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黒豚令息と訳あり令嬢の学園生活〜怒涛の進学編〜
不穏の影
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その日の午後、セルジオは大使館からの帰りに、テレンスに声を掛けられた。
「やぁ…セルジオ殿下…」
「え?テレンス先輩?どうしたんですか、今までどこに…」
テレンスとセルジオはこの数ヶ月で本当に仲良くなり、毎日課題や食事を共にし、友好を深めていた。
それが春休みが終わり、セルジオが一時帰国から戻ると、テレンスの姿はどこにも見えず、領地経営の授業にも出ていないという。
心配になってテレンスのいる3年生のクラスに様子を見に行ったが、登校はしているもののすぐにいなくなってしまうので、クラスメイト達も不思議に思っていたそうだ。
そんな日が数日続いたある日、大使館からの呼び出しから戻ると、ふらふらと物陰からテレンスが現れた。
「顔色が悪いですよ?具合いが良くないのでは…?」
「そんなこと無いさ、気分はとても良いよ?それより…貴方に是非とも来て頂きたい所があって…」
「何があったんですか!?先輩!しっかりして下さい!いつもの先輩じゃない!どうしたんですか?!」
セルジオは様子のおかしいテレンスの腕を取ろうとしたが、逆に肩をつかまれ引き寄せられた。
「僕は光に出会ったんだ…人生を照らす本当の光に…殿下も一緒に来て下さい!きっとあの方の素晴らしさが分かります!!」
「先輩…何があったんですか…?」
「あの方が呼んでいるんです…あの方が…」
「なるほど…精神操作か。貴方の狙いが僕で良かった。今誰かがその目を見たら同じ穴の狢になっていた事でしょうからね…」
テレンスの目は虚ろで、焦点が合わず何処を見ているのか分からないが、目の中に誰かが仕込んだと思われる魔術の痕跡がはっきりと見えた。
「“魅了”を付与されましたね…今の貴方はただの傀儡だ。人を魔導具に仕立てるなんて、一体誰がこんな酷いことを…先輩、今助けます、少し我慢して下さい!」
セルジオは大きく息を吸い込むと、全身に光属性の魔力を纏った。
光属性の魔力は、他者の魔法を打ち消したり、魔性を弾いたり、魔力に対する抵抗力が最も強い。
魔物や魔族との戦いにも重宝された特殊な魔力だ。
テレンスはとっさに逃げようとしたが、セルジオは光の鎖でその身体を縛り上げ、テレンスに付与された魔術の解除に集中した。
(深い…精神にかなり食い込んでる…でも、先輩も抵抗してる!)
テレンスも魔法で操られながらかなり抵抗したようで、魔力に乱れが見える。
そこへ更にセルジオの魔力を叩き込むと、テレンスは叫び出した。
「あ゙ぁ゙ぁ゙ぁぁっ!!」
「先輩ごめんなさい!もう少し…もう少し耐えて下さい!!」
「ぼ…く…は…もう…間違え…たく…ない…」
「先輩…?!」
「イヤだ…貴女の…言う通りには…でき…ない…」
(記憶が混乱してるんだ…貴女って誰の事だ…?)
