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お断り
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「ん、んっ、ふぅ‥‥やっぱり剣技の試合はつまらないわね、フェルドもそう思うでしょう?」
あくびを噛み殺し、目に若干涙を浮かべたリテア様は、訪ねてくる
「ふぁー‥‥ふぅ‥‥全くです、見るに値しません」
同じく昨日3時間しか寝ていない私もあくびを噛み殺しながら答える。私はYESマン、リテア様の言う事には反対しない
「やっぱりね」
それを聞いたリテア様は非常に満足そうだ
しかし、私と一緒にリテア様の後ろに居る花騎士の女性兵士お二方は、微妙な表情を浮かべている
開会宣言の前に、リテア様は私の前で右手を差し出して来た。
こんな所で『アレ』をやれと!?
羞恥プレイにも似た行動だったが、拒否する事なく大勢の前でやってしまった。まぁ、そこまではいいが、今度はリテア様が私の額に口づけをして来た。
以前、タスブランカで記憶が不確かな事を教えてしまったが、リテア様はそれを覚えておられ、それを実行してくださったのだ
「あ、いいなぁ」
隣で見ていたポンドラスが小声で呟き
リテア様は護衛の時に私が使用していたのと同じ、儀式用の剣を差し出し
「護衛をしなさい」
と言って来た。
断る理由など全くなく、俺は‥‥いや、私はリテア様の護衛を務める事となった
そして、開会の宣言を終えられたリテア様と共に、今は貴賓席で試合を観戦している
顔だけは試合会場を見ているリテア様が
「フェルド、あれから特に変わった事は無かった?」
「はい、何度か危ない場面がありましたが、私も隊員ともども欠けることなく無事であります、変わった事は‥‥分隊から小隊になった事でしょうか?」
「頑張っているのね、貴方の事はよく耳にしているわ、巨大な魔物との戦いの記録も目にしたし、いつも貴方の事は気にかけてるのよ」
試合会場では一組の試合が終わり、話をしながらも拍手をしている
「ありがとうございます」
なんと‥‥私を気にかけてくれていたとは‥‥もう軍を辞めて、リテア様の専属の護衛になりたい
「それと‥‥貴方の軍服姿、とても似合ってるわよ」
その後もリテア様の最近の話や、自分の話など、剣技の試合に目を向けながらもお互いの話をした。貴賓席は外部に話が漏れないような対策が取られているが、花騎士の2人もいるので、互いに踏み込んだ話は出来なかったが、それでも、約5年ぶりの会話はとても楽しいものだった
「フェルド、次に用意しているあの人は貴方の部下でしょう?」
試合会場に一人の見知った顔がある
「私の部隊のライカ・ダーモンですね」
「だったら近くで応援してきたらどう? 自分の部下が出てるんだから、でも終わったら戻ってくるのよ」
なんとやさしい‥‥
「その必要はありません、ライカは魔法無しで戦った場合、隊員全員で掛かっても負けませんから、相手が一般人なら尚更」
「‥‥そんなに凄いの?」
「剣技だけ、だったらハルツール1かもしれません」
「へぇーそんなに‥‥」
自分達が束になっても勝てないんだから、一般人にどうこう出来るはずがなく‥‥ライカは開始の合図と共に相手の胴に刀を打ち込んでいた。
「フェルド‥‥貴方の部下はインチキしたけれど? 魔法は禁止されているでしょ?」
自分の方を振り返り、どことなく攻めるような視線を送ってくる。
ああ‥‥この視線、懐かしい
「彼は『財布』以外の魔法は契約出来ていませんよ」
「でも今『身体強化』の魔法を使ったでしょう?」
「いえ、間違いなくライカは魔法を契約出来ていません、あれは彼の特殊な体質によるもので自分にもそれ以上は説明は出来ないのです」
「自分の隊員の事も分かっていないの?」
「ライカ本人も分かっていませんから」
「‥‥ふん、まあいいわ」
時折見せるこのツンとした所、素敵です
「少し席を外すから、フェルドも付いてきなさい」
「はい」
トイレですね、ライカが準備を始めた頃からモジモジしていたけど、自分がライカの試合を見る事が出来るように今まで我慢してくれていたのだろう、流石は次期ハルツール主席のリテア様
・・・・
・・・・
トイレに着くとリテア様はそのまま入って行く、自分はトイレのドアから少し離れた場所に立つ、以前タスブランカでの護衛の時、ドアの真横に立っていたら‥‥
『何でこんな近くにいるのよ! この変態!』
と怒られてしまった経験から、その後少し離れて待っているようになった。
あの時ずっと疑問に思っていたが、リテア様はトイレが長い、タスブランカの一流料理人だったラグナナさんが
「お菓子の取り置きがよく減る」
と言っていたが、まさか、あの時盗んだお菓子をトイレで食べていたんじゃ‥‥
「ウエタケ・ハヤト小隊長~」
別に欲しがったりしないから普通に食べて欲しいが‥‥‥‥
「ウエタケ・ハヤト小隊長ー」
トイレで食べるのはちょっと行儀が悪すぎるし‥‥‥‥
「ハヤト小隊長殿!」
こればっかりはどうこう言えないし、どうしようか?
