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番外編【看病イベント】1忠告
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『すいません。紗々さん、体調が悪いので今日は会社を早引きして帰ります』
大鷹さんからこんなメッセージを受け取ったのは、2月に入ったある日のこと。最近、暖かい日や寒い日が交互に続いて、風邪などを引きやすい時期ではある。加えて、インフルエンザやら流行り病やらいろいろな病気も世間をにぎわせている。少しでも体調に異変が出たら会社を早退するのは賢明な判断だろう。
ちょうど昼休憩をしていた時で、控え室には中途採用の河合さんが一緒に休憩を取っていた。
『わかりました。気を付けて帰宅してください』
体調が悪い人に向けた気の利いた言葉が思い浮かばず、無難な回答を入力して大鷹さんに送信する。
「もしかして、紗々先輩の最愛の旦那、おおたかっちに何かありました?」
「どうしてそんなことがわかるんですか?」
「だって、すごい不安そうな顔をしていましたよ。紗々先輩をそんな顔にさせるのって、一人しかいませんよね?」
「……。黙秘します」
河合さんの熱い視線を感じたが、無視することにしてお弁当に入っている昨日の夕食の残りの肉じゃがをほおばる。そこまで顔に表情が出る方ではないと思うのに、後輩の洞察力が少し怖くなる。とはいえ、ほぼ初対面の時から私の腐女子オーラをつかんでいた後輩だ。私のことなどなんでもお見通しなのかもしれない。
「そうそう、黙秘は構いませんが、気を付けたほうがいいですよ。おおたかっちが調子悪くなると厄介ですから」
「厄介?」
いったい、厄介とはどういうことだろうか。もしかして、二次元にあるような、熱に浮かされると今までの性格が一変、幼児退行したみたいに甘えん坊になるとかだろうか。それとも、性欲が一気に爆発してしまうとかだろうか。
「私が相手でなかったら、かなり萌えるシチュエーションです」
「はあ」
おっと、心の声が口から出てしまった。私の悪い癖であるが、これは大鷹さんの前でしか出ないはずだった。河合さんに対してそれだけ心を許しているということだろうか。もしくは同じ趣味を共有しているからこその気のゆるみという可能性もある。
河合さんは私のつぶやきをしっかり拾っていたのか、大きな溜息をつく。だって、イケメンが風邪などの体調不良に陥ったら起きるイベントなど一つしかない。
『看病イベント』
これは男女問わず発揮されるイベントで、私も結構気に入っている。そういえばまだ看病イベントには手を付けたことがない。これは大鷹さんの看病をしつつ、ネタとなりそうなことはしっかり記憶しておかねばならない。
私が看病ネタを考えている間にお昼時間が終わったのか、目の前に座る河合さんはお弁当箱をしまって、歯を磨き始めていた。
「確かに体調不良と言ったら『看病イベント』になるのはわかりますが、おおたかっちの場合は少し違います。だからこそ、あえて元カノの立場から忠告させていただきます」
うがいを終えて歯みがきを終えた河合さんは、元カノの言葉を強調して言葉を続ける。すっかり忘れていたが、目の前の後輩は実は大鷹さんの元カノだった。その元カノが忠告するような何かが、体調不良の大鷹さんの身に起こるのだ。河合さんのほうが先に昼休憩に入っていたが、私の昼休憩もたくさん残っているわけではない。慌ててお弁当の残りを口に詰めて、お弁当を片付ける。
「お願いします」
「それは」
「ああああ、まったく昼休憩前にまさかの引きだったわ。仕事していないのなら、わざわざ昼に来なくてもいいでしょ。もっと早く来てほしいわ」
タイミング悪く、遅めの昼休憩に入ってきた人たちが控え室に入ってきた。
『お疲れ様です』
「じゃあ、先輩。この話はスマホにメッセージ入れておきます。とりあえず、早退したとなれば、やつらが黙っていないでしょうから、道中、お気を付けください」
私以外の前で大鷹さんに対する忠告をする気はないようだ。河合さんは颯爽と控室を出て、午後の業務に向かっていく。
「何を話していたの?」
「いえ、大したことじゃないです。風邪とかいろいろ流行っているから、お互い気を付けましょうって話をしていました」
「そう、確かに私たち客商売はお客さんから菌をもらいやすいからね」
