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異母兄の来訪2【R-18】
しおりを挟む「やあ。リオールくん」
夕食後クロードに呼び止められた。バルコニーで星を見ていたクロードはリオールの肩に上着をかけた。
「なんか変わった? リオールくん」
「……え、……かわり、ましたか?」
「うん。昔はもっと、もっと……、分かんないや。ごめんね」
ふう、とクロードは葉巻をふかした。バルコニーの手すりに肘を突き、憂う表情をするクロードは絵画のように精巧だった。
「さっき、フォスが言ったことは半分は本当だよ。アルファにとってオメガは弱みになる。それは本当だよ」
「本当ではないのは、どこですか……」
「……オメガは、アルファにとって瑕ではない。オメガがいることでアルファは弱くもなるし、強くもなる」
「強くなることなんてあるんですか」
「あるよ。アルファって生き物は番のためなら何でもするんだ。決して首輪を嵌められて大人しくしてるだけじゃない。そこにはアルファの欲が確かに存在してる」
リオールは自分の項に手をやった。噛まれた番契約の証がここには刻まれている。アルバの欲。そんなものあったのか。
クロードとのこの会話は以前にはしたことのないものだ。何が変わったかは分からない。
「クロード様は、フォス様と番いたかったのですか」
「番いたかったよ。大事にしたかったんだ。彼に勉学も剣術もなにもかも何一つ敵わなかったのは本当だ。でも彼が辛い時、支えてあげたいと思ってんのに」
「番は、辛い時支え合うものですか?」
「そうだよ。彼は弱みを誰にも見せられないから、俺にだけ見せてほしいの」
クロードは、リオールを見下ろし、自嘲するように笑った。
「フォスはこのあと君に、酷いこと言うだろう。強制はしないけど、受け入れる方が得策だと俺は思ってる」
「……はい」
「男爵の首輪としてお前が機能していることを俺に示せ」
「どのように……ですか」
「交尾でも何でもしろ。お前ら二人、ぎこちないんだよ」
フォスは嫌悪したような顔でリオールに命令した。ここの流れは以前と一緒だ。このあと、抱いてくださいとアルバに頼みに行き、断られる。リオールがうまく必要性を説明できなかったことに起因するのかもしれないが、傷付いた。
「23時、ゲストルームにお前の番を連れて来い」
「まっ、待ってください……、俺、ヒートでもないんです」
「ヒート中ではないお前は男爵を御せないと、そう言ってるのならばそうしろ」
フォスはこの部屋の主人かのようにソファに優雅に足を組む。リオールは困ったように眉を下げる。フォスはこのゲストルームを一人で使うつもりらしい。クロードを追い払って別室を用意させたのだ。
「フォス様……」
「愛人の子だろ? 尻を振って依存先に媚びるのは得意じゃないのか」
「…………、はい……」
「ゾッとする。お前と私が同じ存在だなんて。血を全部抜き取ってぶち撒けたいくらい」
「フォス様と俺は、一緒ではありません……。フォス様は頭が良くて、強くて、かっこよくて」
昔、愛人の子どもとして虐げられていたリオールに優しくしてくれた。自己満足だと言われても、ただ優しくしてくれたフォスを嫌いにはなれないのだ。彼はリオールの中で絶対的な光なのだ。
フォスに頬が打たれた。リオールは痛くて頬を覆う。
「そんなことは分かっている……っ! 自分の命すらままならない、醜い生き物になんか、私は」
この人は死にたいんだとリオールは思った。優しい性が、番のクロードを狂わせることを許させない。そんなことを考えて行き場を失い、狂って、狂って、余裕がない。
「五人、男三人と女二人。アルファは二人産んだら、私を解放すると公爵夫人は言った……ッ、家畜以下だ……」
「解放……?」
「番の解消だ……。王家に伝わる、門外不出の方法があるらしい……。それを……っ、私に、分け与えるとあの女はっ……!!」
番の解消。以前はそんなことを考えていなかったからここまで話を聞けなかった。リオールはフォスの肩を掴み、教えてほしいと言いそうだったがグッと堪える。それでは首輪の役目を放棄すると言っているものだ。
「……フォス様、今日の夜、必ず伺います……。暖かいお茶、用意させます」
「…………不要だ。お前の施しなどいらない」
使用人に、フォスの部屋にお茶を運ぶように伝えて、リオールは駆け出した。アルバの元に。勢いよく部屋に入るとアルバは驚いた顔をしていた。
「どうした、息を切らして」
「アルバ……、様! 今日、異母兄の前で抱いてください」
「……いきなり何言ってるんだ」
戸惑うように言われてリオールは順を追って説明ができていないと思い、最初から話すようにする。以前は説明できなかったところも全て。
フォスは公爵家から来た使いであり、その目的が番関係の監視であること、フリでもいいからアルバはリオールのためなら何でもする様に見せなくてはいけないこと、そしてフォスは番の解消について何か知っているかも知れないこと。
「……! あれは……そう言うことだったのか」
「? なんですか」
「いや。ヒート中じゃないだろう」
「ヒートでなければ、俺のこと抱けないですか?」
そうではない、とアルバは視線を逸らしながら話した。リオールは発情期誘発剤の使用も考えていたため否定してもらえて良かったと思った。
アルバはしばらく考えたあと、手を差し出した。リオールは首を傾げたが、その手に自分の手を重ねる。
「体の大きさがこれだけ違うことをお前は分かっているのか」
「……アルバ様は大きいですよね? 今更なんですか」
「ヒート中だと勝手に濡れるが今は違う。普段お前の腹の何処まで入っているか分かっているのか?」
アルバはリオールの腰を掴み、臍あたりをトントンと指で突いた。ぞくっとリオールは身震いした。しかしすぐに首を横に振り、大丈夫だと啖呵を切る。
「アルバ様こそ、大丈夫なんですか?