「ウエタケ・ハヤト!」
不意に肩に強い衝撃を受け、びっくりすると、俺の横には護衛である花騎士の2人が少し怒っているような顔で私を見ていた。その一人が少し上気した様子で私の肩を掴んでおり、私がその女性に気付くとぱっと手を離し
「ウ、ウエタケ・ハヤト小隊長殿」
「違います」
「は? な、何を‥‥貴方は━━」
「今はリテア様の竜騎士、フェルド・ガーンです」
「あ、はぁ‥‥ゴホン! は、初めましてフェ、フェルド・ガーン殿、ご挨拶が遅れました。わたくし花騎士隊長のフラワと申します」
キラキラとした装飾の軽鎧を身に着け、ばっちり化粧もしている女性が若干顔を引きつらせ、それでも笑顔で自己紹介をして来た
「同じく花騎士隊員のローラルです」
もう1人が背の小さい女性で、髪を上げて‥‥盛ると言ったか? キャバ嬢がよくする髪型だ。鎧は隊長のフラワよりも質素な鎧だが、それでも通常の鎧とは違い派手である
鎧としての能力というより、二人とも見た目重視の姿をしていた
「こちらも挨拶が遅れました、フェルド・ガーンと申します。今回急遽護衛の任務に着くことになりました、お二方にはご迷惑をお掛けしますが、何卒容赦下さい」
「いえ、あの竜騎士と同じ任務が出来るとなれば、花騎士としても光栄です、所で‥‥こうして同じ任務に着けるのも何かの縁と思うのですが‥‥」
「そうですね」
「ええ! はい! ですから親睦を兼ねまして、この任務が終わりましたら一緒に食事でもどうでしょうか? 竜騎士の貴方様の活躍は私共の耳にも届いております━━」
花騎士隊長フラワは、私の手を取り
「どうかその時にでもお話をお聞かせいただければ‥‥と」
少し潤んだ目で見上げてきた
花騎士‥‥その噂は既にに聞いている、容姿に優れた女性だけがその部隊に配属される、別名アイドル部隊、男性兵士なら誰でも一度はお近づきになりたいと考える。
その姿も、そしてその仕草も軍人とは思えない程、一般の女性兵士とはかけ離れている。故に女性兵士からは敬遠される
一見名前の通り華やかに見えるが、実際は極めて黒い。
花騎士というブランド名を盾に、男を取っ替え引っ替え、いい男がいればすぐにそちらに乗り換える要するにビッチと呼ばれるにふさわしい人達
何故そのような事を知っているかというと、情報源は我が部隊隊員のタバル・ダイア(彼女募集中)から聞いた。
以前、花騎士の一人と付き合っていたらしいが、自分よりも金持ちの男が出来たのでそっちに乗り換えられてしまった。タバルの悲しい過去‥‥‥
タバルは花騎士の事をボロクソにこき下ろしていたが、私から見たら「ふーん」ぐらいの事でしかなかった。どうせ関わる事なんかないのだからと‥‥
しかし、話半分に聞いていたタバルの話だったが、今日花騎士の2人を見て確信した。
試合中もチラチラとこちらを見てきたり、今も潤んだ瞳で上目遣いをしてきたりと、私は‥‥こういった人間をよく知っている、何を隠そう我が姉である洋子
姉の洋子が男に求めるものは金である、何度も何人も家に連れてきたとき、洋子はいつも花騎士と同じ事をしていた。
今の旦那、義兄さんの時は特にそうだった。義兄さんの父親が会社を経営しており、洋子の食いつきっぷりは凄かった。
あの時はゼッタイニニガサナイ! という気迫を感じられた
つまり、この花騎士隊長フラワも同じ人間だという事、ではこのフラワの狙いは何か?
