異世界陸軍活動記

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おはようございます

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 ガチャリとドアが開いた
「おはようございますリテア様」

「きゃっ!」
 可愛らしい声と仕草で驚くリテア様
「え? え?」
 寝起きで頭が追い付かないのか混乱している様子

「フェルド‥‥まさかいるとは思わなかったわ」

「護衛をしろと言ったのはリテア様ですが?」

「ふっ‥‥あはははは、そうね、そうだったわ、何だか‥‥ふふっ、こうやってドアを開けたら貴方がいるのも久しぶりね」

「はい、リテア様」

「フェルドはいつからここにいたの?」

「2時間ほど前でしょうか?」

「そんなに!」

「リテア様はごく稀に早起きをなさり、館から逃げ出す事もありましたので万が一の為に」

「もう、その事は忘れてよ、もう逃げたりはしないわ」

 万が一の為にいたと嘘をついたが、実際の所は一昨日は3時間ほどしか眠る事が出来ず、昨日の剣技の部が終わってから家に着いた途端そのまま眠りについた。
 それでぐっすりと眠れたが、寝るのが速かった分起きるのも早かった。午前3時に目が覚め、暫くぼーっとしていたが、どうしてもリテア様に会いたいがため、リテア様の宿泊する場所に押しかけると警備の人が厳重に警戒していたが、私が来ると「どうぞ」と変わってくれたので、そのままドアの前で待機していた
 
 ストーカーみたい? 違う、単なる護衛、この役どころはずっと私の場所

 そうだ‥‥そうしよう! 武闘大会が終わったら軍を退役して、リテア様の専属護衛になろう!

「もう朝食は済ませたのかしら?」

「既に済ませてあります」

「そう、なら私は朝食を取らせてもらうわ、ついてらっしゃい」

「はい」

 リテア様は部屋で食べるのではなく、このホテルのレストランで食べるようだ。
 館では皆で一緒に食べていたので、その時の習慣だろう

 食事中は後ろで控え、全ての準備が整ったのちホテルを出発する事となった。ホテルの外には昨日とは別の花騎士の二人が待っていた。副隊長と、隊員の人が一人、その二人と一緒にリテア様が乗る車に乗車する。
 そこでふと気が付いた、次期ハルツールの主席になる事が決定してるリテア様に少しお願いをしておこうと、それでなくても現タスブランカの代表である

 ・・・・

 ・・・・

「サーナタルエで召喚獣使用の禁止の解除と、まだ許可されてない魔法、召喚獣の契約の許可を私にお願いしたいわけね?」

「はい、召喚獣の使用は移動に困るし、申請してもう何年も許可が下りていないので、リテア様から口添えを‥‥」

「うん、契約の許可の方は私の方から手を回しておくことにするわ、でも、サーナタルエ内での召喚獣の使用の場合、あなたの自業自得よね」

「え、ええ‥‥そうです」

「なら駄目ね、諦めなさい」

「はい」
 駄目だった、主席になられた時にもう一度お願いしてみようか?、法律をその権力でねじ伏せて欲しい


 ・・・・

 ・・・・

「それじゃあフェルド頑張ってらっしゃい」

「はい、行ってまいります」

 試合会場に到着し、リテア様は護衛の花騎士の二人と貴賓席へ、そして私は会場のほうへと向かう。召喚の部では剣技の部と違い、多少時間がかかる。
 理由は2体以上召喚獣を持つ者が、勝ち進んだ場合になるのだが、もし前の試合で召喚獣がやられてしまった場合、召喚獣は再召喚まで時間がかかる、その都合上召喚の部は夜まで掛かる事がたまにある。
 だが、剣技の部と違い、召喚の部は人気があり、仕事を休んででも試合を見る人が多い

 試合会場に入ると、いち早く私を見つけたポンドラスが駆けつけてきた

「先輩! 昨日はどうしたんすか! 訳が分かんないっすよ」

「どうもしません、リテア様の護衛をつとめただけです」

「うっ‥‥またその口調っすか?」
 
 この口調が苦手なのか、若干めんどくさそうな顔をするポンドラス、しかし、私もわざとこの口調でいるわけではない、リテア様の近くにいると何故かこの口調になってしまうのだ。
 リテア様オーラがそうさせているだけ

