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番外編【成人式】4似た者同士ということです
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モテる男の体験談は、私からしたら二次元の世界の出来事だ。二次元でしか起こらないと思っていたことが現実に起こるとは。
「せっかく大鷹さんが話してくれたので、私も成人式のエピソードを語りましょうか?」
相手だけが情報開示するのはフェアではない。大鷹さんみたいなすごい話ではないが、簡潔に話しておこう。大鷹さんの返事を聞くことなく、私は成人式でのエピソードを語ってみる。
「私は成人式に振袖を着て参加しました。とりあえず、中学の同級生とも写真を撮りました。でも、成人式後の同窓会の案内が私だけ届かず、同窓会は参加しませんでした」
「えっ?」
「同窓会の案内が私だけ届きませんでした」
大鷹さんが驚いていると思われる言葉をもう一度繰り返す。なぜか私は同窓会名簿に名前が記載されていなかったようだ。同窓会があったことすら知らなかったという、情報弱者である。まあ、別に同級生と話すこともないので問題はなかったが。
「まさか、参加の是非を問われない人がいるとは知りませんでした」
とはいえ、いまさら驚くことだろうか。私の話に大鷹さんは驚いていたが、その後、考え込むように手をあごの下にあてていた。何か思うことがあるらしい。
同窓会については、私に卒業後も親しい友人がいたら簡単に名簿に名前がないことを把握できたはずだった。ただ友人から同窓会に参加する旨を伝えてもらえばよかっただけだ。
「いや、同窓会の件も驚きですが、紗々さんが振袖を着て成人式に参加したことにも驚きました」
驚くポイントがふたつあったので考え込んでいたのか。私をなんだと思っているのか。確かに私には友達がいない。腐女子で陰キャの引きこもり体質のボッチであるが、イベントごとに関心がないわけではない。それに、こういうのは私だけの問題ではなく、親も関係してくる。
「振袖に関しては、母が張り切っていただけで、私は別に着なくてもよかったんですけど」
母親、正確には母親の姉(叔母)のおかげで振袖を着ることになった。叔母の子供(従姉妹)に着せるために振袖を購入。子供に着せるだけではもったいないということで、私の母親に相談したそうだ。
「そんな流れで私は振袖を着ることになりました。当然、着付けも化粧も髪も美容院で予約してやってもらいました」
「なるほど」
私の説明で納得してくれたようだ。
「一生に一度の晴れ姿ということで、貴重な体験ができたなと思っています。良い思い出がないと言いましたけど、久しぶりの同級生との再会時に彼らのテンションについていけなかったのと、同窓会の参加資格すらないという思いが強かったから、あまり思い出したくなかったのかもしれません」
今思えば、振袖を着ることも出来たので悪くはなかったのかもしれない。
「大鷹さんと私って、意外に似ていますよね」
「どうしたらそんな言葉が出るのかわからないんですが」
だって、大鷹さんも私も成人式という、人生の節目のイベントを思う存分楽しむことが出来なかったのだ。理由は違うにせよ、楽しめなかったのなら同じだ。
「いや、そもそも似ているところがなければ、結婚なんてしませんよね。結婚している時点で似たもの同士かも」
「いきなりですね。まあ、そういうものだと思いますよ。夫婦っていうのは」
なんだか、しんみりした雰囲気になってしまった。
「ということで、私は今から大鷹さんの成人式での体験も踏まえて新作の執筆に入りたいと思います。看病イベントも同時に行いたいんですが、何かエピソードはありますか?」
「まったく、相変わらずですね」
大鷹さんは苦笑していた。
すっかり冷めてしまったお茶を飲み干し、キッチンへ湯呑を持っていく。私たちの結婚生活はこうして続いていく。とはいえ、私はまだ当初の計画をあきらめてはいない。あきらめてはいないが、いまはまだ時期ではないと思うことにして、離婚はせずに結婚生活を満喫するのだった。
「せっかく大鷹さんが話してくれたので、私も成人式のエピソードを語りましょうか?」
相手だけが情報開示するのはフェアではない。大鷹さんみたいなすごい話ではないが、簡潔に話しておこう。大鷹さんの返事を聞くことなく、私は成人式でのエピソードを語ってみる。
「私は成人式に振袖を着て参加しました。とりあえず、中学の同級生とも写真を撮りました。でも、成人式後の同窓会の案内が私だけ届かず、同窓会は参加しませんでした」
「えっ?」
「同窓会の案内が私だけ届きませんでした」
大鷹さんが驚いていると思われる言葉をもう一度繰り返す。なぜか私は同窓会名簿に名前が記載されていなかったようだ。同窓会があったことすら知らなかったという、情報弱者である。まあ、別に同級生と話すこともないので問題はなかったが。
「まさか、参加の是非を問われない人がいるとは知りませんでした」
とはいえ、いまさら驚くことだろうか。私の話に大鷹さんは驚いていたが、その後、考え込むように手をあごの下にあてていた。何か思うことがあるらしい。
同窓会については、私に卒業後も親しい友人がいたら簡単に名簿に名前がないことを把握できたはずだった。ただ友人から同窓会に参加する旨を伝えてもらえばよかっただけだ。
「いや、同窓会の件も驚きですが、紗々さんが振袖を着て成人式に参加したことにも驚きました」
驚くポイントがふたつあったので考え込んでいたのか。私をなんだと思っているのか。確かに私には友達がいない。腐女子で陰キャの引きこもり体質のボッチであるが、イベントごとに関心がないわけではない。それに、こういうのは私だけの問題ではなく、親も関係してくる。
「振袖に関しては、母が張り切っていただけで、私は別に着なくてもよかったんですけど」
母親、正確には母親の姉(叔母)のおかげで振袖を着ることになった。叔母の子供(従姉妹)に着せるために振袖を購入。子供に着せるだけではもったいないということで、私の母親に相談したそうだ。
「そんな流れで私は振袖を着ることになりました。当然、着付けも化粧も髪も美容院で予約してやってもらいました」
「なるほど」
私の説明で納得してくれたようだ。
「一生に一度の晴れ姿ということで、貴重な体験ができたなと思っています。良い思い出がないと言いましたけど、久しぶりの同級生との再会時に彼らのテンションについていけなかったのと、同窓会の参加資格すらないという思いが強かったから、あまり思い出したくなかったのかもしれません」
今思えば、振袖を着ることも出来たので悪くはなかったのかもしれない。
「大鷹さんと私って、意外に似ていますよね」
「どうしたらそんな言葉が出るのかわからないんですが」
だって、大鷹さんも私も成人式という、人生の節目のイベントを思う存分楽しむことが出来なかったのだ。理由は違うにせよ、楽しめなかったのなら同じだ。
「いや、そもそも似ているところがなければ、結婚なんてしませんよね。結婚している時点で似たもの同士かも」
「いきなりですね。まあ、そういうものだと思いますよ。夫婦っていうのは」
なんだか、しんみりした雰囲気になってしまった。
「ということで、私は今から大鷹さんの成人式での体験も踏まえて新作の執筆に入りたいと思います。看病イベントも同時に行いたいんですが、何かエピソードはありますか?」
「まったく、相変わらずですね」
大鷹さんは苦笑していた。
すっかり冷めてしまったお茶を飲み干し、キッチンへ湯呑を持っていく。私たちの結婚生活はこうして続いていく。とはいえ、私はまだ当初の計画をあきらめてはいない。あきらめてはいないが、いまはまだ時期ではないと思うことにして、離婚はせずに結婚生活を満喫するのだった。
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