私の話を聞きたい?
違う
竜騎士という名前?
違う
正解は金
洋子と同じお金
私の給料はソルセリーの給料よりも高い、ただソルセリーの場合、家で使う全ての物は軍から支給される、食料からお手伝いさんまで、全て軍からの支給だ。
それを踏まえると一概には言えないが、間違いなく私は軍の中で幹部に匹敵する給料以上のものを貰っている、更にオヤスの店、正式名称オヤス食品加工から顧問としての手当てを受けている、オヤスはどんぶり勘定で、儲かっている時は多額の手当てを渡してくる、そうなると私の月の給料はかなりの額になる
もうその事は軍ではかなり知られており、たま~に女性兵士から声を掛けられたりしていた
だからこのお誘いは普通に断らせてもらう、しかし、そのまま断ってしまうと変な噂とかを流される可能性があるのでお断りは丁寧に
我が尊敬する兄さんの教えである
『女性の誘いを断る時はこう断れ』と
「私は今、フェルド・ガーンとしてリテア様の護衛を務めております、リテア様のおそばに居られる事は私にとって最上の名誉であり、喜びでもあります。
花騎士の貴女方と一緒語らうのは、男性兵士からしたら天にも昇るような気持ちになれるでしょう、ですが、リテア様は一度お命を狙われた立場、国の為、リテア様の為に、今はそのような事を考える事すら私には出来ないのです、花騎士の方と一緒にいる事が出来ないのは口惜しいのですが、貴女方のお誘いを受ける訳には行かないのです、申し訳ございません」
ゆっくりと丁寧に、相手を持ち上げつつ、長く話す、残念だけどごめんなさい。
これが兄さんの教えである、兄さんはよく取引先の熟女の重役の方からお誘いを受ける事があったらしいが、全てこれで断って来ていた。これで100%断れると‥‥
「そ、そうですか、それは残念で‥‥あ、でも大会が終わってから━━」
ガチャ!
幾分強くトイレのドアが開かれ、リテア様が出てこられた。そして少し強い視線を花騎士の二人に向け
「貴女達はいいのかしら? 護衛が途中でいなくなってしまっては仕事が務まらないと思うけれど?」
私に詰め寄る形で側にいた花騎士の二人は
「え? あ、はい、それでは失礼して」
慌ててトイレに入って行く
「助かりましたリテア様」
「あら? 何の事かしら?」
そう言ってお笑いになった。
そのお顔は、私を出し抜いて館を逃げ出した時によくしていたお顔だ。あの時一緒でリテア様は変わっていなかった
何となくその後も、花騎士の人が話しかけてきそうな感じがしたので、ノームを召喚し花騎士に対する盾にした。その時
「あ、あなた達生きていたの!」
リテア様がたいそう驚かれたが
「ういっす姐さん、自分達は召喚獣なんでね、大将さえ死ななければ何度でも甦るんでさぁ」
「えっ! 召喚獣! あなた達が‥‥‥‥召喚獣だったの?」
「ういっす」
リテア様は最初混乱していたが、何とか納得されたようだった。
その後も地味な剣技の試合は進んで行き、最終的には全て開始直後一撃で倒して来たライカが優勝した。当然と言ったら当然である
「ようやく終わったわね、さて、明日はお待ちかねの召喚の部ね、フェルド分かっているわね?」
「はい、このフェルド、明日はリテア様の護衛に恥じぬよう、見事優勝して見せましょう」
あくびを噛み殺し、目に若干涙を浮かべたリテア様は、訪ねてくる
「ふぁー‥‥ふぅ‥‥全くです、見るに値しません」
同じく昨日3時間しか寝ていない私もあくびを噛み殺しながら答える。私はYESマン、リテア様の言う事には反対しない
「やっぱりね」
それを聞いたリテア様は非常に満足そうだ
しかし、私と一緒にリテア様の後ろに居る花騎士の女性兵士お二方は、微妙な表情を浮かべている
開会宣言の前に、リテア様は私の前で右手を差し出して来た。
こんな所で『アレ』をやれと!?
