2 / 5
2
しおりを挟む
「じゃあ、家から出ていきます。お世話になりました」
私は深々と頭を下げて、結婚しようとしていた彼、クオンの手を引っ張ろうとする。
しかし、彼は微動だにしなかった。
「クオン、どうしたの?」
私がクオンに尋ねると、クオンは小さな声で「ごめんね」と私に申し訳なさそうな顔をした後、お父様を睨みつける。
「ちょっとよろしいですか」
クオンの綺麗な声に怒りが混ざっていた。
「なんだ、ゴミが。黙れ、お前に発言など許すわけがないだろう」
お父様は汚らわしいものを見るような目でクオンを見る。
(これはやばいっ)
私はお父様を注意しようと、一歩前に出ようとするけれど、クオンに止められる。
「では、無礼を承知で勝手に話をさせていただきますが・・・」
「なっ」
黙れと言った相手が喋るのを、お父様は口をぽかんと開けたままで驚いている。
「彼女は優秀だと思いますよ、この場にいる誰よりも・・・」
色々言うつもりだったみたいだったクオンだったけれど、私の顔が青ざめているのに気づいて、それだけで済ませてくれたようだ。
(って、クオン。あなたの方が優秀でしょうが)
私は服の袖を引っ張ると、私には笑顔を返してくれるクオン。その笑顔を見て、そんなに怒っていない様子なのでひとまずほっとした。
「では、失礼します」
クオンが頭を下げて、私たちは扉の方へ向かおうとすると、
「待てっ、家を出るなんてダメに決まっているだろうが。エカチュリーナを渡さねばこの家は・・・」
私は言うのを躊躇っているお父様の心を、つい最近神から授かった神眼を使って覗く。
「な・・・お父様・・・っ。ヴァルド公爵と共に二重課税・・・それと罪を他の無実な貴族になすりつけていたなんて・・・」
私は吐きそうになり、口を手で覆う。
「エカチュリーナっ、なっ、なぜおまえがそのことを知っているんだ?」
私が言うと、お父様は青ざめて狼狽し、妹のリーウェンは怪訝な顔で私を見ていたが、私の顔を見て嘘でないことを確認し、今度はお父様の顔を睨んだ。
「お父様、それは法律を犯しています。いくらリーウェンを王子に嫁がせたとしても、罪は消えませんし、重税をかけられた民衆は黙っていませんよ」
「お父様、どういうことよっ!?」
リーウェンが苛立ちをぶつける。さすがのリーウェンですら、王子にそのことがバレたら、自分の立場が危うくなるのをわかったようだ。
「いっ、いや、それは、その・・・あの・・・えーっと」
パーティー会場でよく見たことがあるお父様の態度。
難しい話に付いて行けず、周りの貴族たちが呆れてしまうようなしどろもどろな態度。
私もそして、リーウェンも嫌悪で何も言えなくなった。
私は深々と頭を下げて、結婚しようとしていた彼、クオンの手を引っ張ろうとする。
しかし、彼は微動だにしなかった。
「クオン、どうしたの?」
私がクオンに尋ねると、クオンは小さな声で「ごめんね」と私に申し訳なさそうな顔をした後、お父様を睨みつける。
「ちょっとよろしいですか」
クオンの綺麗な声に怒りが混ざっていた。
「なんだ、ゴミが。黙れ、お前に発言など許すわけがないだろう」
お父様は汚らわしいものを見るような目でクオンを見る。
(これはやばいっ)
私はお父様を注意しようと、一歩前に出ようとするけれど、クオンに止められる。
「では、無礼を承知で勝手に話をさせていただきますが・・・」
「なっ」
黙れと言った相手が喋るのを、お父様は口をぽかんと開けたままで驚いている。
「彼女は優秀だと思いますよ、この場にいる誰よりも・・・」
色々言うつもりだったみたいだったクオンだったけれど、私の顔が青ざめているのに気づいて、それだけで済ませてくれたようだ。
(って、クオン。あなたの方が優秀でしょうが)
私は服の袖を引っ張ると、私には笑顔を返してくれるクオン。その笑顔を見て、そんなに怒っていない様子なのでひとまずほっとした。
「では、失礼します」
クオンが頭を下げて、私たちは扉の方へ向かおうとすると、
「待てっ、家を出るなんてダメに決まっているだろうが。エカチュリーナを渡さねばこの家は・・・」
私は言うのを躊躇っているお父様の心を、つい最近神から授かった神眼を使って覗く。
「な・・・お父様・・・っ。ヴァルド公爵と共に二重課税・・・それと罪を他の無実な貴族になすりつけていたなんて・・・」
私は吐きそうになり、口を手で覆う。
「エカチュリーナっ、なっ、なぜおまえがそのことを知っているんだ?」