「それは別にいいでしょう、口が勝手にこの口調で言葉を発してしまうのです、それよりもポンドラス、私はリテア様の前で不甲斐ない事は出来ません。あなたには悪いですが、直ぐにカタを付けさせてもらいますよ」

 私の決意にたじろいだのか? 
「う、ういっす、お手柔らかにおねがいしゃっす」
 
 ポンドラスは少し後ずさった。
「いやぁ、先輩に勝てるとは思って無いっすよ、当たるのは決勝ですけど、俺は最初から準優勝狙いっすもん、先輩多重召喚も出来るんでしょ? どう見たって無理ですよ」

 多重召喚とは同時に2体以上を召喚する事を指す、多重召喚を行うと魔力の消費が桁違いに大きく、ごくごく一部の限られた者以外は不可能とされている、私はその一部に含まれてはいない、体調によってはその場で気を失うでしょう

「多重召喚? そんなのできませんよ、やったらその場で倒れる自信がありますよ」

「え? そすか? 前にやってたじゃないっすか、オーガの時の」

 ああ、あの時か
「あの時は内臓近くまで達する傷があったので、その痛みの方が大きすぎて気を失わなかっただけですよ」

「そうなんすか?‥‥だったら俺にも勝機が‥‥」

 何と! ポンドラスは私に勝つ気でいるらしい

「あっ、先輩俺そろそろ準備があるんで、決勝で会いましょう」

 何やらやる気を出しているポンドラスは、試合の準備の為私から離れていった

「無駄な事を‥‥リテア様がいる限り私が負けるはずがないのに」
 今日だけは大事な後輩という考えは捨てさせてもらう、完膚なきまでに叩きのめす、それが私の使命でもある

 ポンドラスの後ろ姿を追っていると、不意に視線を感じた。視線を感じた方を見ると、そこには一人のガラの悪そうな男が一人こっちをニヤニヤしながら見ていた

 何をニヤニヤしているんでしょうか? 私にはそんな趣味はありませんよ、やりませんよ

 多分、変わった趣味を持つである男を無視し、私も試合の準備を始める、まずは相手の情報を知ることから。
 武闘大会では、試合の前に対戦相手の情報を事前に教えてくれるシステムになっていた。相手の名前はもちろん所属する会社や組織、そしてその人が使用できる召喚獣まで、それをもとに作戦を立てるのだ

 私からしたら何が来ても大丈夫なのですが、必ず完勝しなければならないため、相手の情報を得るために試合会場の裏に向かう

 ・・・・

 ・・・・


「さて、私の相手は‥」
 対戦相手の名は、シム・ワイスト21歳、フレンジュ土建(株)所属、召喚獣はトクポン

「‥‥‥‥は?」
 もう一度資料に目を通すが、召喚獣はトクポン以外は記載されていなかった

「トクポン? それしかないのに武闘大会に?」
 
 トクポンはデュラハンの元になった召喚獣で、裸の人が四つん這いになり、首を取って足をさらに4本追加したような見た目で、主に輸送や土木工事などで使われる事が多い、主に重機的な役割を持つ。

 何と言うか‥‥チャレンジャーですね、一応一番前は足ではなく手になっていますから、何かを持って戦うのでしょうか? 若干力が強いのと、後は体当たりぐらいしかないのに‥‥

 戦闘には不向きな召喚獣であり、最初の相手がトクポンとは、何となく拍子抜けだ
 
 それにしても‥‥21歳かぁー若いなぁー
 
 なんて事を考えてしまった。『生命の契約』のおかげで年齢が止まっているので忘れる事が多いですが、今年で私は40歳になってしまいました。
 もし地球であったら、もう人生の半分が過ぎた事になる、「人間五十年~下天の内を━━」の信長さんの時代だったら後10年しか生きられない。
 この世界だと私はまだまだ青年の年齢だが、何となく寂しい気持ちになってきてしまう

「早いものですね」

 武闘大会に出場しただけなのに、ちょっとした現実を突きつけられてしまった。

「ま、今は試合に集中しましょうか」
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