羞恥プレイにも似た行動だったが、拒否する事なく大勢の前でやってしまった。まぁ、そこまではいいが、今度はリテア様が私の額に口づけをして来た。
以前、タスブランカで記憶が不確かな事を教えてしまったが、リテア様はそれを覚えておられ、それを実行してくださったのだ
「あ、いいなぁ」
隣で見ていたポンドラスが小声で呟き
リテア様は護衛の時に私が使用していたのと同じ、儀式用の剣を差し出し
「護衛をしなさい」
と言って来た。
断る理由など全くなく、俺は‥‥いや、私はリテア様の護衛を務める事となった
そして、開会の宣言を終えられたリテア様と共に、今は貴賓席で試合を観戦している
顔だけは試合会場を見ているリテア様が
「フェルド、あれから特に変わった事は無かった?」
「はい、何度か危ない場面がありましたが、私も隊員ともども欠けることなく無事であります、変わった事は‥‥分隊から小隊になった事でしょうか?」
「頑張っているのね、貴方の事はよく耳にしているわ、巨大な魔物との戦いの記録も目にしたし、いつも貴方の事は気にかけてるのよ」
試合会場では一組の試合が終わり、話をしながらも拍手をしている
「ありがとうございます」
なんと‥‥私を気にかけてくれていたとは‥‥もう軍を辞めて、リテア様の専属の護衛になりたい
「それと‥‥貴方の軍服姿、とても似合ってるわよ」
その後もリテア様の最近の話や、自分の話など、剣技の試合に目を向けながらもお互いの話をした。貴賓席は外部に話が漏れないような対策が取られているが、花騎士の2人もいるので、互いに踏み込んだ話は出来なかったが、それでも、約5年ぶりの会話はとても楽しいものだった
「フェルド、次に用意しているあの人は貴方の部下でしょう?」
試合会場に一人の見知った顔がある
「私の部隊のライカ・ダーモンですね」
「だったら近くで応援してきたらどう? 自分の部下が出てるんだから、でも終わったら戻ってくるのよ」
なんとやさしい‥‥
「その必要はありません、ライカは魔法無しで戦った場合、隊員全員で掛かっても負けませんから、相手が一般人なら尚更」
「‥‥そんなに凄いの?」
「剣技だけ、だったらハルツール1かもしれません」
「へぇーそんなに‥‥」
自分達が束になっても勝てないんだから、一般人にどうこう出来るはずがなく‥‥ライカは開始の合図と共に相手の胴に刀を打ち込んでいた。
「フェルド‥‥貴方の部下はインチキしたけれど? 魔法は禁止されているでしょ?」
自分の方を振り返り、どことなく攻めるような視線を送ってくる。
ああ‥‥この視線、懐かしい
「彼は『財布』以外の魔法は契約出来ていませんよ」
「でも今『身体強化』の魔法を使ったでしょう?」
「いえ、間違いなくライカは魔法を契約出来ていません、あれは彼の特殊な体質によるもので自分にもそれ以上は説明は出来ないのです」
「自分の隊員の事も分かっていないの?」
「ライカ本人も分かっていませんから」
「‥‥ふん、まあいいわ」
時折見せるこのツンとした所、素敵です
「少し席を外すから、フェルドも付いてきなさい」
「はい」
トイレですね、ライカが準備を始めた頃からモジモジしていたけど、自分がライカの試合を見る事が出来るように今まで我慢してくれていたのだろう、流石は次期ハルツール主席のリテア様
・・・・
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トイレに着くとリテア様はそのまま入って行く、自分はトイレのドアから少し離れた場所に立つ、以前タスブランカでの護衛の時、ドアの真横に立っていたら‥‥
『何でこんな近くにいるのよ! この変態!』
と怒られてしまった経験から、その後少し離れて待っているようになった。
あの時ずっと疑問に思っていたが、リテア様はトイレが長い、タスブランカの一流料理人だったラグナナさんが
「お菓子の取り置きがよく減る」
と言っていたが、まさか、あの時盗んだお菓子をトイレで食べていたんじゃ‥‥
「ウエタケ・ハヤト小隊長~」
別に欲しがったりしないから普通に食べて欲しいが‥‥‥‥
「ウエタケ・ハヤト小隊長ー」
トイレで食べるのはちょっと行儀が悪すぎるし‥‥‥‥
「ハヤト小隊長殿!」
こればっかりはどうこう言えないし、どうしようか?
