異世界陸軍活動記

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大召喚

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「あの召喚獣も欲しいですねぇ‥‥」

 試合会場では、私の持っていない召喚獣達がその力を振るっており、その能力などに感心し見惚れている所です

「リテア様にお願いしましたが、上手くいくでしょうか?」
 私が契約出来ていない魔法と召喚獣に、契約の許可が下りるように口添えをお願いしましたが‥‥

 召喚者は自身が契約出来た召喚獣に愛情を注ぎ、自分が召喚者だということに誇りを持っています。
 ですが私の場合、多分ですが全ての魔法や召喚獣と契約出来るでしょう、そうなると人とは違った考え方になってしまいます。
 一言で言ってしまうと『コレクター』 無いとどうしても欲しくなる、マシェルもビアの召喚者が変わった召喚獣を出した時、戦闘中にも関わらず手を止めて見てしまうほど気になってしょうがないのです
 
 もしマシェルモビアとの和平が結ばれ、世界が平和になった時、真っ先に彼の地を訪れ召喚獣の契約を申請するでしょう。
 その前にハルツールがコンプリートしていないので、そちらが先ですが‥‥そうだ! 大陸深部にはまだ見ぬ契約魔法陣があるかもしれないですね。
 防具に使用しているムカデの外皮あれがもう在庫がないから今度取りに行って見ましょうか? 硬くて魔力も通すから防具に丁度いいので

 持っていない召喚獣に目移りしていると、いよいよ私の出番になりました

 さて、やりましょうか

 貴賓席の方に目を向けると、リテア様と目があったような気がしました。期待してくれているのでしょう、リテア様の竜騎士として恥をかかせる訳にはいきません、全ての試合に勝利し、優勝を捧げましょうか、それに優勝したらリテア様は褒めてくれるでしょう‥‥‥‥うん、やる気が出て来た!

 試合を行う場所は4か所あり、その内の一つの舞台に上ります、私が試合をする部隊は貴賓席から一番近い場所でした

 召喚の部での試合のルールは、何体召喚獣を出しても問題ないので、数を多く持っている召喚者が有利とされています、そして召喚者自身を狙ってはいけない、これに違反すると即反則負けになる、最悪の場合は刑事罰を受けることになっています。
 ただ純粋に召喚獣同士の対決です

 あれですね、ポケ○○バトルと一緒です

 さて、相手はトクポンどう戦うか? オルトロスを使って左右から仕掛けましょうか? まあそんな事を考えなくても簡単に決着はつくでしょうか‥‥

「よぉー、お前竜騎士って呼ばれてるんだって?」

 私の事ですか?

 不意に声を掛けられたと思ったら、その相手は対戦相手でした。

 あれ? この人はさっきのニヤニヤ私を見ていた‥‥ああ、この人が対戦相手でしたか

「そうですが」

「はっ! 竜に乗っても無いのに竜騎士気取りかよ!」

 そう言われても‥‥身も蓋もない言い方ですが、周りがそう呼んでるだけであって‥‥、まぁ、確かに言ってることは合ってますよ、乗っているのはペガサス風の召喚獣だし‥‥‥‥

 一見ガラの悪そうな対戦相手、資料によるとシム・ワイストという名前だそうですが、更に話を続けます

「随分とヘンテコリンな召喚獣ばかり契約してるみてえじゃねぇか! ちょっと変わった召喚獣を契約出来たからって、いい気になってんじゃねえだろうな!」

 ‥‥何でしょうこの人、いきなり私の事を罵倒してきましたよ、あれ? 以前この人に何かしましたっけ? そんな事はしてないはず‥‥
 グラースオルグの威圧が出て居た時、それに当てられて恥でもかいた人でしょうか? でもそんな事言われてもあの時の私にはどうしようもなかったし‥‥‥‥

 周りでは他の参加者たちが静かに試合を行っているなか、この人の話はまだ続きます、早く試合をしませんか? 後がつっかえますよ?

「てめぇはこの前、マシェルモビアの兵士にコテンパンにやられたそうじゃねーか? しかも相手はたった一人
 竜騎士と? 
 呼ばれてるやつが? 
 たった一人の兵士にやられて恥ずかしいとは思わないのか? 
 言っとくがな! てめぇの給料は俺が払っている税金から出てるんだよ!」

「‥‥‥‥」
 いえ、違いますよ? 給料は軍とゴルジア首相から出ている訳であって、あなたが出している訳では無いのですが‥‥ちなみに税を納めるのは義務であり、当然私もその税を払ってるんです、だからあなたが払っている税でお給料をもらっているというのは‥‥ちょっと違う様な気がしませんか?
 それにあなたが払っている税では、私の給料の足しにもならないでしょうし‥‥‥‥

「しかも普通の軍人の何倍も給料が高いんだろう? ひとりの兵士も倒せないような奴に俺の税金を払いたく無いんだよ! 返せよ、俺の税金返せよ!」

 勝った! と言わんばかりの表情されました。税金の話をしたいなら私ではなく、国に直接言ったらどうでしょうか? そんな事を言われましても

 この辺あたりから、周りも私のいる舞台が騒がしいと気づき始めたようです、何となく視線が集まるのがわかりました。そして‥‥‥‥

「そうだそうだ! もっと言ってやれ!」
「いいぞシム! かましたれ!」

 とある一角から、対戦相手と同調するような言葉が聞こえて来て、それを聞いた対戦相手は、私に対してドヤ顔を決めてきます

 ふと声をした方に目をやると、対戦相手と何となく雰囲気が似ている感じの人達が数名いました。
 その後も対戦相手による私の罵倒は続きます。
「てめぇみてえなロリコンが━━」
「カスが━━」
「この雑魚兵士━━」

 無言の私に対し、勝利を確信したのか? 相手は休む暇もなく罵倒をしてきました。軍の事から私生活の事まで‥‥
 私は私生活の方では。お昼のワイドショーなどで色々言われているのでそれを参考にしているのでしょうが、そのほとんどが出鱈目だったりします

 対戦相手は罵倒し、それに同調する同じような見た目の観客‥‥私は少し考えました。
 この人達は何だろう?‥‥と

 そして気づきました。この対戦相手は土建会社に所属をして、トクポンという召喚獣を持っていることを‥‥
 召喚獣のトクポンは、土建会社からして見たらまさに喉から手が出るほど欲しい存在、また彼の容姿、年齢、そして私の人生経験から一つの可能性を導きだします

 まずは彼は、ガラの悪い容姿と見た目をしています、同調している観客席の人達も同じような姿、欧米ズもガラは悪そうですが、あれはあくまでもファッション、中身はまっとうな青年です。

 そう、観客にいる人はこの人と同じ会社の人間
 
 そして年齢、召喚獣や魔法の契約は20歳から、彼の年齢は21歳‥‥

 最終的に私がたどり着いた結論は、勉強があまりできなかった対戦相手は、20歳の時見事召喚獣トクポンの契約を果たしそのまま土建会社に就職、トクポン持ちはの人間は土建会社ではエリート、つまり彼はエリ―トなのです。
 彼は会社の人達にもてはやされ調子に乗ってしまった‥‥あまり調子づかせてしまった周りの人間も悪いでしょうが、乗せられた彼も悪いでしょう。
 でも仕方ないのです、彼はまだ21歳、そういった時期もあるでしょう、何となくもてはやされたいと思ったり、生意がってしまう事が他の人もあるはず
 ‥‥‥‥そう、彼は今生意がっている最中なのです。

 別にお前の事こわくねぇーし!
 お前のような雑魚に興味ねぇーし!

 多分こんな感じではないでしょうか? 周りに持ち上げられ周りが見えなくなっているのでしょう、私も何となく覚えがあるので強くは言えませんが‥‥
 懐かしいですね、『身体強化』を契約して、学校の剣技の先生の所に突撃したのはいい思い出です、先生はあの後どうしているでしょうか?

 そして‥‥そんな若者を戒めるのも年長者としての義務、この若者を真っすぐな性格に正す為、お灸をすえてやらねばならないでしょう、彼はこのまま人生を過ごしていれば、必ず大きな落とし穴にはまるでしょうから、大勢が見ている前で多少恥をさらす事になりますが、恥は若いうちに経験した方が今後の彼の為になるはず‥‥‥‥

 彼の罵倒は続くが、舞台には審判が居ません、巻き込まれる恐れがあるし、いなくても勝敗が決すると負けた召喚獣は消滅しますから、なので止める者がいない状態、私とこの対戦相手に気づいている人達はもうやめておけと言った視線を向けてきますが、対戦相手は止まる様子は有りません、だからそろそろ私が静止しましょうか‥‥

「もう満足しましたか? そろそろ試合を始めたいのですが」

「ああん!‥‥‥‥チッ、気持ち悪いグースが指図すんじゃねーよ」

「ふふふ‥‥グースですか? 罵る意味でそれを言ったと思いますが、別に私はグースですし、逆に今では誉め言葉だと思っていますから、それ位で怒るような事は━━」

「ふざけんな! このガキャー!! てめぇの腹に穴あけて中身引きずり出してやろうか!!」
 その怒声と共に私の頭の中が真っ白に染まりました
 
 こ、これは、魔力切れの‥‥な、何が

「我が主を罵倒するとは! その首刎ねてやるからそこになおれ!」
「「ガウガウガウ!!」」

 あ、この声は‥‥間違いない‥‥‥‥

 いつの間にか目の前には大きな黄色の魔法陣が現れ、そこから召喚獣達が湧きだしていた
 
「お、お前達‥‥‥何を‥‥‥‥」

「大将! あいつを今すぐぶっ殺してやりますから、まっててくだせぇ!」
「主よ、あの者の首を我が家の門に飾っておきましょう! 今すぐ切り取ってきます!」
「ガウガウ!」
「ガウガウガウ!」

 魔法陣からは、ほぼすべての召喚獣が外に出ようとしていた。だが出口が小さいのか魔法陣に半分埋まった状態である

 ノーム1号は今にも銃を取り出しそうだし、2号は肩まで、3号はまだ腕だけしか出ていない、デュラハンのデュラ子は既に大剣を持ち、馬のハン子は後ろ足が引っ掛かっている。
 オルトロスは大きな顔だけが出ており、ユニコーン状態のコスモも、ヤマタノオロチを模したオロチも、その8本の首をバッタバッタと地面に叩きつけていた

 しかも出て来てはいけない召喚獣のヤタと、一番やばいニュートンまで。
 特にニュートンはそのまん丸の姿のほどんどが外に出掛かっている、こいつを世に放したら『天地逆転を』使い、この会場にいる人の半分が犠牲になってしまう

 それだけじゃない、この召喚獣達は相手の召喚獣ではなく、召喚者である対戦相手本人を狙っている

 
 

 


 フェルドをやっている場合じゃねぇ!

「お、お前ら! 落ち着け!」
 ああ、マズイ‥‥意識が途切れ‥‥‥魔力が‥‥

「コレが落ち着いていられる訳がないでしょうが! 黙って聞いてればウチの大将を!」
 ノームは小型魔石砲を取り出し、召喚者に向けて‥‥

「待て待て! まてって!」
 ノームがいる場所を集中して引っ込めるように念じると、ノームの体は首の所まで引っ込んだ」

「後生だ大将! 一発! 一発だけでいいんだ! あのガキに撃たせてくれ!」
 何とか打つのを止めさせると、今度は勢いよく1番この場では出して行けないニュートンが飛び出ようとする

「や、やめろニュートン! お、お前だけは出す訳には‥‥」

「キィーーーーー!」
 ニュートンは音のような声を出し、何かを吠える

「お、お前声を出せるのかよ!」
 丸い球体でしかないニュートンが、声を出せるという嬉しい事が発覚したが、今はそれどころじゃない

「お、お前達‥‥‥いい加減に」

 対戦相手であるシムは、召喚獣のトクポンの後ろで尻もちをつき大粒の涙を流していた。目の前の異様な光景、多重召喚とは別の、それ以上の大召喚を目の当たりにし、尚且つその召喚獣達が殺気立って自分を狙っているのだ。
 逃げようとしているのか足だけは動いているが、尻をついて座り込んでいる為その場から少しも動いていない。
 周りで試合していた者も全てストップ、会場の全ての観客が、今這い出してこようとしている召喚獣に驚き恐怖を抱く

 あっちを引っ込ませればこっちが出てくる、一向に怒りが収まらない召喚獣達
「おまえ‥‥‥‥ら、何でこんなに聞き訳が‥‥‥‥」

 このままではこいつらが世に放たれ、大惨事が起こると思った俺は、全力で(気合)この召喚獣達を抑え込んだ
 
「いい加減にしろー!」
 
 ほぼ全力で力を注ぎ込んだ魔法陣は、地獄から這い出す悪魔を封印する如く、徐々にその形を閉じていき‥‥‥

「てめえの命だけは絶対取ってやるからなぁ!」
 というノームの最後の言葉と共に、完全にその魔法陣が消滅した

「はぁ はぁ はぁ」
 この広い会場で俺の荒げる息遣いと、子供の無く声だけが響く

「や、やった‥‥‥完全に抑え━━」
 たと思ったのだが

「後はお任せください旦那様」

「へえ?」

 俺の前には悪魔の姿をした執事、召喚獣のラグナが立っていた

「何でお前が‥‥」

「私ももう我慢の限界を超えてしまいました。大丈夫です私は冷静です、召喚主ではなくあの召喚獣を完膚なきまで叩きのめして見せましょう」

 全然冷静じゃないだろ! 今自分の口から我慢の限界って言ってたし!

 もう意識を保つ程度の魔力しか残っていない俺は、何も出来ないまま見ている事しか出来なかった。
 ラグナが出てこれたのは他の召喚獣とは違い、ただ単に戦闘能力がないので意識していなかったからである、だから魔法陣を無理やり閉じる瞬間そこからすり抜けてきたのだろう、ラグナの背中には小さな魔女風お婆ちゃん達が引っ付いていないので、すり抜けるのもギリギリだったとは思うが。

「ではこちらから行かせてもらいましょうか?」
 ラグナは以前余った素材で作ってあげたメリケンサックを取り出し、その手にはめた。そして‥‥ラグナは戦闘態勢に入った

 あれ? もしかしてラグナって戦えた? 知らない間に召喚獣が変わっている事があるが、もしかしたら‥‥‥

 ラグナが未知の力を発揮するのか? ファイティングポーズをとったラグナは

「行きます!」
 地を蹴り、相手の召喚獣に肉薄した

「はあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」
 渾身のパンチが召喚獣のトクポンに直撃し‥‥‥‥

「ぎゃぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
 ラグナはその場に倒れた。
 
 その間、トクポンは全く動いていない

「そこの‥‥召喚主よ、あなただけは絶対にノロイコロシテヤル‥‥‥‥」 
 対戦相手に物騒な事を言い放ち
「だ、旦那様申し訳ございません、このラグナ旦那様のお力に‥‥‥‥」
 そう言い残し光の粒となり消滅した

「お、お前何しに出て来たんだよー!」
 ラグナが消滅したことにより、俺の残った僅かな魔力も潰え、そのまま意識を失った


 

 ◆◇◆◇

「ハッ!!」
 体がブルリと震え目が覚める

 ここは‥‥軍の医療施設‥‥か?

「目が覚めましたか?」
 ふと声が掛かり、そこにはタクティアがいた

「タクティアか‥‥俺はどのくらい寝てた?」

「かれこれ2日ですね、そろそろ起きる頃だと思っていましたが、気分はどうですか?」

「ああ、嫌な夢を見た‥‥‥‥」

「そうですか、多分その夢は現実ですよ、自滅したハヤト隊長はそのままここに運ばれましたから」

「‥‥‥‥」
 夢じゃ無かった‥‥分かってる分かってたけど、夢ならどれほど良かったか

「ちなみにあの後、自滅したハヤト隊長のおかげで次に進んだ対戦相手ですが、突然姿を消しましてね、何やら物凄い勢いで会場を後にしたとか‥‥要するに逃げたんでしょうね、恐怖で。それで、優勝は同じ軍のポンドラスが見事優勝です」

「‥‥そうか‥そうなると、リテア様にはどう顔向けしたらいいか‥リテア様の竜騎士としてとんだ失態を‥‥‥‥」

 優勝すると言ったのに、召喚獣が暴走を‥‥‥‥

「ああ、それなら大丈夫ですよ、自滅したハヤト隊長が倒れた後、会場は笑いに包まれていましたし」

「ああああああ!」
 なんて事を!!

「タスブランカの代表は、貴賓席で体をのけ反らせて笑っていたようですから」

「嫌だァァァァァァァ!!!」
 死にたい死にたい! 俺を地球に返して!!

 姉の洋子の事以外に、トラウマを負うとは思っても見なかった

「ははははは」
 そんな俺を見て笑うタクティア
「ハヤト隊長、そんなに恥ずかしがる必要はありませんよ、あの時やった多重召喚は通常ではあり得ないことをやってのけたんですから、昔の記録でもありませんよ? あんなに一度に召喚獣を出すのは。第一あそこにいた召喚者、すべての選手が笑ってはいませんでしたから、分かる人には分かるんですよ、ハヤト隊長がどれほど凄い事をしたのか」

「分からない人には分からないじゃないか!」


 ◆◇◆◇

 この武闘大会の事はその後、ニュース番組でも取り上げられ、面白おかしく伝えようとする番組の司会者側と、真面目に凄い事だと伝える専門家の口論をする報道が暫く流れるようになる

 そして俺の家には1通の封筒が、そこには魔法契約の許可証と

 『試合、とても楽しかったわ』

 と書かれたリテア様の手紙が同封されていた
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