「たす…けて…」
光が消えて解放されると、テレンスはぐったりとその場に崩れた。
「先輩!しっかりして!?直ぐに医務室に連れて行きますから!」
「イヤだ…僕は…ここにいたい…いや…ダメだ…ここにいちゃ…僕は…」
「どうしよう…精神が分離しかけてる…こんな時は…こんな時は…」
テレンスを担ぎ、セルジオはもたつく足で医務室ではなく、そのまま魔法学棟を目指した。
しかし体力が戻り切らない身体では長くは歩けず、階段を登っている途中で足が崩れてしまう。
テレンスを落としそうになり、自分も階段を転げそうになった時、誰かの手が伸びてきて2人を体ごと持ち上げた。
「ああっ!!」
「おい、大丈夫か?」
「デュロックせんせぇぇっ!」
ほとんど人のいない時間に、まさか現れたデイビッドがセルジオを立たせる。
「先生助けてぇっ!!」
「いや、もう助けたけど?」
「先輩が大変なんです!直ぐに魔法棟へ連れて行かないと!」
「確かに、なんかヤバそうだな。よし急ごう。」
改めてテレンスを担いだデイビッドが魔法棟へ着くと、セルジオは辺りを見回し誰かを探し出した。
「ここの教員ならだいたい研究室だぞ?」
「いいえ、先生じゃなくて…あ!いた!!」
セルジオは目当ての人物を見つけるとパッと駆け出した。
名前を呼ぶと銀色の長い髪がなびいて振り返る。
「シェルリアーナ様ぁぁーー!!」
「あら?!なぁに?」
「お願いですっ!!テレンス先輩をもう一度拷問して下さいっ!!」
「でっかい声でふざけた事抜かすんじゃないわよ!!」
シェルリアーナが持っていた本を振り抜いたので、思わず避けたセルジオの後ろで、分厚い金具付きの書物の背表紙をデイビッドのこめかみが受け止める羽目になった。
「いぃぃってぇぇっ!!」
「あらヤダいたの。」
「お前最近、外面すらなくなってきたな!!」
「だって!聞いたでしょ?!まるで私が日頃から人に暴力でも振るってるような言い方されたのよ?!」
「日頃から人に暴力振るってんだから何も嘘じゃねぇだろ、がっ!!」
もう一発、顔面に本を叩き込まれたデイビッドの背中でテレンスが呻く。
「う…うぅぅ…ぁぁぁ…」
「…何かあったのね。いらっしゃい、今なら研究室が空いてるわ。」
シェルリアーナに連れられて第七研究室に入ると、長椅子にテレンスを寝かせ、その横でセルジオが不安気な顔をした。
「光魔法の“魅了”を身体に付与されてて…なんとか付与された魔術は解除しましたが、精神がボロボロなんです。このままじゃ正気を失ってしまいます!テレンス先輩言ってました、シェルリアーナ様の制裁を受けたら人生が変わったって!強いショックを受ければ精神が戻るかも知れない!だから、もう一度同じ魔法をお願いします!!」
「そうならそうと先に言いなさい。余計な犠牲まで出ちゃったじゃない。」
「本当に余計だったよな?!」
鼻血を拭くデイビッドを他所に、シェルリアーナはテレンスの様子を見た。
目に光が無く、意識が混濁して何かブツブツ呟いている。
「世話が焼けるわ、まったく…」
テレンスの額に指を添わせたシェルリアーナの目がスゥッと細くなる。
パチン、パチンと静電気が爆ぜるような音に合わせて、テレンスの体がビクビクと反応している。
「いい加減目を覚まさないと…またヘビの幻覚を見せるわよ?テレンス…」
「う…うぁ…ああ…」
テレンスの精神にシェルリアーナが魔力を浸透させていくと、だんだんと目に生気が戻り、呼吸が荒くなるテレンスにセルジオが縋り付いた。
「先輩!戻って来て!!こんな魔法に負けちゃダメだ!夢を叶えるんでしょう?!過去の自分を乗り越えるんでしょう?!お願いです!正気に戻って!!」
その手を振り払うように、テレンスの体が跳ね起きて床に転がり、うずくまって騒ぎ出す。
「テレンス先輩!?」
「うわぁぁぁぁっっ!!ごめんなさいごめんなさいゴメンナサイもうしません!!お願いです許して下さい!!」
((ここまで怯える程何をされたんだ…?))
1人で騒ぐテレンスの目には恐怖と怯えは見えても、もう濁った魔力の影は残っていなかった。
「ハァ…ハァ…ハァ…あれ…ここは?僕は一体…」
「先輩!良かった!僕がわかりますか?!」
「セル…?一体何が…うっ…頭が痛い…体が重い…何があったんだ…?」
「魔術付与の反動よ。意識がこっちに戻ったならもう大丈夫。後はシモンズ先生に任せましょう。医務室に連れて行ってあげて。」
セルジオがシェルリアーナに礼を言い、ふらつくテレンスに肩を貸しながら出て行くと、シェルリアーナは恐ろしい顔で自分の掌を見つめていた。
「何かものすごく気持ちの悪いモノに絡みつかれた様な感触だったわ…人の精神が壊れることをなんとも思わない下衆の所業よ…許せないわね…」
「何が起きてんのかよくわかんねぇけど、狙いはなんなんだろうな。」
「人間に魔術を付与して他国の王族へ差し向けたなら、暗殺や洗脳を疑われて当然、これは国際問題よ?!すぐアザーレア様に知らせないと!」
「アイツならもうエルムに帰った。ひとまず大使館に報告だな…」
再び学園に落ちる不穏の影に、シェルリアーナは嫌な予感が収まらず身震いした。
「やぁ…セルジオ殿下…」
「え?テレンス先輩?どうしたんですか、今までどこに…」
テレンスとセルジオはこの数ヶ月で本当に仲良くなり、毎日課題や食事を共にし、友好を深めていた。
それが春休みが終わり、セルジオが一時帰国から戻ると、テレンスの姿はどこにも見えず、領地経営の授業にも出ていないという。
心配になってテレンスのいる3年生のクラスに様子を見に行ったが、登校はしているもののすぐにいなくなってしまうので、クラスメイト達も不思議に思っていたそうだ。
そんな日が数日続いたある日、大使館からの呼び出しから戻ると、ふらふらと物陰からテレンスが現れた。
「顔色が悪いですよ?具合いが良くないのでは…?」
「そんなこと無いさ、気分はとても良いよ?それより…貴方に是非とも来て頂きたい所があって…」
「何があったんですか!?先輩!しっかりして下さい!いつもの先輩じゃない!どうしたんですか?!」
セルジオは様子のおかしいテレンスの腕を取ろうとしたが、逆に肩をつかまれ引き寄せられた。
「僕は光に出会ったんだ…人生を照らす本当の光に…殿下も一緒に来て下さい!きっとあの方の素晴らしさが分かります!!」
「先輩…何があったんですか…?」
「あの方が呼んでいるんです…あの方が…」
「なるほど…精神操作か。貴方の狙いが僕で良かった。今誰かがその目を見たら同じ穴の狢になっていた事でしょうからね…」
テレンスの目は虚ろで、焦点が合わず何処を見ているのか分からないが、目の中に誰かが仕込んだと思われる魔術の痕跡がはっきりと見えた。
「“魅了”を付与されましたね…今の貴方はただの傀儡だ。人を魔導具に仕立てるなんて、一体誰がこんな酷いことを…先輩、今助けます、少し我慢して下さい!」
セルジオは大きく息を吸い込むと、全身に光属性の魔力を纏った。
光属性の魔力は、他者の魔法を打ち消したり、魔性を弾いたり、魔力に対する抵抗力が最も強い。
魔物や魔族との戦いにも重宝された特殊な魔力だ。
テレンスはとっさに逃げようとしたが、セルジオは光の鎖でその身体を縛り上げ、テレンスに付与された魔術の解除に集中した。
(深い…精神にかなり食い込んでる…でも、先輩も抵抗してる!)
テレンスも魔法で操られながらかなり抵抗したようで、魔力に乱れが見える。
そこへ更にセルジオの魔力を叩き込むと、テレンスは叫び出した。
「あ゙ぁ゙ぁ゙ぁぁっ!!」
「先輩ごめんなさい!もう少し…もう少し耐えて下さい!!」
「ぼ…く…は…もう…間違え…たく…ない…」
「先輩…?!」
「イヤだ…貴女の…言う通りには…でき…ない…」
(記憶が混乱してるんだ…貴女って誰の事だ…?)
「たす…けて…」
光が消えて解放されると、テレンスはぐったりとその場に崩れた。
「先輩!しっかりして!?直ぐに医務室に連れて行きますから!」
「イヤだ…僕は…ここにいたい…いや…ダメだ…ここにいちゃ…僕は…」
「どうしよう…精神が分離しかけてる…こんな時は…こんな時は…」
テレンスを担ぎ、セルジオはもたつく足で医務室ではなく、そのまま魔法学棟を目指した。
しかし体力が戻り切らない身体では長くは歩けず、階段を登っている途中で足が崩れてしまう。
テレンスを落としそうになり、自分も階段を転げそうになった時、誰かの手が伸びてきて2人を体ごと持ち上げた。
「ああっ!!」
「おい、大丈夫か?」
「デュロックせんせぇぇっ!」
ほとんど人のいない時間に、まさか現れたデイビッドがセルジオを立たせる。
「先生助けてぇっ!!」
「いや、もう助けたけど?」
「先輩が大変なんです!直ぐに魔法棟へ連れて行かないと!」
「確かに、なんかヤバそうだな。よし急ごう。」
改めてテレンスを担いだデイビッドが魔法棟へ着くと、セルジオは辺りを見回し誰かを探し出した。
「ここの教員ならだいたい研究室だぞ?」
「いいえ、先生じゃなくて…あ!いた!!」
セルジオは目当ての人物を見つけるとパッと駆け出した。
名前を呼ぶと銀色の長い髪がなびいて振り返る。
「シェルリアーナ様ぁぁーー!!」
「あら?!なぁに?」
「お願いですっ!!テレンス先輩をもう一度拷問して下さいっ!!」
「でっかい声でふざけた事抜かすんじゃないわよ!!」
シェルリアーナが持っていた本を振り抜いたので、思わず避けたセルジオの後ろで、分厚い金具付きの書物の背表紙をデイビッドのこめかみが受け止める羽目になった。
「いぃぃってぇぇっ!!」
「あらヤダいたの。」
「お前最近、外面すらなくなってきたな!!」
「だって!聞いたでしょ?!まるで私が日頃から人に暴力でも振るってるような言い方されたのよ?!」
「日頃から人に暴力振るってんだから何も嘘じゃねぇだろ、がっ!!」
もう一発、顔面に本を叩き込まれたデイビッドの背中でテレンスが呻く。
「う…うぅぅ…ぁぁぁ…」
「…何かあったのね。いらっしゃい、今なら研究室が空いてるわ。」
シェルリアーナに連れられて第七研究室に入ると、長椅子にテレンスを寝かせ、その横でセルジオが不安気な顔をした。
「光魔法の“魅了”を身体に付与されてて…なんとか付与された魔術は解除しましたが、精神がボロボロなんです。このままじゃ正気を失ってしまいます!テレンス先輩言ってました、シェルリアーナ様の制裁を受けたら人生が変わったって!強いショックを受ければ精神が戻るかも知れない!だから、もう一度同じ魔法をお願いします!!」
「そうならそうと先に言いなさい。余計な犠牲まで出ちゃったじゃない。」
「本当に余計だったよな?!」
鼻血を拭くデイビッドを他所に、シェルリアーナはテレンスの様子を見た。
目に光が無く、意識が混濁して何かブツブツ呟いている。
「世話が焼けるわ、まったく…」
テレンスの額に指を添わせたシェルリアーナの目がスゥッと細くなる。
パチン、パチンと静電気が爆ぜるような音に合わせて、テレンスの体がビクビクと反応している。
「いい加減目を覚まさないと…またヘビの幻覚を見せるわよ?テレンス…」
「う…うぁ…ああ…」
テレンスの精神にシェルリアーナが魔力を浸透させていくと、だんだんと目に生気が戻り、呼吸が荒くなるテレンスにセルジオが縋り付いた。
「先輩!戻って来て!!こんな魔法に負けちゃダメだ!夢を叶えるんでしょう?!過去の自分を乗り越えるんでしょう?!お願いです!正気に戻って!!」
その手を振り払うように、テレンスの体が跳ね起きて床に転がり、うずくまって騒ぎ出す。
「テレンス先輩!?」
「うわぁぁぁぁっっ!!ごめんなさいごめんなさいゴメンナサイもうしません!!お願いです許して下さい!!」
((ここまで怯える程何をされたんだ…?))
1人で騒ぐテレンスの目には恐怖と怯えは見えても、もう濁った魔力の影は残っていなかった。
「ハァ…ハァ…ハァ…あれ…ここは?僕は一体…」
「先輩!良かった!僕がわかりますか?!」
「セル…?一体何が…うっ…頭が痛い…体が重い…何があったんだ…?」
「魔術付与の反動よ。意識がこっちに戻ったならもう大丈夫。後はシモンズ先生に任せましょう。医務室に連れて行ってあげて。」
セルジオがシェルリアーナに礼を言い、ふらつくテレンスに肩を貸しながら出て行くと、シェルリアーナは恐ろしい顔で自分の掌を見つめていた。
「何かものすごく気持ちの悪いモノに絡みつかれた様な感触だったわ…人の精神が壊れることをなんとも思わない下衆の所業よ…許せないわね…」
「何が起きてんのかよくわかんねぇけど、狙いはなんなんだろうな。」
「人間に魔術を付与して他国の王族へ差し向けたなら、暗殺や洗脳を疑われて当然、これは国際問題よ?!すぐアザーレア様に知らせないと!」
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