「ウエタケ・ハヤト!」
不意に肩に強い衝撃を受け、びっくりすると、俺の横には護衛である花騎士の2人が少し怒っているような顔で私を見ていた。その一人が少し上気した様子で私の肩を掴んでおり、私がその女性に気付くとぱっと手を離し
「ウ、ウエタケ・ハヤト小隊長殿」
「違います」
「は? な、何を‥‥貴方は━━」
「今はリテア様の竜騎士、フェルド・ガーンです」
「あ、はぁ‥‥ゴホン! は、初めましてフェ、フェルド・ガーン殿、ご挨拶が遅れました。わたくし花騎士隊長のフラワと申します」
キラキラとした装飾の軽鎧を身に着け、ばっちり化粧もしている女性が若干顔を引きつらせ、それでも笑顔で自己紹介をして来た
「同じく花騎士隊員のローラルです」
もう1人が背の小さい女性で、髪を上げて‥‥盛ると言ったか? キャバ嬢がよくする髪型だ。鎧は隊長のフラワよりも質素な鎧だが、それでも通常の鎧とは違い派手である
鎧としての能力というより、二人とも見た目重視の姿をしていた
「こちらも挨拶が遅れました、フェルド・ガーンと申します。今回急遽護衛の任務に着くことになりました、お二方にはご迷惑をお掛けしますが、何卒容赦下さい」
「いえ、あの竜騎士と同じ任務が出来るとなれば、花騎士としても光栄です、所で‥‥こうして同じ任務に着けるのも何かの縁と思うのですが‥‥」
「そうですね」
「ええ! はい! ですから親睦を兼ねまして、この任務が終わりましたら一緒に食事でもどうでしょうか? 竜騎士の貴方様の活躍は私共の耳にも届いております━━」
花騎士隊長フラワは、私の手を取り
「どうかその時にでもお話をお聞かせいただければ‥‥と」
少し潤んだ目で見上げてきた
花騎士‥‥その噂は既にに聞いている、容姿に優れた女性だけがその部隊に配属される、別名アイドル部隊、男性兵士なら誰でも一度はお近づきになりたいと考える。
その姿も、そしてその仕草も軍人とは思えない程、一般の女性兵士とはかけ離れている。故に女性兵士からは敬遠される
一見名前の通り華やかに見えるが、実際は極めて黒い。
花騎士というブランド名を盾に、男を取っ替え引っ替え、いい男がいればすぐにそちらに乗り換える要するにビッチと呼ばれるにふさわしい人達
何故そのような事を知っているかというと、情報源は我が部隊隊員のタバル・ダイア(彼女募集中)から聞いた。
以前、花騎士の一人と付き合っていたらしいが、自分よりも金持ちの男が出来たのでそっちに乗り換えられてしまった。タバルの悲しい過去‥‥‥
タバルは花騎士の事をボロクソにこき下ろしていたが、私から見たら「ふーん」ぐらいの事でしかなかった。どうせ関わる事なんかないのだからと‥‥
しかし、話半分に聞いていたタバルの話だったが、今日花騎士の2人を見て確信した。
試合中もチラチラとこちらを見てきたり、今も潤んだ瞳で上目遣いをしてきたりと、私は‥‥こういった人間をよく知っている、何を隠そう我が姉である洋子
姉の洋子が男に求めるものは金である、何度も何人も家に連れてきたとき、洋子はいつも花騎士と同じ事をしていた。
今の旦那、義兄さんの時は特にそうだった。義兄さんの父親が会社を経営しており、洋子の食いつきっぷりは凄かった。
あの時はゼッタイニニガサナイ! という気迫を感じられた
つまり、この花騎士隊長フラワも同じ人間だという事、ではこのフラワの狙いは何か?
