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「・・・どうしてか教えてくれる?」
私はリチャードの顔全体を把握するために、彼にくっつけていた顔を少し離して距離を取る。
「戦は・・・嫌だ。もう、戦いたくない」
バシャッ
湯船のお湯を顔にかけるリチャード。
それでも、リチャードの顔から暗さは取れることはない。
「・・・」
なんと言って声をかければいいんだろうか。
「ボクが頑張れば頑張る分だけ、多くの人の命を奪う・・・ボクに選べる選択肢は戦い続けるか、降伏するか。なら、降伏してしまえばいいんじゃないかと・・・そう思うんだ」
両手で顔を覆うリチャード。
「でも・・・死にたく・・・ない。死ぬのが怖い。父上が刺されたとき・・・ボクは動けなかった。ボクは卑怯で・・・臆病者だ・・・」
その両手の甲から水滴が垂れる。その水滴は温かいのか、それとも冷たいのか。
私にはその水滴が王子という戦争の責任者として泣けないリチャードの瞳の代わりに流れる涙に感じた。
「そんなの誰もがそうよ・・・」
「いいや、みんなと同じじゃダメなんだ。ボクはこの国を導かなければならない存在なんだから・・・」
顔から両手を離したリチャードの手は震えてた。
その両の手のひらを彼はまじまじと見ていたけれど、その手のひらには悪い未来でも映っているのだろうか。
リチャードの顔と声は言葉とは裏腹に動揺していた。
ジャバッ
「えっ・・・」
私はリチャードの正面に抱き着いた。
私の方が小さいけれど、私が彼を包み込んで悲しみなどの一切から守りたいと思った。
昔の心優しく大人しかったリチャードがこんなに頑張っている。
(守りたい・・・この人を・・・神様・・・私に力をください・・・)
ギュッ
私は抱きしめる力を強める。
私が彼を肯定したからと言って何かが変わるわけじゃないかもしれない。
それくらい私は無力だ。
でも、こんなにも貴方を認めている人が一人でもいることを知ってほしかった。そして、どんなに小さくても、リチャードの心の支えになって欲しいと願った。
「アリア・・・」
「リチャード・・・?」
私は呼ばれたので、顔を上げる。
――――ッ
近づいてきたリチャードはもどかしい顔をしていた。
そして、私は唇を奪われた。
「アリア・・・」
――――ッ
私はリチャードに求められた。
リチャードは心にあった影を吐き出すように私を求めた。
こんなに雄々しいリチャードは初めてだった。
私はリチャードの苦しみを半分背負える気持ちと、求められる嬉しさに浸った。そこから私たちはしばらくの間、言葉を交わさずに動物的に相手を求めた。この刹那的瞬間だけは戦のことも、様々な人間関係も何もかも忘れたし、忘れさせた。
自分がリチャードのことしか考えられないのも嬉しかったし、リチャードが辛いことを忘れて私だけのことを考えているのがわかって、私たちの心は幸福と安心感に満たされていった。
私はリチャードの顔全体を把握するために、彼にくっつけていた顔を少し離して距離を取る。
「戦は・・・嫌だ。もう、戦いたくない」
バシャッ
湯船のお湯を顔にかけるリチャード。
それでも、リチャードの顔から暗さは取れることはない。
「・・・」
なんと言って声をかければいいんだろうか。
「ボクが頑張れば頑張る分だけ、多くの人の命を奪う・・・ボクに選べる選択肢は戦い続けるか、降伏するか。なら、降伏してしまえばいいんじゃないかと・・・そう思うんだ」
両手で顔を覆うリチャード。
「でも・・・死にたく・・・ない。死ぬのが怖い。父上が刺されたとき・・・ボクは動けなかった。ボクは卑怯で・・・臆病者だ・・・」
その両手の甲から水滴が垂れる。その水滴は温かいのか、それとも冷たいのか。
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「そんなの誰もがそうよ・・・」
「いいや、みんなと同じじゃダメなんだ。ボクはこの国を導かなければならない存在なんだから・・・」
顔から両手を離したリチャードの手は震えてた。
その両の手のひらを彼はまじまじと見ていたけれど、その手のひらには悪い未来でも映っているのだろうか。
リチャードの顔と声は言葉とは裏腹に動揺していた。
ジャバッ
「えっ・・・」
私はリチャードの正面に抱き着いた。
私の方が小さいけれど、私が彼を包み込んで悲しみなどの一切から守りたいと思った。
昔の心優しく大人しかったリチャードがこんなに頑張っている。
(守りたい・・・この人を・・・神様・・・私に力をください・・・)
ギュッ
私は抱きしめる力を強める。
私が彼を肯定したからと言って何かが変わるわけじゃないかもしれない。
それくらい私は無力だ。
でも、こんなにも貴方を認めている人が一人でもいることを知ってほしかった。そして、どんなに小さくても、リチャードの心の支えになって欲しいと願った。
「アリア・・・」
「リチャード・・・?」
私は呼ばれたので、顔を上げる。
――――ッ
近づいてきたリチャードはもどかしい顔をしていた。
そして、私は唇を奪われた。
「アリア・・・」
――――ッ
私はリチャードに求められた。
リチャードは心にあった影を吐き出すように私を求めた。
こんなに雄々しいリチャードは初めてだった。
私はリチャードの苦しみを半分背負える気持ちと、求められる嬉しさに浸った。そこから私たちはしばらくの間、言葉を交わさずに動物的に相手を求めた。この刹那的瞬間だけは戦のことも、様々な人間関係も何もかも忘れたし、忘れさせた。
自分がリチャードのことしか考えられないのも嬉しかったし、リチャードが辛いことを忘れて私だけのことを考えているのがわかって、私たちの心は幸福と安心感に満たされていった。
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