拾われた後は

なか

文字の大きさ
37 / 53

37.責められました

しおりを挟む
   午前中、今日は1人で子供向けのこの国の地理や社会についての本を読んでいた。
   途中、喉が渇いたので水もらって部屋に戻るところ、玄関ホールの外から騒がしい声が聞こえてきた。

   なんだろうと思いつつも、通り過ぎようとすると、扉が開いて綺麗な女の人が怒った顔をして入ってきた。
   背中の真ん中まである長い髪は金色、薄い青色の瞳。映画に出てくるような、ピンク色のドレスを着ている。

「ちょっと、あなた。」

   水差しを持って立つ僕の元に、つかつかとその人が近づいてくる。

「こんにちは。」

  とりあえず挨拶をしてみるが、その人は無言で、上から下まで僕を見た。

「カイル様と夜市に一緒に行ったのは、あなたね。」

   なぜか質問というより責められてる感じに、とりあえず頷くと、きっと睨まれる。
   マリアさんが近寄ってきて応接室にって誘導したけど、その人は動かなかった。

「あなたその外見、見たことないわ。この国の出身じゃないわね。いい?出自も怪しいあなたが、カイル様と一緒にいたらご迷惑なの。子供でも分かるわね?   カイル様はあなたのせいで変な噂を立てられているわ。私も将来の夫に傷が付くのは耐えられないの。ここでお世話になってるみたいだけど、身寄りがないなら教会でもどこでも、後ろ盾のしっかり施設を紹介してあげるから。ね、準備していらっしゃい。」

   有無を言わせない勢いで一方的に僕に詰め寄る。


「タリア様、当家の主人がいないところで勝手なことをされては困ります。お引き取り下さい。」

   呆気にとられていると、すっと僕の前に人が立った。女の人の視線から遮ってくれる。

「まあ、失礼ではありませんか。」

「主人のいない家に押しかけて、ご無理を通されようとされるのは、レディのなさることではありませんのでは?
   お叱りは当主であるカイル様からお受けします。どうぞ、お引き取りを。」

   譲らない意志を感じさせる静かな声で、執事のディルさんが頭を下げてた。メリッサさんとマリアさんが、少し離れたところで見守っている。

「そこのあなた、よく考えておきなさい。」

   僕をもう一度睨みつけて、スカートを翻し去って行った。


   ディルさんが振り向いて心配そうに僕を見た。

「ハルカ様、申し訳ありません。不快な思いをさせてしまいましたね。」

「ディルさん、ありがとうございました。僕は大丈夫です。今の方は?」

「タリア様です。バダン家という名家のお嬢様ですが、些かマナーは褒められたものではありませんね。陛下からお預かりしていることはご存知無いとはいえ、さすがにあの言動は目に余ります。ハルカ様はお気になさらずに。
   さ、お部屋に戻りましょう。」

   僕から水差しを受け取り、そっと背中を押して部屋に促される。


   部屋に戻ると、マリアさんが甘いお茶を淹れて持ってきてくれた。あんな失礼な人のこと気にしちゃダメよ、と去っていった。

   けれど、あの人言ったことは間違いじゃない。
   お茶を飲んで、勉強を再開したけどその日はあまり頭に入らなかった。
  
しおりを挟む
感想 15

あなたにおすすめの小説

聖女召喚の巻き添えで喚ばれた「オマケ」の男子高校生ですが、魔王様の「抱き枕」として重宝されています

八百屋 成美
BL
聖女召喚に巻き込まれて異世界に来た主人公。聖女は優遇されるが、魔力のない主人公は城から追い出され、魔の森へ捨てられる。 そこで出会ったのは、強大な魔力ゆえに不眠症に悩む魔王。なぜか主人公の「匂い」や「体温」だけが魔王を安眠させることができると判明し、魔王城で「生きた抱き枕」として飼われることになる。

最弱白魔導士(♂)ですが最強魔王の奥様になりました。

はやしかわともえ
BL
のんびり書いていきます。 2023.04.03 閲覧、お気に入り、栞、ありがとうございます。m(_ _)m お待たせしています。 お待ちくださると幸いです。 2023.04.15 閲覧、栞、お気に入りありがとうございます。 m(_ _)m 更新頻度が遅く、申し訳ないです。 今月中には完結できたらと思っています。 2023.04.17 完結しました。 閲覧、栞、お気に入りありがとうございます! すずり様にてこの物語の短編を0円配信しています。よろしければご覧下さい。

