343 / 411
黒豚令息の領地開拓編
ハルフェン侯爵
しおりを挟む
しばらくすると、再び戻って来たルーチェが顔を出した。
「ちょっとまってて!」
そう言うと、外に向かって何か合図をし、にこにこしながらこちらに手を降っている。
その次の瞬間、地下牢の石の隙間から夥しい数の草木の根が伸びて来て四方に張り出し、石壁には見る間に亀裂が広がった。
「そう来たか…」
「スペクタルですねぇ…」
ガラガラと音を立てて崩れる壁と天井を眺めていると、デイビッドの方にも容赦なく瓦礫が降って来る。
「危ねぇぇ!!」
「救出の概念ズレまくってるなぁ…」
2人は慌てて古い暖炉の隙間に逃げ込み助かったが、今度は足元から水音が迫って来ている事に気がついた。
「今の衝撃で地下水が流れ込んでくるぞ!!」
「次は水責めですか…」
大急ぎで瓦礫から這い出し、わずかに残った階段を駆け上がってなんとか外へ出ると、数え切れない程の妖精達が空を埋め尽くし、デイビッドの方を見ていた。
「ごめんね とべないの わすれてた」
「なるほど、飛行能力のある事が前提でしたか…」
「飛べねぇなぁ!エリックはわかんねぇけど、少なくとも俺は単体で飛べたコトねぇなぁ!」
「人外との越えられない壁を感じますねぇ…」
煤と泥にまみれて出て来た所は、城の裏庭の丁度ゴミ捨て場の真横だった。
大きな物音に集まって来た人を避け、従業員用の出入り口から中へ入り、怪しい部屋を探して城内を駆け回って、やっとアリスティアのいる部屋を突き止めたところだと言う。
「精霊血統の侯爵なんて言うから、どんなすごいのと契約してるのかと思ったら…なんか地の底から這い出して来た怨念の塊みたいな奴なんだな…」
「少なくとも今まで出会って来た精霊達の様な清々しさは無いですね。」
2人の目には何が見えているのかわからないが、相当不気味なモノが侯爵の側に居るらしい。
「精霊の事はまぁ今は置いとくとして、国王まで巻き込んで人の婚約者を取り上げようなんざ、それなりの覚悟はできてんだろうな?!」
「たかが婚約程度で自分の物にでもしたつもりか?諦めろ!手頃な女なぞそこら中にいるだろう!?それとも自分の相手をしてくれる都合の良い女が欲しいのか?豚のクセに贅沢な!」
「そっちこそ、お飾りが欲しけりゃ希望者集めりゃいいだろ?!国の象徴なんて椅子、用意するだけでこぞって座りたがる連中が立候補するだろうによ。」
「必要なのはあの装置を動かす人材だ!守護者が張り付いていればアレはもう止まらずに済む。」
「それでまた壊れたら守護者のせいにして万事解決ってか!?クズ共が!自分の仕える国なら自分で護ろうとか考えねぇのかよ!?」
「精霊は、世俗に塗れた薄汚い人間共を護るために存在しているのでは無い!!これは清き血と尊き御方を護るための力…貴様等のような頭の悪い低俗な人間には分からんだろうがな!?」
侯爵が興奮すると、後ろの精霊も一緒になって気を立てはじめる。
精神が連動しているのは確からしいが、デイビッドの目には何かとても無理をして消耗しきっているように見えてしまい、どこか哀れに思っていた。
「アリス、ここまで話の通じない年寄りをいつまでも飼っている王家のやり方にも問題ありだぞ…?」
「承知しております…まさか王太子の意思にすら反し、王を謀り私欲に走る輩を国の重鎮に置いておくなど、次代であるお兄様が許しません!兄に代わり、このアリスティア・セル・ラムダが、今この時を以てハルフェン侯爵を王家筆頭魔術師の座から降ろし、今後、王城及び王宮への立ち入りを一切禁じ、自領への蟄居を命じます!」
「そんな事してみろ!我が家門が守り続けて来た王家の聖域は崩壊するぞ?!精霊の恩恵無しに、貴様等王族がまともな魔力を持てると思うなよ!?」
その言葉にアリスティアは疑問を持った。
「だ、そうです。どう思いますか、デイビッド様?」
「そこで俺に振るなよ!だいたい、そのバケモンが精霊って確証はねぇし、妖精の数も学園の方が多かった気がするぞ?」
「そうですね。言われてみればそこまでいませんね。」
「やっぱり!デイビッド様には精霊の姿が見えておいでなのですね!?」
「しまった!余計な事言った!!」
「私、精霊というものの存在どころか気配や魔力の動きすら感じたことが無いんです。〈王家には精霊の守護が掛けられている〉と長い事言われて来たのでそういうものと思っていましたが、本当にいるのかどうか私達には実はわからないんです。」
「ビミョーな詐欺みたいなやり方ですね…」
「私も見てみたいです、精霊の姿!」
「アレは止めとけ!」
「ええ…ファーストコンタクトがアレでは流石にトラウマになりますよ。」
その時、3人の会話にハルフェン侯爵が青い顔で口を挟んだ。
「待て!き、貴様等…さっきから話を聞いていれば…まさかこの偉大なる精霊の姿が見えていると言うのか!?」
「偉大…?」
「偉大…かなぁ…?」
「まぁ感覚の違いはあるから、強そうかどうかと言われればまぁ…って感じだな…」
「アレならメリュジーヌの方が強そうですよ。イメージ的に…」
「野生のホンモノ見ちまうとなんか…うーん…って気はするな…」
かつてデイビッドが領地で遭遇した、白き鹿角の精霊やジーナの方が余程神々しく、強烈なまでの畏怖と畏敬の念を自然と抱かされた。
しかし、今目の前で蠢いているモノには、憐憫や痛ましさの方が強く感じられる。
するとエリックが前に進み出て精霊の前に立った。
「人間に触れ過ぎてしまった精霊の成れの果てって感じなんですよねぇ…ルーチェはどう思います?」
「かえれなかったの かえりかたを わすれてしまって ここにいるしかなくなっちゃったの」
「導いてあげられそうですか?」
「ダメだよ つながっちゃってるもの…」
「繋がってる?」
「いのちのねっこが このヒトとからまって とれなくなっちゃったの だから もうもどれないの」
「正しく、薄汚れた人間の魂を貰い受け過ぎたのでしょうね…」
「かわいそうに もうじぶんのことも おぼえてないの エリク かいほうしてあげて」
「どうやって?」
「ぼくに エリクのまりょくを ちょうだい!」
「それができないんですよ。コレなもので。」
エリックがぶらぶらさせる右手には、銀色の魔力封じが掛けられている。
「じゃまなの とってあげるね」
「え?」
言うが早く、ルーチェが腕輪に触れると、バキン!と音がして腕輪が砕けて床に落ちる。
「すごい!ありがとうルーチェ!君は強いんですねぇ!」
「このくらい なんともないよ」
「まさか…まさか貴様、その顔は…エリックか!?」
「…その汚い口で僕の名前を呼ばないで貰えますかね?虫唾が走るんで。」
エリックの魔力が膨れ上がり、旋風の様に吹き抜けるとそれをルーチェが受け止め、一回り大きくなった。
人の姿に近くなったルーチェが、精霊の元へ手を差し伸べる。
「かわいそうに お前は自分が精霊であったことも忘れてしまったんだね 今自由にしてあげるよ」
「止めろ!止めてくれ!!それだけは…」
懇願する侯爵の手が空を切る。
ルーチェは姿の変わり果てた精霊に近づくと、侯爵と繋がっているという命の根とやらをいとも簡単に断ち切った。
途端精霊だったモノは足元からグズグズと崩れはじめ、枯れ葉が腐る様に形を失うと、最後はほんの僅かな光の球になってしまった。
ルーチェはその玉を大切に抱き止めると、外に待つ仲間の所へ送ってやった。
「あの子は聖域から精霊樹を通って生まれた所へ還るんだ それが一番良いんだよ」
「なんてことをしてくれたんだ!!アレは我が家に代々受け継がれてきた大精霊なのだぞ!?」
「正解には人間に囚われた精霊の末路って感じでしたけどね。あんなモノを生み出してまで精霊との契約にこだわるアンタが、一番の害悪だ。」
「うるさいっ!貴様とて、妖精を使役しているではないか!同じ事だ!」
「残念だけど 僕は僕の自由でエリックに力を貸しているんだ 契約と呪法で精霊の魂を縛り続けて来た君達とは違う」