俺にめっ、めろめろ、なフリするんですよ……」
アルバも首を傾げた。できるともできないとも言わなかった。リオールはとにかく、と声を上げる。
「今日の22時半。俺は一人で準備するので、アルバ様も準備しててください!」
アルバの手を振り払いピューっと逃げた。それほど約束まで時間はない。フォスは時間に厳しい人なので遅れない様にしなくてはいけない。湯浴みをして体をキレイにしておかなくてはいけない。
リオールは体を綺麗にした後、自分のベッドルームに向かった。アルバはいない。こそこそと棚の奥に隠された玩具を取り出した。アルバは発情期に帰って来ず、発情期のオメガのための玩具を渡してきたことがあった。あの時は手に力が入らず、いつもアルバにやってもらうばかりで自ら解消ができず辛い目にあったものだった。思い出したくはなかったが、捨てるわけにもいかなくて保管していた。リオールのその中のうちの一つを手に取った。奇妙な形をしたものだ。入り口は細く、円錐の様に急に太くなって、そのままくびれて丸い取手がついている。アナルプラグ、と書いてあった気がする。リオールは香油を取り出して、孔に塗る。指を入れても発情期とは違って嫌悪感しかなかった。にゅぽ、にゅぽ、と指を出し入れして、すぐに飽きてしまった。もうプラグを入れることにしてとろとろと香油を垂らして、孔に押し当てた。
「あれ、ん……、う、っ……」
グーッと押し込むと、いつもはアルバのものも入っているのに孔はキツく、抵抗していた。にゅぽんっと結局抜けてしまった。リオールはううっと唸った。枕からアルバの匂いが香った。リオールは枕を抱き寄せて、鼻を埋める。指を二本入れるところから始めた。滑りは十分だから、あとは体が受け入れるだけだ。はふはふと息をしながら指を入れる。自分の指をアルバのものだと思い込みながら飲み込むと先程とは反応が違った。ぱかりと足を開いて腰を揺らす。三本指が入ったところでプラグに再びチャレンジしてみた。
「ぅ……、あ、はあ……っ、は、ンン……」
喉を逸らした。みちみちと孔の縁が広がり、一番太いところまで入ってすぐにくびれ部分を迎えて、咥え込んでしまった。少し動いたくらいでは落ちないくらいしっかりと咥えていた。時間が近付いていることに気がついてハッと体を起こし、バスローブを着込んだ。
「リオール? 入ってもいいか」
「あっ……、はい!」
アルバもバスローブの姿だった。リオールは腹の中に異物感を覚えながらも、アルバにもベッドに座る様に促した。リオールは向かい合う様に立った。
「きょうは、ありがとう、ございます」
「いや。俺自身のためでもある」
「俺、準備しますね。下手だったら、教えてください」
バスローブの合わせ目を開く。ペニスはまだ兆してはいないが、それでも太くて長かった。リオールは指を這わせて、フニフニと握る。握ろうとしても指が回らなかった。リオールは口を開けて、先端を舐める。
「……っ、……必要、ない……」
「ふあ……? なんでふか……?」
「俺がやるから、しなくていい……」
「あんまり時間がないので、手伝います」
口を大きく開けて先っぽを咥えた。大き過ぎて頬がぽっこりと膨れる。にゅぽ、にゅぽ、と顔を前後に揺らす。舌で赤い亀頭を舐める。湯浴みをしたばかりだから清潔であったが雄の匂いがした。アルバは幹をごしごしと擦る。痛くないのかな。
「お前こそ、準備は、いいのか」
「ン、……ぅぐ、ん……、うん……」
「もういい、から……、口離せ」
ふう、と口を離した。硬くなってきた。リオールが時計を見ると約束の時間が迫っている。パッと立ち上がり、ゲストルームまでアルバの手を引いて歩いた。
「いつもと同じじゃなくて、なるべくこう、恋人にする様にお願いします……」
「夫婦なのに?」
「いつもアルバ様は冷たいから、こう優しい感じがいいです」
「……つ、冷たい……?」
「はい。冷たいです」
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