自分の旦那が体調不良だということをわざわざほかの社員に話すことでもない。適当に話をごまかし、私もまた急いで歯を磨き、午後の業務をするために控え室を出た。
大鷹さんからこんなメッセージを受け取ったのは、2月に入ったある日のこと。最近、暖かい日や寒い日が交互に続いて、風邪などを引きやすい時期ではある。加えて、インフルエンザやら流行り病やらいろいろな病気も世間をにぎわせている。少しでも体調に異変が出たら会社を早退するのは賢明な判断だろう。
ちょうど昼休憩をしていた時で、控え室には中途採用の河合さんが一緒に休憩を取っていた。
『わかりました。気を付けて帰宅してください』
体調が悪い人に向けた気の利いた言葉が思い浮かばず、無難な回答を入力して大鷹さんに送信する。
「もしかして、紗々先輩の最愛の旦那、おおたかっちに何かありました?」
「どうしてそんなことがわかるんですか?」
「だって、すごい不安そうな顔をしていましたよ。紗々先輩をそんな顔にさせるのって、一人しかいませんよね?」
「……。黙秘します」
河合さんの熱い視線を感じたが、無視することにしてお弁当に入っている昨日の夕食の残りの肉じゃがをほおばる。そこまで顔に表情が出る方ではないと思うのに、後輩の洞察力が少し怖くなる。とはいえ、ほぼ初対面の時から私の腐女子オーラをつかんでいた後輩だ。私のことなどなんでもお見通しなのかもしれない。
「そうそう、黙秘は構いませんが、気を付けたほうがいいですよ。おおたかっちが調子悪くなると厄介ですから」
「厄介?」
いったい、厄介とはどういうことだろうか。もしかして、二次元にあるような、熱に浮かされると今までの性格が一変、幼児退行したみたいに甘えん坊になるとかだろうか。それとも、性欲が一気に爆発してしまうとかだろうか。
「私が相手でなかったら、かなり萌えるシチュエーションです」
「はあ」
おっと、心の声が口から出てしまった。私の悪い癖であるが、これは大鷹さんの前でしか出ないはずだった。河合さんに対してそれだけ心を許しているということだろうか。もしくは同じ趣味を共有しているからこその気のゆるみという可能性もある。
河合さんは私のつぶやきをしっかり拾っていたのか、大きな溜息をつく。だって、イケメンが風邪などの体調不良に陥ったら起きるイベントなど一つしかない。
『看病イベント』
これは男女問わず発揮されるイベントで、私も結構気に入っている。そういえばまだ看病イベントには手を付けたことがない。これは大鷹さんの看病をしつつ、ネタとなりそうなことはしっかり記憶しておかねばならない。
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「確かに体調不良と言ったら『看病イベント』になるのはわかりますが、おおたかっちの場合は少し違います。だからこそ、あえて元カノの立場から忠告させていただきます」
うがいを終えて歯みがきを終えた河合さんは、元カノの言葉を強調して言葉を続ける。すっかり忘れていたが、目の前の後輩は実は大鷹さんの元カノだった。その元カノが忠告するような何かが、体調不良の大鷹さんの身に起こるのだ。河合さんのほうが先に昼休憩に入っていたが、私の昼休憩もたくさん残っているわけではない。慌ててお弁当の残りを口に詰めて、お弁当を片付ける。
「お願いします」
「それは」
「ああああ、まったく昼休憩前にまさかの引きだったわ。仕事していないのなら、わざわざ昼に来なくてもいいでしょ。もっと早く来てほしいわ」
タイミング悪く、遅めの昼休憩に入ってきた人たちが控え室に入ってきた。
『お疲れ様です』
「じゃあ、先輩。この話はスマホにメッセージ入れておきます。とりあえず、早退したとなれば、やつらが黙っていないでしょうから、道中、お気を付けください」
私以外の前で大鷹さんに対する忠告をする気はないようだ。河合さんは颯爽と控室を出て、午後の業務に向かっていく。
「何を話していたの?」
「いえ、大したことじゃないです。風邪とかいろいろ流行っているから、お互い気を付けましょうって話をしていました」
「そう、確かに私たち客商売はお客さんから菌をもらいやすいからね」
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