冷たく言い放つルーチェの姿は、可愛らしい妖精ではなく威厳のある輝きを放った存在となっていた。
「ちょっとまってて!」
そう言うと、外に向かって何か合図をし、にこにこしながらこちらに手を降っている。
その次の瞬間、地下牢の石の隙間から夥しい数の草木の根が伸びて来て四方に張り出し、石壁には見る間に亀裂が広がった。
「そう来たか…」
「スペクタルですねぇ…」
ガラガラと音を立てて崩れる壁と天井を眺めていると、デイビッドの方にも容赦なく瓦礫が降って来る。
「危ねぇぇ!!」
「救出の概念ズレまくってるなぁ…」
2人は慌てて古い暖炉の隙間に逃げ込み助かったが、今度は足元から水音が迫って来ている事に気がついた。
「今の衝撃で地下水が流れ込んでくるぞ!!」
「次は水責めですか…」
大急ぎで瓦礫から這い出し、わずかに残った階段を駆け上がってなんとか外へ出ると、数え切れない程の妖精達が空を埋め尽くし、デイビッドの方を見ていた。
「ごめんね とべないの わすれてた」
「なるほど、飛行能力のある事が前提でしたか…」
「飛べねぇなぁ!エリックはわかんねぇけど、少なくとも俺は単体で飛べたコトねぇなぁ!」
「人外との越えられない壁を感じますねぇ…」
煤と泥にまみれて出て来た所は、城の裏庭の丁度ゴミ捨て場の真横だった。
大きな物音に集まって来た人を避け、従業員用の出入り口から中へ入り、怪しい部屋を探して城内を駆け回って、やっとアリスティアのいる部屋を突き止めたところだと言う。
「精霊血統の侯爵なんて言うから、どんなすごいのと契約してるのかと思ったら…なんか地の底から這い出して来た怨念の塊みたいな奴なんだな…」
「少なくとも今まで出会って来た精霊達の様な清々しさは無いですね。」
2人の目には何が見えているのかわからないが、相当不気味なモノが侯爵の側に居るらしい。
「精霊の事はまぁ今は置いとくとして、国王まで巻き込んで人の婚約者を取り上げようなんざ、それなりの覚悟はできてんだろうな?!」
「たかが婚約程度で自分の物にでもしたつもりか?諦めろ!手頃な女なぞそこら中にいるだろう!?それとも自分の相手をしてくれる都合の良い女が欲しいのか?豚のクセに贅沢な!」
「そっちこそ、お飾りが欲しけりゃ希望者集めりゃいいだろ?!国の象徴なんて椅子、用意するだけでこぞって座りたがる連中が立候補するだろうによ。」
「必要なのはあの装置を動かす人材だ!守護者が張り付いていればアレはもう止まらずに済む。」
「それでまた壊れたら守護者のせいにして万事解決ってか!?クズ共が!自分の仕える国なら自分で護ろうとか考えねぇのかよ!?」
「精霊は、世俗に塗れた薄汚い人間共を護るために存在しているのでは無い!!これは清き血と尊き御方を護るための力…貴様等のような頭の悪い低俗な人間には分からんだろうがな!?」
侯爵が興奮すると、後ろの精霊も一緒になって気を立てはじめる。
精神が連動しているのは確からしいが、デイビッドの目には何かとても無理をして消耗しきっているように見えてしまい、どこか哀れに思っていた。
「アリス、ここまで話の通じない年寄りをいつまでも飼っている王家のやり方にも問題ありだぞ…?」
「承知しております…まさか王太子の意思にすら反し、王を謀り私欲に走る輩を国の重鎮に置いておくなど、次代であるお兄様が許しません!兄に代わり、このアリスティア・セル・ラムダが、今この時を以てハルフェン侯爵を王家筆頭魔術師の座から降ろし、今後、王城及び王宮への立ち入りを一切禁じ、自領への蟄居を命じます!」
「そんな事してみろ!我が家門が守り続けて来た王家の聖域は崩壊するぞ?!精霊の恩恵無しに、貴様等王族がまともな魔力を持てると思うなよ!?」
その言葉にアリスティアは疑問を持った。
「だ、そうです。どう思いますか、デイビッド様?」