私の話を聞きたい?
違う
竜騎士という名前?
違う
正解は金
洋子と同じお金
私の給料はソルセリーの給料よりも高い、ただソルセリーの場合、家で使う全ての物は軍から支給される、食料からお手伝いさんまで、全て軍からの支給だ。
それを踏まえると一概には言えないが、間違いなく私は軍の中で幹部に匹敵する給料以上のものを貰っている、更にオヤスの店、正式名称オヤス食品加工から顧問としての手当てを受けている、オヤスはどんぶり勘定で、儲かっている時は多額の手当てを渡してくる、そうなると私の月の給料はかなりの額になる
もうその事は軍ではかなり知られており、たま~に女性兵士から声を掛けられたりしていた
だからこのお誘いは普通に断らせてもらう、しかし、そのまま断ってしまうと変な噂とかを流される可能性があるのでお断りは丁寧に
我が尊敬する兄さんの教えである
『女性の誘いを断る時はこう断れ』と
「私は今、フェルド・ガーンとしてリテア様の護衛を務めております、リテア様のおそばに居られる事は私にとって最上の名誉であり、喜びでもあります。
花騎士の貴女方と一緒語らうのは、男性兵士からしたら天にも昇るような気持ちになれるでしょう、ですが、リテア様は一度お命を狙われた立場、国の為、リテア様の為に、今はそのような事を考える事すら私には出来ないのです、花騎士の方と一緒にいる事が出来ないのは口惜しいのですが、貴女方のお誘いを受ける訳には行かないのです、申し訳ございません」
ゆっくりと丁寧に、相手を持ち上げつつ、長く話す、残念だけどごめんなさい。
これが兄さんの教えである、兄さんはよく取引先の熟女の重役の方からお誘いを受ける事があったらしいが、全てこれで断って来ていた。これで100%断れると‥‥
「そ、そうですか、それは残念で‥‥あ、でも大会が終わってから━━」
ガチャ!
幾分強くトイレのドアが開かれ、リテア様が出てこられた。そして少し強い視線を花騎士の二人に向け
「貴女達はいいのかしら? 護衛が途中でいなくなってしまっては仕事が務まらないと思うけれど?」
私に詰め寄る形で側にいた花騎士の二人は
「え? あ、はい、それでは失礼して」
慌ててトイレに入って行く
「助かりましたリテア様」
「あら? 何の事かしら?」
そう言ってお笑いになった。
そのお顔は、私を出し抜いて館を逃げ出した時によくしていたお顔だ。あの時一緒でリテア様は変わっていなかった
何となくその後も、花騎士の人が話しかけてきそうな感じがしたので、ノームを召喚し花騎士に対する盾にした。その時
「あ、あなた達生きていたの!」
リテア様がたいそう驚かれたが
「ういっす姐さん、自分達は召喚獣なんでね、大将さえ死ななければ何度でも甦るんでさぁ」
「えっ! 召喚獣! あなた達が‥‥‥‥召喚獣だったの?」
「ういっす」
リテア様は最初混乱していたが、何とか納得されたようだった。
その後も地味な剣技の試合は進んで行き、最終的には全て開始直後一撃で倒して来たライカが優勝した。当然と言ったら当然である
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