇であるお前を滅却する道具だと認め、お前が光である俺を支配する道具だと認めるということか」
俺は皮肉を込めて言った。
ノアールは首を横に振った。
「逆だ。君が、僕の闇の存在を必要とし、僕が君の光の存在を必要とすることだ。支配でも、滅却でもない。依存だ」
「それは、共依存ではないのか」
「ああ、そうかもしれない。だが、この鎖は、対等の依存、つまり愛がなければ解けない」
彼の言葉に、俺は苛立ちを覚えた。彼の視線は常に論理的で冷静であり、俺の感情的な動揺を正確に突いてくる。しかし、彼が目の前にいる限り、俺の孤独は満たされていた。
調査を進めるうちに、俺はノアールの闇の魔力が、俺の光の魔力を理解するためにどれほど不可欠かを知った。俺の光が暴走しそうになったとき、ノアールがそっと鎖を通じて闇の波動を流し込み、光を鎮静させる。逆に、ノアールの闇が光の牢獄の後遺症で暴れそうになったとき、俺は反射的に彼に聖炎の熱を分け与えた。
それは、まるで長年連れ添った夫婦のような、言葉を必要としない呼吸のようだった。
ある夜、調査に行き詰まり、ノアールが疲労でそのままテーブルに突っ伏して眠ってしまった。彼の首の鎖は、俺の足首に繋がれたままだ。
俺は、鎖を通じて、ノアールの微かな呼吸と魔力の流れを感じていた。鎖は、物理的な拘束具であると同時に、俺たちの生命のラインになっていた。
俺は、彼の蒼白な頬に手を伸ばした。以前なら、これは獲物を確認する行為だったが、今は違う。彼の安らかな寝顔を見て、俺の胸に湧き上がったのは、彼を誰にも邪魔させずに守り続けたいという、純粋な感情だった。
(もし、この鎖が解けた後、お前が本当に俺のもとを去ったら……)
その想像だけで、俺の心臓は締め付けられるような痛みに襲われた。それは、復讐の失敗への怒りではなく、愛するものを失う恐怖だった。
俺は、彼を起こさないようにそっと抱き上げ、寝床に運んだ。鎖は、二人の体を必然的につながせたままだった。
その時、ノアールが寝言のように呟いた。
「……セレ……」
俺の名前だ。反射的に、俺は彼の鎖を握りしめた。
「ここにいる。お前は俺のそばにいる。誰にも渡さない」
俺は、支配者としてではなく、保護者として、その夜、ノアールの隣で眠りについた。鎖が解けるための条件が「対等の愛」であるなら、俺は憎しみという名の壁を壊し、真の愛情を見つける必要がある。それは、俺の孤独を終わらせるための、唯一の道だった。
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