「そこで俺に振るなよ!だいたい、そのバケモンが精霊って確証はねぇし、妖精の数も学園の方が多かった気がするぞ?」
「そうですね。言われてみればそこまでいませんね。」
「やっぱり!デイビッド様には精霊の姿が見えておいでなのですね!?」
「しまった!余計な事言った!!」
「私、精霊というものの存在どころか気配や魔力の動きすら感じたことが無いんです。〈王家には精霊の守護が掛けられている〉と長い事言われて来たのでそういうものと思っていましたが、本当にいるのかどうか私達には実はわからないんです。」
「ビミョーな詐欺みたいなやり方ですね…」
「私も見てみたいです、精霊の姿!」
「アレは止めとけ!」
「ええ…ファーストコンタクトがアレでは流石にトラウマになりますよ。」
その時、3人の会話にハルフェン侯爵が青い顔で口を挟んだ。
「待て!き、貴様等…さっきから話を聞いていれば…まさかこの偉大なる精霊の姿が見えていると言うのか!?」
「偉大…?」
「偉大…かなぁ…?」
「まぁ感覚の違いはあるから、強そうかどうかと言われればまぁ…って感じだな…」
「アレならメリュジーヌの方が強そうですよ。イメージ的に…」
「野生のホンモノ見ちまうとなんか…うーん…って気はするな…」
かつてデイビッドが領地で遭遇した、白き鹿角の精霊やジーナの方が余程神々しく、強烈なまでの畏怖と畏敬の念を自然と抱かされた。
しかし、今目の前で蠢いているモノには、憐憫や痛ましさの方が強く感じられる。
するとエリックが前に進み出て精霊の前に立った。
「人間に触れ過ぎてしまった精霊の成れの果てって感じなんですよねぇ…ルーチェはどう思います?」
「かえれなかったの かえりかたを わすれてしまって ここにいるしかなくなっちゃったの」
「導いてあげられそうですか?」
「ダメだよ つながっちゃってるもの…」
「繋がってる?」
「いのちのねっこが このヒトとからまって とれなくなっちゃったの だから もうもどれないの」
「正しく、薄汚れた人間の魂を貰い受け過ぎたのでしょうね…」
「かわいそうに もうじぶんのことも おぼえてないの エリク かいほうしてあげて」
「どうやって?」
「ぼくに エリクのまりょくを ちょうだい!」
「それができないんですよ。コレなもので。」
エリックがぶらぶらさせる右手には、銀色の魔力封じが掛けられている。
「じゃまなの とってあげるね」
「え?」
言うが早く、ルーチェが腕輪に触れると、バキン!と音がして腕輪が砕けて床に落ちる。
「すごい!ありがとうルーチェ!君は強いんですねぇ!」
「このくらい なんともないよ」
「まさか…まさか貴様、その顔は…エリックか!?」
「…その汚い口で僕の名前を呼ばないで貰えますかね?虫唾が走るんで。」
エリックの魔力が膨れ上がり、旋風の様に吹き抜けるとそれをルーチェが受け止め、一回り大きくなった。
人の姿に近くなったルーチェが、精霊の元へ手を差し伸べる。
「かわいそうに お前は自分が精霊であったことも忘れてしまったんだね 今自由にしてあげるよ」
「止めろ!止めてくれ!!それだけは…」
懇願する侯爵の手が空を切る。
ルーチェは姿の変わり果てた精霊に近づくと、侯爵と繋がっているという命の根とやらをいとも簡単に断ち切った。
途端精霊だったモノは足元からグズグズと崩れはじめ、枯れ葉が腐る様に形を失うと、最後はほんの僅かな光の球になってしまった。
ルーチェはその玉を大切に抱き止めると、外に待つ仲間の所へ送ってやった。
「あの子は聖域から精霊樹を通って生まれた所へ還るんだ それが一番良いんだよ」
「なんてことをしてくれたんだ!!アレは我が家に代々受け継がれてきた大精霊なのだぞ!?」
「正解には人間に囚われた精霊の末路って感じでしたけどね。あんなモノを生み出してまで精霊との契約にこだわるアンタが、一番の害悪だ。」
「うるさいっ!貴様とて、妖精を使役しているではないか!同じ事だ!」
