鬼上司と秘密の同居

なの

文字の大きさ
47 / 105

大事にされてる

しおりを挟む
「おはよう」
透さんの声が営業部に響いた。みんな仕事の手を止めてこっちを向いた。透さんとデルの間に挟まれた僕はみんなの視線がこわくて俯いてしまった。

「ちょっといいか?突然の報告だが…小沢が来月から秘書課に移動することが決まった。こっちの都合で報告が遅くなった。その代わりといってはなんだが、来月からは、デル・ランドルが配属される。デルは他社のマーケティング部にいたからきっといい情報をくれると思う。英語はもちろん、日本語、フランス語もできるからな。みんなよろしく頼む。デルはまだ事務作業が終わってないから終わり次第になるが…今週は日本にいる予定で出社するからみんな色々教えてやってくれ。各自、色々聞きたいだろうが、それは、仕事に支障がないように頼む。を止めて悪かったな」
僕は一応頭を下げてから席に行こうとした。

「とりあえずデルは小沢の隣でいいから、パソコンは今、総務が準備してるだろうから待っててくれ」

「かいとの席どこー」
先に歩いてた僕の隣にきたデルに自分の席を教えると早速、今日のお昼はお蕎麦が食べたい。と言い出した。蕎麦か…社食にでも連れてってあげようと思ったが、きっとみんなに取り囲まれるだろう。どうしよう…みんな仕事をしながらもデルをチラチラ見てくる人がいる。デルの存在が気になって仕方がなさそうだ。

そりゃそうだと思う。デルは背が高くて、身体の線が細い。それなのに彫刻のようなキリッとした顔立ちをしてる。遠くから見ても一目でいい男だとわかる…でもふとした仕草が妙にそそられてしまう。女性らしくとも違うが、少し儚げな印象だ。それなのに…そっちだとワイルドになるのか…見た目とのギャップが凄い。しかもデルは透さんと同じ歳とは思えないくらい若く見える。いわゆる童顔といってもいいだろう。だから僕も見た目のデルを見て透さんの…と勘違いしたんだけど、そう思ってる人っていないよな…?と少し不安になってしまった。そんなデルと一緒に僕がいるというのは、みんなが不思議に思うだろう。しかも朝の出来事を知ってる人たちもいるから…手を止めてしまってると

「かいとー寝不足?具合悪い?」デルに心配されてしまった…

「大丈夫」そう返したけどデルはなんだか疑っているようだった。

とりあえず今は何も考えず仕事しなきゃとデルに自分の受け持ちの企業や今、交渉中の企業、これからアポを取りたい所などなど資料と一緒に教えて行った。

デルは前の職場ではマーケティング部に所属していた時に、見込み顧客に対しての適切な情報やコンテンツなどの提供していた。営業とも連携していることもあったそうで、ここはこうしたら?とかここはこっちがいいんじゃないかとその企業ごとの的確なアドバイスをしてくれてとても良かった。そんなやり取りをしていたが、そろそろお昼だな…本当にお昼どうしよう…としたら透さんが僕の席にやってきた。

「お疲れ。そろそろ飯行かないか?」
「うん行く。透、俺お蕎麦が食べたい。美味しい所ある?」
「外、行くか?小沢…一緒に行くか?」
一緒に行きたいけど…周りが気になって仕方がない。ふと見ると平井と目が合った。

「僕…平井と食べに行くので、お2人で行ってください」と僕が言うと透さんは眉間に皺を寄せて平井を睨みつけた。そんな様子を見ていたデルが「じゃあひらいーも一緒に行こう」と誘ってくれた。

平井にまだ嫉妬してくれる透さんは嬉しいけど、なんだか居た堪れなかった…

どこに行こうかと思ったらデルは社食に行きたいと…きっと
大騒ぎなんだろうなぁーと思いながらも社食に行こうとした時に大崎部長に会ってしまった。

「おぉ…浅井部長、戻られたって聞きてましたよ。お疲れ様でした。向こうは大変だったんじゃないですか?それにしても…またイケメン捕まえて…もしかして…この前あったお店の子じゃないですか?」  

「いえっ彼は…」

「いいです。いいです。ここだけの話でしたね。では急ぐので…」
そう言って足早に行ってしまった。

大崎部長違うんです…透さんの相手は僕ですって言いたい。言ってしまいたい…でも弱気な僕はそんなこと言えないまま社食についた。

デルはもちろん、ざるそばで平井は唐揚げ、透さんと僕はカレーライスと安定の被りで平井に大笑いされてしまった。

僕と透さんが取りに行ってる間にデルと平井が意気投合して盛り上がってて話をしてた。
「何、話してたの?」僕が聞いて見ると

『ないしょー』と笑い合っていた。
なんで?教えてって言っても教えてくれなくて、なんだか寂しく思ってると透さんが
「2人しかわからないことでもあるのか?」なんて聞くから2人はいやっ…でもっ…と焦ってるように見えた。

すると透さんは向かいに座ってた2人に顔を近づけて「海斗はやらないからな」なんて思っても見なかった答えにドキドキしていると

「浅井部長、ご飯食べ終わったら少しいいですか?」その声に振り向いてしまった。

この前、透さんに告白したいって言ってた橋田さんだ。
「要件ならここで聞くが…」と返事を返した。
「2人きりで話したいんです。お願いします」
きっと話くらいは聞くんだろうと思ってたら。

「俺の検討違いなら悪い。告白なら受け付けないが…他の要件か?」
橋田さんは顔を真っ赤にして俯いてしまった。

「悪いけど俺には大事にしている人がいるから…断るのに2人で話すことはできない。勘違いさせてしまうかもしれないし…悪いな。きっと他にもいい人見つかると思うぞ…」そういうと橋田さんは涙を浮かべて走って行ってしまった。

「あーあ。透、泣いてたぞ」デルの声が聞こえたが、僕って本当に大事に思われてるんだ…と橋田さんには悪いけど嬉しくなってしまった。

しおりを挟む
感想 16

あなたにおすすめの小説

借金のカタに同居したら、毎日甘く溺愛されてます

なの
BL
父親の残した借金を背負い、掛け持ちバイトで食いつなぐ毎日。 そんな俺の前に現れたのは──御曹司の男。 「借金は俺が肩代わりする。その代わり、今日からお前は俺のものだ」 脅すように言ってきたくせに、実際はやたらと優しいし、甘すぎる……! 高級スイーツを買ってきたり、風邪をひけば看病してくれたり、これって本当に借金返済のはずだったよな!? 借金から始まる強制同居は、いつしか恋へと変わっていく──。 冷酷な御曹司 × 借金持ち庶民の同居生活は、溺愛だらけで逃げ場なし!? 短編小説です。サクッと読んでいただけると嬉しいです。

バツイチ上司が、地味な僕を特別扱いしてくる

衣草 薫
BL
理性的でクールなバツイチ上司・桐原恒一は、過去の失敗から、もう誰も必要としないと決めて生きてきた。 男が好きだという事実を隠し、「期待しなければ傷つかない」と思い込んできた部下・葉山直。 すれ違いと誤解の果てに、直が職場を去ろうとしたとき、恒一は初めて“追いかける”ことを選ぶ。 選ばれないと信じてきた直と、逃げないと決めた恒一。 二人の距離が近づくことで、直は「ここにいていい」と思える場所を見つけていく。 元ノンケ上司×自己肯定感低め部下の社会人BL。※ハッピーエンド保証。

雪解けを待つ森で ―スヴェル森の鎮魂歌(レクイエム)―

なの
BL
百年に一度、森の魔物へ生贄を捧げる村。 その年の供物に選ばれたのは、誰にも必要とされなかった孤児のアシェルだった。 死を覚悟して踏み入れた森の奥で、彼は古の守護者である獣人・ヴァルと出会う。 かつて人に裏切られ、心を閉ざしたヴァル。 そして、孤独だったアシェル。 凍てつく森での暮らしは、二人の運命を少しずつ溶かしていく。 だが、古い呪いは再び動き出し、燃え盛る炎が森と二人を飲み込もうとしていた。 生贄の少年と孤独な獣が紡ぐ、絶望の果てにある再生と愛のファンタジー

黒の執愛~黒い弁護士に気を付けろ~

ひなた翠
BL
小野寺真弥31歳。 転職して三か月。恋人と同じ職場で中途採用の新人枠で働くことに……。 朝から晩まで必死に働く自分と、真逆に事務所のトップ2として悠々自適に仕事をこなす恋人の小林豊28歳。 生活のリズムも合わず……年下ワンコ攻め小林に毎晩のように求められてーー。 どうしたらいいのかと迷走する真弥をよそに、熱すぎる想いをぶつけてくる小林を拒めなくて……。 忙しい大人の甘いオフィスラブ。 フジョッシーさんの、オフィスラブのコンテスト参加作品です。

猫カフェの溺愛契約〜獣人の甘い約束〜

なの
BL
人見知りの悠月――ゆづきにとって、叔父が営む保護猫カフェ「ニャンコの隠れ家」だけが心の居場所だった。 そんな悠月には昔から猫の言葉がわかる――という特殊な能力があった。 しかし経営難で閉店の危機に……
愛する猫たちとの別れが迫る中、運命を変える男が現れた。 猫のような美しい瞳を持つ謎の客・玲音――れお。 
彼が差し出したのは「店を救う代わりに、お前と契約したい」という甘い誘惑。 契約のはずが、いつしか年の差を超えた溺愛に包まれて――
甘々すぎる生活に、だんだんと心が溶けていく悠月。 だけど玲音には秘密があった。
満月の夜に現れる獣の姿。猫たちだけが知る彼の正体、そして命をかけた契約の真実 「君を守るためなら、俺は何でもする」 これは愛なのか契約だけなのか……
すべてを賭けた禁断の恋の行方は? 猫たちが見守る小さなカフェで紡がれる、奇跡のハッピーエンド。

若頭の溺愛は、今日も平常運転です

なの
BL
『ヤクザの恋は重すぎて甘すぎる』続編! 過保護すぎる若頭・鷹臣との同棲生活にツッコミが追いつかない毎日を送る幼なじみの相良悠真。 ホットミルクに外出禁止、舎弟たちのニヤニヤ見守り付き(?)ラブコメ生活はいつだって騒がしく、でもどこかあったかい。 だけどそんな日常の中で、鷹臣の覚悟に触れ、悠真は気づく。 ……俺も、ちゃんと応えたい。 笑って泣けて、めいっぱい甘い! 騒がしくて幸せすぎる、ヤクザとツッコミ男子の結婚一直線ラブストーリー! ※前作『ヤクザの恋は重すぎて甘すぎる』を読んでからの方が、より深く楽しめます。

今日もBL営業カフェで働いています!?

卵丸
BL
ブラック企業の会社に嫌気がさして、退職した沢良宜 篤は給料が高い、男だけのカフェに面接を受けるが「腐男子ですか?」と聞かれて「腐男子ではない」と答えてしまい。改めて、説明文の「BLカフェ」と見てなかったので不採用と思っていたが次の日に採用通知が届き疑心暗鬼で初日バイトに向かうと、店長とBL営業をして腐女子のお客様を喜ばせて!?ノンケBL初心者のバイトと同性愛者の店長のノンケから始まるBLコメディ ※ 不定期更新です。

ハイスペックストーカーに追われています

たかつきよしき
BL
祐樹は美少女顔負けの美貌で、朝の通勤ラッシュアワーを、女性専用車両に乗ることで回避していた。しかし、そんなことをしたバチなのか、ハイスペック男子の昌磨に一目惚れされて求愛をうける。男に告白されるなんて、冗談じゃねぇ!!と思ったが、この昌磨という男なかなかのハイスペック。利用できる!と、判断して、近づいたのが失敗の始まり。とある切っ掛けで、男だとバラしても昌磨の愛は諦めることを知らず、ハイスペックぶりをフルに活用して迫ってくる!! と言うタイトル通りの内容。前半は笑ってもらえたらなぁと言う気持ちで、後半はシリアスにBLらしく萌えると感じて頂けるように書きました。 完結しました。

処理中です...