光る穴に落ちたら、そこは異世界でした。

みぃ
BL
自宅マンションへ帰る途中の道に淡い光を見つけ、なに? と確かめるために近づいてみると気付けば落ちていて、ぽん、と異世界に放り出された大学生が、年下の騎士に拾われる話。 生活脳力のある主人公が、生活能力のない年下騎士の抜けてるとこや、美しく格好いいのにかわいいってなんだ!? とギャップにもだえながら、ゆるく仲良く暮らしていきます。 何もかも、ふわふわゆるゆる。ですが、描写はなくても主人公は受け、騎士は攻めです。

追放された味見係、【神の舌】で冷徹皇帝と聖獣の胃袋を掴んで溺愛される

水凪しおん
BL
「無能」と罵られ、故郷の王宮を追放された「味見係」のリオ。 行き場を失った彼を拾ったのは、氷のような美貌を持つ隣国の冷徹皇帝アレスだった。 「聖獣に何か食わせろ」という無理難題に対し、リオが作ったのは素朴な野菜スープ。しかしその料理には、食べた者を癒やす伝説のスキル【神の舌】の力が宿っていた! 聖獣を元気にし、皇帝の凍てついた心をも溶かしていくリオ。 「君は俺の宝だ」 冷酷だと思われていた皇帝からの、不器用で真っ直ぐな溺愛。 これは、捨てられた料理人が温かいご飯で居場所を作り、最高にハッピーになる物語。

【完結】最強公爵様に拾われた孤児、俺

福の島
BL
ゴリゴリに前世の記憶がある少年シオンは戸惑う。 目の前にいる男が、この世界最強の公爵様であり、ましてやシオンを養子にしたいとまで言ったのだから。 でも…まぁ…いっか…ご飯美味しいし、風呂は暖かい… ……あれ…? …やばい…俺めちゃくちゃ公爵様が好きだ… 前置きが長いですがすぐくっつくのでシリアスのシの字もありません。 1万2000字前後です。 攻めのキャラがブレるし若干変態です。 無表情系クール最強公爵様×のんき転生主人公(無自覚美形) おまけ完結済み

異世界で8歳児になった僕は半獣さん達と仲良くスローライフを目ざします

み馬下諒
BL
志望校に合格した春、桜の樹の下で意識を失った主人公・斗馬 亮介(とうま りょうすけ)は、気がついたとき、異世界で8歳児の姿にもどっていた。 わけもわからず放心していると、いきなり巨大な黒蛇に襲われるが、水の精霊〈ミュオン・リヒテル・リノアース〉と、半獣属の大熊〈ハイロ〉があらわれて……!? これは、異世界へ転移した8歳児が、しゃべる動物たちとスローライフ?を目ざす、ファンタジーBLです。 おとなサイド(半獣×精霊)のカプありにつき、R15にしておきました。 ※ 造語、出産描写あり。前置き長め。第21話に登場人物紹介を載せました。 ★お試し読みは第1部(第22〜27話あたり)がオススメです。物語の傾向がわかりやすいかと思います★ ★第11回BL小説大賞エントリー作品★最終結果2773作品中/414位★応援ありがとうございました★

禁書庫の管理人は次期宰相様のお気に入り

結衣可
BL
オルフェリス王国の王立図書館で、禁書庫を預かる司書カミル・ローレンは、過去の傷を抱え、静かな孤独の中で生きていた。 そこへ次期宰相と目される若き貴族、セドリック・ヴァレンティスが訪れ、知識を求める名目で彼のもとに通い始める。 冷静で無表情なカミルに興味を惹かれたセドリックは、やがて彼の心の奥にある痛みに気づいていく。 愛されることへの恐れに縛られていたカミルは、彼の真っ直ぐな想いに少しずつ心を開き、初めて“痛みではない愛”を知る。 禁書庫という静寂の中で、カミルの孤独を、過去を癒し、共に歩む未来を誓う。

処理中です...