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10話
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放課後、杏里と共に2年生のエリアに来た。周りが上級生だらけで緊張する。注がれる視線を気にしないようにしながら、奏多さんのクラスへと向かった。
「ここよ」
「うん」
私の代わりに杏里が教室のドアのところから中を覗いてくれて、それに気付いた彼が教室から出て来た。
奏多さんの顔を見ると、改めて思う。
涼くんももちろんかっこいんだけど、奏多さんはかっこいいを通り越してもはや美しくて、まるで彫刻のような顔をしている。しかも、背も高い。
こんな人が自分の恋人だと思うと、嘘なんじゃないかと疑ってしまう。私なんかのことを、こんなに完璧な人が好きになってくれるはずがないと……。
「桜さん、元気? どこか具合の悪いところはない?」
「大丈夫です」
「よかった。桜さんが元気なら、僕はそれだけで十分だよ」
奏多さんは、本当に安心をしたのか頬を緩めた。
「でも……」
恋人という自分の存在のことを忘れてしまっている私のことを本当はどう思っているのか、聞きたくても聞けるはずがない。
私なら絶望しかない。きっと、その状況に逃げてしまう。現実から目を背けて、別の恋を求めると思う。
「少し、構内を散歩しようか?」
「私はどうしたらいいかしら?」
「杏里も一緒に」
2人きりになるのはまだ怖いという思いがあって、だけど杏里と一緒ならまだ大丈夫な気がする。こんなこと、本当は思いたくないのに。もっと、心を許したいのに。
「そうだね」
気のせいかな。奏多さんの表情に少しだけ哀愁を感じ取ることが出来るのは。
多分、それは気のせいなんかじゃなくて、そうさせているのは確実に私。
「今日はいい天気ね」
「そうだね。気温もちょうどいいし」
「2人とも、何か甘いものとか食べる? って言っても、チョコレートしかないんだけど」
奏多さんは、鞄の中から可愛らしい縦長の箱を取り出すとその蓋を開けた。その中にはちょうど3つ、貝殻の形をしたチョコレートが上品に入れられている。
近くのベンチに腰を掛けて、1つずつ手に取る。
「いただきます…………お、美味しい」
中に甘いムース、コーティングされているチョコレートはほろ苦いビター。
舌触りは滑らかで、口の中の体温でチョコレートはすぐに溶けてなくなってしまった。
たった一粒なのにそれ以上の満足感が得られる。
「よかった、桜さんの笑顔見れて」
そう言えば、記憶が無くなってからはあまり笑っていない。
「あ…………。はい」
「桜、甘いもの好きだものね」
「うん、甘いものって、気分を幸せにしてくれるよね」
「そうだね。桜さんは覚えていないだろうけど、僕に手作りのタルトをくれたことがあってね、それがすごく美味しくて、しかも好きな子の手作りだったから、もう美味しさも何倍にも感じられたんだ」
「そんな、私なんかが作ったものなんて……」
「ううん、すごく美味しかった。今まで食べた中で一番」
奏多さんといると、大人の余裕というかそういうのを感じて私まで気持ちが落ち着いてくる。なんとなく分かった。自分が奏多さんを好きになった理由が。
「また、作ります。奏多さんが喜んでくれるなら」
自然と、そんな言葉がでてきた。
「ありがとう」
一瞬目を丸くした奏多さんだけどすぐに笑顔になる。その瞬間風が吹いてきて、彼のさらさらの髪を揺らした。その姿に、私は胸を高鳴らせた。
「ここよ」
「うん」
私の代わりに杏里が教室のドアのところから中を覗いてくれて、それに気付いた彼が教室から出て来た。
奏多さんの顔を見ると、改めて思う。
涼くんももちろんかっこいんだけど、奏多さんはかっこいいを通り越してもはや美しくて、まるで彫刻のような顔をしている。しかも、背も高い。
こんな人が自分の恋人だと思うと、嘘なんじゃないかと疑ってしまう。私なんかのことを、こんなに完璧な人が好きになってくれるはずがないと……。
「桜さん、元気? どこか具合の悪いところはない?」
「大丈夫です」
「よかった。桜さんが元気なら、僕はそれだけで十分だよ」
奏多さんは、本当に安心をしたのか頬を緩めた。
「でも……」
恋人という自分の存在のことを忘れてしまっている私のことを本当はどう思っているのか、聞きたくても聞けるはずがない。
私なら絶望しかない。きっと、その状況に逃げてしまう。現実から目を背けて、別の恋を求めると思う。
「少し、構内を散歩しようか?」
「私はどうしたらいいかしら?」
「杏里も一緒に」
2人きりになるのはまだ怖いという思いがあって、だけど杏里と一緒ならまだ大丈夫な気がする。こんなこと、本当は思いたくないのに。もっと、心を許したいのに。
「そうだね」
気のせいかな。奏多さんの表情に少しだけ哀愁を感じ取ることが出来るのは。
多分、それは気のせいなんかじゃなくて、そうさせているのは確実に私。
「今日はいい天気ね」
「そうだね。気温もちょうどいいし」
「2人とも、何か甘いものとか食べる? って言っても、チョコレートしかないんだけど」
奏多さんは、鞄の中から可愛らしい縦長の箱を取り出すとその蓋を開けた。その中にはちょうど3つ、貝殻の形をしたチョコレートが上品に入れられている。
近くのベンチに腰を掛けて、1つずつ手に取る。
「いただきます…………お、美味しい」
中に甘いムース、コーティングされているチョコレートはほろ苦いビター。
舌触りは滑らかで、口の中の体温でチョコレートはすぐに溶けてなくなってしまった。
たった一粒なのにそれ以上の満足感が得られる。
「よかった、桜さんの笑顔見れて」
そう言えば、記憶が無くなってからはあまり笑っていない。
「あ…………。はい」
「桜、甘いもの好きだものね」
「うん、甘いものって、気分を幸せにしてくれるよね」
「そうだね。桜さんは覚えていないだろうけど、僕に手作りのタルトをくれたことがあってね、それがすごく美味しくて、しかも好きな子の手作りだったから、もう美味しさも何倍にも感じられたんだ」
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「また、作ります。奏多さんが喜んでくれるなら」
自然と、そんな言葉がでてきた。
「ありがとう」
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