「残念だけど 僕は僕の自由でエリックに力を貸しているんだ 契約と呪法で精霊の魂を縛り続けて来た君達とは違う」
冷たく言い放つルーチェの姿は、可愛らしい妖精ではなく威厳のある輝きを放った存在となっていた。
64
あなたにおすすめの小説
国王一家は堅実です
satomi
恋愛
オスメーモ王国…そこは国王一家は麗しくいつも輝かんばかりのドレスなどを身につけている。
その実態は、国王一家は国民と共に畑を耕したり、国民(子供)に読み書きを教えたり庶民的な生活をしている。
国王には現在愛する妻と双子の男女の子に恵まれ、幸せに生活している。
外部に行くときは着飾るが、領地に戻れば庶民的で非常に無駄遣いをしない王族である。
国庫は大事に。何故か、厨房担当のワーグが王家の子どもたちからの支持を得ている。
『伯爵令嬢 爆死する』
三木谷夜宵
ファンタジー
王立学園の中庭で、ひとりの伯爵令嬢が死んだ。彼女は婚約者である侯爵令息から婚約解消を求められた。しかし、令嬢はそれに反発した。そんな彼女を、令息は魔術で爆死させてしまったのである。
その後、大陸一のゴシップ誌が伯爵令嬢が日頃から受けていた仕打ちを暴露するのであった。
カクヨムでも公開しています。
冷徹侯爵の契約妻ですが、ざまぁの準備はできています
鍛高譚
恋愛
政略結婚――それは逃れられぬ宿命。
伯爵令嬢ルシアーナは、冷徹と名高いクロウフォード侯爵ヴィクトルのもとへ“白い結婚”として嫁ぐことになる。
愛のない契約、形式だけの夫婦生活。
それで十分だと、彼女は思っていた。
しかし、侯爵家には裏社会〈黒狼〉との因縁という深い闇が潜んでいた。
襲撃、脅迫、謀略――次々と迫る危機の中で、
ルシアーナは自分がただの“飾り”で終わることを拒む。
「この結婚をわたしの“負け”で終わらせませんわ」
財務の才と冷静な洞察を武器に、彼女は黒狼との攻防に踏み込み、
やがて侯爵をも驚かせる一手を放つ。
契約から始まった関係は、いつしか互いの未来を揺るがすものへ――。
白い結婚の裏で繰り広げられる、
“ざまぁ”と逆転のラブストーリー、いま開幕。
力は弱くて魔法も使えないけど強化なら出来る。~俺を散々こき使ってきたパーティの人間に復讐しながら美少女ハーレムを作って魔王をぶっ倒します
枯井戸
ファンタジー
──大勇者時代。
誰も彼もが勇者になり、打倒魔王を掲げ、一攫千金を夢見る時代。
そんな時代に、〝真の勇者の息子〟として生を授かった男がいた。
名はユウト。
人々は勇者の血筋に生まれたユウトに、類稀な魔力の才をもって生まれたユウトに、救世を誓願した。ユウトもまた、これを果たさんと、自身も勇者になる事を信じてやまなかった。
そんなある日、ユウトの元へ、ひとりの中性的な顔立ちで、笑顔が爽やかな好青年が訪ねてきた。
「俺のパーティに入って、世界を救う勇者になってくれないか?」
そう言った男の名は〝ユウキ〟
この大勇者時代にすい星のごとく現れた、〝その剣技に比肩する者なし〟と称されるほどの凄腕の冒険者である。
「そんな男を味方につけられるなんて、なんて心強いんだ」と、ユウトはこれを快諾。
しかし、いままで大した戦闘経験を積んでこなかったユウトはどう戦ってよいかわからず、ユウキに助言を求めた。
「戦い方? ……そうだな。なら、エンチャンターになってくれ。よし、それがいい。ユウトおまえはエンチャンターになるべきだ」
ユウトは、多少はその意見に疑問を抱きつつも、ユウキに勧められるがまま、ただひたすらに付与魔法(エンチャント)を勉強し、やがて勇者の血筋だという事も幸いして、史上最強のエンチャンターと呼ばれるまでに成長した。
ところが、そればかりに注力した結果、他がおろそかになってしまい、ユウトは『剣もダメ』『付与魔法以外の魔法もダメ』『体力もない』という三重苦を背負ってしまった。それでもエンチャンターを続けたのは、ユウキの「勇者になってくれ」という言葉が心の奥底にあったから。
──だが、これこそがユウキの〝真の〟狙いだったのだ。
この物語は主人公であるユウトが、持ち前の要領の良さと、唯一の武器である付与魔法を駆使して、愉快な仲間たちを強化しながら成り上がる、サクセスストーリーである。
【完結】お荷物王女は婚約解消を願う
miniko
恋愛
王家の瞳と呼ばれる色を持たずに生まれて来た王女アンジェリーナは、一部の貴族から『お荷物王女』と蔑まれる存在だった。
それがエスカレートするのを危惧した国王は、アンジェリーナの後ろ楯を強くする為、彼女の従兄弟でもある筆頭公爵家次男との婚約を整える。
アンジェリーナは八歳年上の優しい婚約者が大好きだった。
今は妹扱いでも、自分が大人になれば年の差も気にならなくなり、少しづつ愛情が育つ事もあるだろうと思っていた。
だが、彼女はある日聞いてしまう。
「お役御免になる迄は、しっかりアンジーを守る」と言う彼の宣言を。
───そうか、彼は私を守る為に、一時的に婚約者になってくれただけなのね。
それなら出来るだけ早く、彼を解放してあげなくちゃ・・・・・・。
そして二人は盛大にすれ違って行くのだった。
※設定ユルユルですが、笑って許してくださると嬉しいです。
※感想欄、ネタバレ配慮しておりません。ご了承ください。
逆ハーレムを完成させた男爵令嬢は死ぬまで皆に可愛がられる(※ただし本人が幸せかは不明である)
ラララキヲ
恋愛
平民生まれだが父が男爵だったので母親が死んでから男爵家に迎え入れられたメロディーは、男爵令嬢として貴族の通う学園へと入学した。
そこでメロディーは第一王子とその側近候補の令息三人と出会う。4人には婚約者が居たが、4人全員がメロディーを可愛がってくれて、メロディーもそれを喜んだ。
メロディーは4人の男性を同時に愛した。そしてその4人の男性からも同じ様に愛された。
しかし相手には婚約者が居る。この関係は卒業までだと悲しむメロディーに男たちは寄り添い「大丈夫だ」と言ってくれる。
そして学園の卒業式。
第一王子たちは自分の婚約者に婚約破棄を突き付ける。
そしてメロディーは愛する4人の男たちに愛されて……──
※話全体通して『ざまぁ』の話です(笑)
※乙女ゲームの様な世界観ですが転生者はいません。
※性行為を仄めかす表現があります(が、行為そのものの表現はありません)
※バイセクシャルが居るので醸(カモ)されるのも嫌な方は注意。
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇ご都合展開。矛盾もあるかも。
◇なろうにも上げてます。
結婚30年、契約満了したので離婚しませんか?
おもちのかたまり
恋愛
恋愛・小説 11位になりました!
皆様ありがとうございます。
「私、旦那様とお付き合いも甘いやり取りもしたことが無いから…ごめんなさい、ちょっと他人事なのかも。もちろん、貴方達の事は心から愛しているし、命より大事よ。」
眉根を下げて笑う母様に、一発じゃあ足りないなこれは。と確信した。幸い僕も姉さん達も祝福持ちだ。父様のような力極振りではないけれど、三対一なら勝ち目はある。
「じゃあ母様は、父様が嫌で離婚するわけではないんですか?」
ケーキを幸せそうに頬張っている母様は、僕の言葉にきょとん。と目を見開いて。…もしかすると、母様にとって父様は、関心を向ける程の相手ではないのかもしれない。嫌な予感に、今日一番の寒気がする。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
20年前に攻略対象だった父親と、悪役令嬢の取り巻きだった母親の現在のお話。
ハッピーエンド・バットエンド・メリーバットエンド・女性軽視・女性蔑視
上記に当てはまりますので、苦手な方、ご不快に感じる方はお気を付けください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる