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俺の願いごと
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「海~明日はサザンホテル1202号室に15時ね」
「了解!ずいぶん高級ホテルですね。その後は?」
「明日はその1件だけだ太客だぞ!なんてったって18時間の貸切コースご希望なんだから。お前の接客態度次第では今後指名してくれるかもしれないんから頑張れよ。でも……何かあったらSOS必ず鳴らせよ。じゃあ今日はゆっくり休んで明日に備えろよ」
「わかりました」
俺は柴田海、本名大嶋海里、21歳、職業……オメガの出張風俗店勤務。
なぜそんな仕事に?と思うよな普通は……俺もまさか自分がこんな仕事につくなんて思ってもみなかった。
◇◆◇◆◇◆
この世の中には男女の性別の他に3つの性に分けられる。1つはアルファ全ての能力に長けていて生まれながらにエリートと言われている。2つ目はベータ全体の大多数がこのバース性だ。自分の努力次第で上にもなれる。しかもバース性にとらわれることなく安定した生活を送っている人がほとんどだ。そして3つ目、一番人数が少ないのがオメガ数か月に訪れるヒートがあり、男女問わず子どもを宿すことができる。またその時にアルファに頸を嚙まれると番になることができる。番になると番にしかフェロモンの匂いがわからいようになる。オメガは生涯1人のアルファとしか番えない。でもアルファは何人ものオメガを番にすることができる。ただアルファに捨てられたオメガは番欠乏症で亡くなってしまう人が多いと……だから学校でも同意のない性行為はしないようにと勉強したことがある。少し前まではオメガのフェロモンはアルファを誘い、人生をも狂わせてしまうと言われ差別や偏見があった。突然起こってしまったヒートのオメガに対して同意のない性行為や勝手に頸を噛んで番にしてそのまま捨てるアルファがいたことも……でも逆にオメガが地位の高いアルファと番にりたいがために違法な薬物を使い誘惑してヒートトラップを起こす人もいたみたいだ。今は国も色々と法改正をして急なヒートになっても対応できるシェルターを学校内に作ったり今まで高額だったオメガ用の抑制剤を安価で買えるように補助金を出すことになった。また同意なく頸を噛まれることを防ぐためチョーカーも国から支給されるようになって昔よりは差別や偏見は少なくはなった。とはいえそれでもオメガの社会的地位は低く正規雇用で働ける人はまだ少ないのが現状だ。
俺の容姿は母に似ていて華奢な体で筋肉がなかなかつかなかった。そのためみんなからオメガだと思われていたけど中学校入学の検査でアルファだと診断された。父は社長として忙しい人でなかなか家に帰ってこなかったけど、帰ってくると色んな話をしてくれて楽しかった。家族も仲良しだった。それなのに……父は俺が小学生に上がってすぐに事故で帰らぬ人になってしまった。母は父が残してくれた会社を守ろうとしていたが頼っていた人に裏切られ、お金までも持ち逃げされどうしようもなくなってしまったときに助けてくれたのが義兄貴のお父さんだった。
俺が10歳の時に母が再婚してお義父さんと義兄貴と一緒に暮らすことになった。お義父さんはとても優しくて母さんを大事にしてくれてるのがわかった。父さんが亡くなって泣いてばかりだった母さんが幸せそうにしていた。それにひとりっ子だった俺に優しくて頼りになる義兄貴ができて嬉しかった。
俺の両親と義兄貴の両親は大学の同級生だったと聞いた。義兄貴のお母さんは男性オメガでお父さんと番になって義兄貴を産んだけど、義兄貴が小さい頃にお母さんは亡くなったと聞いた。それが病気なのか事故なのか、それとも自殺なのかはあの当時はよく聞いてなかった気がする。父さんのお葬式で久しぶりに再会して、父さんを亡くして会社経営も大変で、ましては母さんは男性オメガだから番がいないとなると会社経営も色々と不都合だからと籍を入れて結婚はした。でもアルファとオメガなのに番にはなってないというか番にはなれないんだと母さんが寂しそうに言っていた。本当はオメガは生涯1人の人としか番になることができないけど相手が亡くなると頸の噛跡が無くなると言われていた。でも母には父がつけた噛跡がまだ残っていた。あれから5年……もう今はお義父さんに噛跡をつけてもらって番になれたのかもしれない。俺は義兄貴と過ごしたあの楽しかった日々を今でも忘れられない……
義兄貴は背が高くて頭も良くてイケメンで、これぞアルファだと思った。ベータやオメガ、アルファの男女問わず家にやってきて義兄貴に告白しているのを自分の部屋から見ていた。小学生の俺でもわかるくらい義兄貴はモテていたけど彼女を作らなかった。どうしてかはわからないけど小さかった俺をいつも可愛がってくれた。
「海里、明日はお休みだからお出かけしないか?」
「どこ行くの?」
「海里が行きたいところ。遊園地でも水族館でもゲーセンでも……」
「じゃあ僕、水族館でチンアナゴ見てそのあとお星様みたい」
「チンアナゴの後、プラネタリウムか……それじゃあいつもと一緒じゃないか」
「いいの。義兄ちゃんと一緒に行けるの楽しみだから」
「他に行きたいところないのか?もしあったら変更しような。じゃあ明日は出かけるから早く寝ろよ」
俺は小学生だったあの頃、義兄貴と一緒にプラネタリウムの流れ星を見ながら何度も何度もお願い事をしていた。『義兄ちゃんみたいなかっこいいアルファになれますように』って……そんな小さな願いごとを俺は叶わないのにいつも流れ星にお願いしていた。
「了解!ずいぶん高級ホテルですね。その後は?」
「明日はその1件だけだ太客だぞ!なんてったって18時間の貸切コースご希望なんだから。お前の接客態度次第では今後指名してくれるかもしれないんから頑張れよ。でも……何かあったらSOS必ず鳴らせよ。じゃあ今日はゆっくり休んで明日に備えろよ」
「わかりました」
俺は柴田海、本名大嶋海里、21歳、職業……オメガの出張風俗店勤務。
なぜそんな仕事に?と思うよな普通は……俺もまさか自分がこんな仕事につくなんて思ってもみなかった。
◇◆◇◆◇◆
この世の中には男女の性別の他に3つの性に分けられる。1つはアルファ全ての能力に長けていて生まれながらにエリートと言われている。2つ目はベータ全体の大多数がこのバース性だ。自分の努力次第で上にもなれる。しかもバース性にとらわれることなく安定した生活を送っている人がほとんどだ。そして3つ目、一番人数が少ないのがオメガ数か月に訪れるヒートがあり、男女問わず子どもを宿すことができる。またその時にアルファに頸を嚙まれると番になることができる。番になると番にしかフェロモンの匂いがわからいようになる。オメガは生涯1人のアルファとしか番えない。でもアルファは何人ものオメガを番にすることができる。ただアルファに捨てられたオメガは番欠乏症で亡くなってしまう人が多いと……だから学校でも同意のない性行為はしないようにと勉強したことがある。少し前まではオメガのフェロモンはアルファを誘い、人生をも狂わせてしまうと言われ差別や偏見があった。突然起こってしまったヒートのオメガに対して同意のない性行為や勝手に頸を噛んで番にしてそのまま捨てるアルファがいたことも……でも逆にオメガが地位の高いアルファと番にりたいがために違法な薬物を使い誘惑してヒートトラップを起こす人もいたみたいだ。今は国も色々と法改正をして急なヒートになっても対応できるシェルターを学校内に作ったり今まで高額だったオメガ用の抑制剤を安価で買えるように補助金を出すことになった。また同意なく頸を噛まれることを防ぐためチョーカーも国から支給されるようになって昔よりは差別や偏見は少なくはなった。とはいえそれでもオメガの社会的地位は低く正規雇用で働ける人はまだ少ないのが現状だ。
俺の容姿は母に似ていて華奢な体で筋肉がなかなかつかなかった。そのためみんなからオメガだと思われていたけど中学校入学の検査でアルファだと診断された。父は社長として忙しい人でなかなか家に帰ってこなかったけど、帰ってくると色んな話をしてくれて楽しかった。家族も仲良しだった。それなのに……父は俺が小学生に上がってすぐに事故で帰らぬ人になってしまった。母は父が残してくれた会社を守ろうとしていたが頼っていた人に裏切られ、お金までも持ち逃げされどうしようもなくなってしまったときに助けてくれたのが義兄貴のお父さんだった。
俺が10歳の時に母が再婚してお義父さんと義兄貴と一緒に暮らすことになった。お義父さんはとても優しくて母さんを大事にしてくれてるのがわかった。父さんが亡くなって泣いてばかりだった母さんが幸せそうにしていた。それにひとりっ子だった俺に優しくて頼りになる義兄貴ができて嬉しかった。
俺の両親と義兄貴の両親は大学の同級生だったと聞いた。義兄貴のお母さんは男性オメガでお父さんと番になって義兄貴を産んだけど、義兄貴が小さい頃にお母さんは亡くなったと聞いた。それが病気なのか事故なのか、それとも自殺なのかはあの当時はよく聞いてなかった気がする。父さんのお葬式で久しぶりに再会して、父さんを亡くして会社経営も大変で、ましては母さんは男性オメガだから番がいないとなると会社経営も色々と不都合だからと籍を入れて結婚はした。でもアルファとオメガなのに番にはなってないというか番にはなれないんだと母さんが寂しそうに言っていた。本当はオメガは生涯1人の人としか番になることができないけど相手が亡くなると頸の噛跡が無くなると言われていた。でも母には父がつけた噛跡がまだ残っていた。あれから5年……もう今はお義父さんに噛跡をつけてもらって番になれたのかもしれない。俺は義兄貴と過ごしたあの楽しかった日々を今でも忘れられない……
義兄貴は背が高くて頭も良くてイケメンで、これぞアルファだと思った。ベータやオメガ、アルファの男女問わず家にやってきて義兄貴に告白しているのを自分の部屋から見ていた。小学生の俺でもわかるくらい義兄貴はモテていたけど彼女を作らなかった。どうしてかはわからないけど小さかった俺をいつも可愛がってくれた。
「海里、明日はお休みだからお出かけしないか?」
「どこ行くの?」
「海里が行きたいところ。遊園地でも水族館でもゲーセンでも……」
「じゃあ僕、水族館でチンアナゴ見てそのあとお星様みたい」
「チンアナゴの後、プラネタリウムか……それじゃあいつもと一緒じゃないか」
「いいの。義兄ちゃんと一緒に行けるの楽しみだから」
「他に行きたいところないのか?もしあったら変更しような。じゃあ明日は出かけるから早く寝ろよ」
俺は小学生だったあの頃、義兄貴と一緒にプラネタリウムの流れ星を見ながら何度も何度もお願い事をしていた。『義兄ちゃんみたいなかっこいいアルファになれますように』って……そんな小さな願いごとを俺は叶わないのにいつも流れ星にお願いしていた。
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