私が言うと、お父様は青ざめて狼狽し、妹のリーウェンは怪訝な顔で私を見ていたが、私の顔を見て嘘でないことを確認し、今度はお父様の顔を睨んだ。
「お父様、それは法律を犯しています。いくらリーウェンを王子に嫁がせたとしても、罪は消えませんし、重税をかけられた民衆は黙っていませんよ」
「お父様、どういうことよっ!?」
リーウェンが苛立ちをぶつける。さすがのリーウェンですら、王子にそのことがバレたら、自分の立場が危うくなるのをわかったようだ。
「いっ、いや、それは、その・・・あの・・・えーっと」
パーティー会場でよく見たことがあるお父様の態度。
難しい話に付いて行けず、周りの貴族たちが呆れてしまうようなしどろもどろな態度。
私もそして、リーウェンも嫌悪で何も言えなくなった。
433
あなたにおすすめの小説
姑に嫁いびりされている姿を見た夫に、離縁を突きつけられました
碧井 汐桜香
ファンタジー
姑に嫁いびりされている姿を見た夫が、嬉しそうに便乗してきます。
学園進学と同時に婚約を公表し、卒業と同時に結婚したわたくしたち。
昔から憧れていた姑を「お義母様」と呼べる新生活に胸躍らせていると、いろいろと想定外ですわ。
聖女の私が追放されたらお父さんも一緒についてきちゃいました。
重田いの
ファンタジー
聖女である私が追放されたらお父さんも一緒についてきちゃいました。
あのお、私はともかくお父さんがいなくなるのは国としてマズイと思うのですが……。
よくある聖女追放ものです。
守護神の加護がもらえなかったので追放されたけど、実は寵愛持ちでした。神様が付いて来たけど、私にはどうにも出来ません。どうか皆様お幸せに!
蒼衣翼
恋愛
千璃(センリ)は、古い巫女の家系の娘で、国の守護神と共に生きる運命を言い聞かされて育った。
しかし、本来なら加護を授かるはずの十四の誕生日に、千璃には加護の兆候が現れず、一族から追放されてしまう。
だがそれは、千璃が幼い頃、そうとは知らぬまま、神の寵愛を約束されていたからだった。
国から追放された千璃に、守護神フォスフォラスは求愛し、へスペラスと改名した後に、人化して共に旅立つことに。
一方、守護神の消えた故国は、全ての加護を失い。衰退の一途を辿ることになるのだった。
※カクヨムさまにも投稿しています
お前を愛することはないと言われたので、姑をハニトラに引っ掛けて婚家を内側から崩壊させます
碧井 汐桜香
ファンタジー
「お前を愛することはない」
そんな夫と
「そうよ! あなたなんか息子にふさわしくない!」
そんな義母のいる伯爵家に嫁いだケリナ。
嫁を大切にしない?ならば、内部から崩壊させて見せましょう
「お姉さまみたいな地味な人を愛する殿方なんてこの世にいなくってよ!」それが妹の口癖でした、が……
四季
恋愛
「お姉さまみたいな地味な人を愛する殿方なんてこの世にいなくってよ!」
それが妹の口癖でした。
【完結】妹のせいで貧乏くじを引いてますが、幸せになります
禅
恋愛
妹が関わるとロクなことがないアリーシャ。そのため、学校生活も後ろ指をさされる生活。
せめて普通に許嫁と結婚を……と思っていたら、父の失態で祖父より年上の男爵と結婚させられることに。そして、許嫁はふわカワな妹を選ぶ始末。
普通に幸せになりたかっただけなのに、どうしてこんなことに……
唯一の味方は学友のシーナのみ。
アリーシャは幸せをつかめるのか。
※小説家になろうにも投稿中
【完結】私の結婚支度金で借金を支払うそうですけど…?
まりぃべる
ファンタジー
私の両親は典型的貴族。見栄っ張り。
うちは伯爵領を賜っているけれど、借金がたまりにたまって…。その日暮らしていけるのが不思議な位。
私、マーガレットは、今年16歳。
この度、結婚の申し込みが舞い込みました。
私の結婚支度金でたまった借金を返すってウキウキしながら言うけれど…。
支度、はしなくてよろしいのでしょうか。
☆世界観は、小説の中での世界観となっています。現実とは違う所もありますので、よろしくお願いします。
俺って当事者だよな? 知らぬ間に全てを失いました
碧井 汐桜香
恋愛
格上であるサーベンディリアンヌ公爵家とその令嬢ファメリアについて、蔑んで語るファメリアの婚約者ナッツル・キリグランド伯爵令息。
いつものように友人たちに嘆いていると、第二王子であるメルフラッツォがその会話に混ざってきた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる