鬼上司と秘密の同居

なの

文字の大きさ
48 / 105

自分の決意

しおりを挟む
「部長…大丈夫ですか?」平井が質問した。

「これからバレるんだ。ちゃんと断った方がいいだろ…な?不安にさせたくないんだよ」
僕の方を向いて言われて恥ずかしくなって俯いてしまった。

平井が小さい声で
「でも小沢を秘書なんて…そんなに一緒にいたいですか?部長も独占欲強いんですね」そんなことを言い出した…独占欲って…それはお互いだよなぁーなんて思ってたら。

「あのー部長」
上田さんが席にやってきた。

「どうした?何かあったか?」

「なんで小沢が秘書課なんですか?デルさんじゃダメなんですか?」

「ん?まぁ上の決定だな。デルを営業にするなら誰を移動かって…今は男性秘書も珍しくないし、それに女性だとセクハラになる案件も男性ならわかってもらえたりするからな。まぁ…デルはマーケで培った経験を生かして営業部を盛り上げてほしいからだから秘書は…な。小沢が適任じゃないかって話に上がっただけだけど…他に何かあるのか?」

「いえ…大丈夫です」 
歯切れの悪い言い方だが、そ
のまま戻って行ってしまった。

やっぱり僕じゃなんで?って言われるよね?営業部でも仕事ができてる方じゃなかったし…よし!頑張って勉強しよう。膝の上で拳を強く握った。

「じゃあそろそろ戻るか…」食べ終わって片付けて歩き出したけど周りから声が聞こえてきた。
「眼福とか、目の保養」とか…
やっぱり、透さんとデルが並んで歩いてるとそう言われるよなーと2人の後ろを呑気に歩いてると

違う声も聞こえてきた。

「ほら、やっぱりあの2人」
「そうそう、わざわざ迎えに行ったんだろう?」
「海外まで?」
「そう。堂々としてるもんなぁー2人とも」
「高校の時からの付き合いみたいだぞ」

「小沢、なんか勘違いしてる人いないか?」そう言われて気がついた。やっぱり…透さんとデルさんって距離も近いんだよなぁー

「違うって言ってたけど…」 

「本当?本当に大丈夫か?」

「うん。あっ僕、お手洗いに行ってから戻るから…」

トイレの個室で落ち着かせよう。と入った…のが間違いだったかもしれない…

「大崎部長、見ましたよ。見ました!デルって人、これからは営業部に来るそうですよ」

「だろ?設楽…さっきすれ違った時、会ったんだけどお似合いだろ?」

「本当ですね。美男美男って感じです」

「はっはっは…でも小沢が秘書って上層部は頭がおかしいやつが多いのか?大した仕事もできないだろ…」

「本当ですね。まぁただ単にデルが来たから小沢の居場所を移しただけかもしれませんね」

「かわいそうだな」

「浅井部長も彼氏が来てくれて俄然やる気になってるかもしれませんよ。さっきなんてデルが抱きついたら嫌がってましたけど…本当はキスでもしたいんでしょうね」

「いやーあの浅井くんが彼氏にデレデレしてる所を見てみたいよな」

はっはっは…と笑いながら出てって行った。
どうしていつも僕はタイミングが悪いんだろう…手を洗ってると透さんが入ってきた。

「海斗?どうした?遅いから迎えに来た。さっき大崎部長達が出てったけど、また何か言ってたか?まぁだいたい想像つくが…気にするなよ」
そう言って会社なのに抱きしめてくれた。
その優しさに涙が出そうになったけど、堪えて仕事に向かった。

デルはマーケでの経験から色んなことを教えてくれた。この営業部で仕事してみたかったなぁと思った。

今日はデルもいるので残業なしで帰る。帰り支度をしていたら数人から声がかかった。デルと一緒に飲みに行きたいって、僕は行く気がなかったので断った。今日は行く所があるんだ。

透さんは夕方から会議でいなかったのでメッセージだけ残した。
   
「先に帰ります。寄りたい所があるので、帰りは9時過ぎになります。晩ごはんどうしますか?」

するとすぐに返信が来た。
「気をつけて行っておいで。晩飯は…学の所に集合な!終わったら俺も行くから」

「わかりました」

デルと平井、他数名で、どこに飲みに行く?と話してるのを聞きながら僕は部署を出た。

地図アプリで場所を再度確認して足早に向かった。


しおりを挟む
感想 16

あなたにおすすめの小説

ノリで付き合っただけなのに、別れてくれなくて詰んでる

cheeery
BL
告白23連敗中の高校二年生・浅海凪。失恋のショックと友人たちの悪ノリから、クラス一のモテ男で親友、久遠碧斗に勢いで「付き合うか」と言ってしまう。冗談で済むと思いきや、碧斗は「いいよ」とあっさり承諾し本気で付き合うことになってしまった。 「付き合おうって言ったのは凪だよね」 あの流れで本気だとは思わないだろおおお。 凪はなんとか碧斗に愛想を尽かされようと、嫌われよう大作戦を実行するが……?

今日もBL営業カフェで働いています!?

卵丸
BL
ブラック企業の会社に嫌気がさして、退職した沢良宜 篤は給料が高い、男だけのカフェに面接を受けるが「腐男子ですか?」と聞かれて「腐男子ではない」と答えてしまい。改めて、説明文の「BLカフェ」と見てなかったので不採用と思っていたが次の日に採用通知が届き疑心暗鬼で初日バイトに向かうと、店長とBL営業をして腐女子のお客様を喜ばせて!?ノンケBL初心者のバイトと同性愛者の店長のノンケから始まるBLコメディ ※ 不定期更新です。

借金のカタに同居したら、毎日甘く溺愛されてます

なの
BL
父親の残した借金を背負い、掛け持ちバイトで食いつなぐ毎日。 そんな俺の前に現れたのは──御曹司の男。 「借金は俺が肩代わりする。その代わり、今日からお前は俺のものだ」 脅すように言ってきたくせに、実際はやたらと優しいし、甘すぎる……! 高級スイーツを買ってきたり、風邪をひけば看病してくれたり、これって本当に借金返済のはずだったよな!? 借金から始まる強制同居は、いつしか恋へと変わっていく──。 冷酷な御曹司 × 借金持ち庶民の同居生活は、溺愛だらけで逃げ場なし!? 短編小説です。サクッと読んでいただけると嬉しいです。

黒の執愛~黒い弁護士に気を付けろ~

ひなた翠
BL
小野寺真弥31歳。 転職して三か月。恋人と同じ職場で中途採用の新人枠で働くことに……。 朝から晩まで必死に働く自分と、真逆に事務所のトップ2として悠々自適に仕事をこなす恋人の小林豊28歳。 生活のリズムも合わず……年下ワンコ攻め小林に毎晩のように求められてーー。 どうしたらいいのかと迷走する真弥をよそに、熱すぎる想いをぶつけてくる小林を拒めなくて……。 忙しい大人の甘いオフィスラブ。 フジョッシーさんの、オフィスラブのコンテスト参加作品です。

若頭の溺愛は、今日も平常運転です

なの
BL
『ヤクザの恋は重すぎて甘すぎる』続編! 過保護すぎる若頭・鷹臣との同棲生活にツッコミが追いつかない毎日を送る幼なじみの相良悠真。 ホットミルクに外出禁止、舎弟たちのニヤニヤ見守り付き(?)ラブコメ生活はいつだって騒がしく、でもどこかあったかい。 だけどそんな日常の中で、鷹臣の覚悟に触れ、悠真は気づく。 ……俺も、ちゃんと応えたい。 笑って泣けて、めいっぱい甘い! 騒がしくて幸せすぎる、ヤクザとツッコミ男子の結婚一直線ラブストーリー! ※前作『ヤクザの恋は重すぎて甘すぎる』を読んでからの方が、より深く楽しめます。

  【完結】 男達の性宴

蔵屋
BL
  僕が通う高校の学校医望月先生に  今夜8時に来るよう、青山のホテルに  誘われた。  ホテルに来れば会場に案内すると  言われ、会場案内図を渡された。  高三最後の夏休み。家業を継ぐ僕を  早くも社会人扱いする両親。  僕は嬉しくて夕食後、バイクに乗り、  東京へ飛ばして行った。

ハイスペックストーカーに追われています

たかつきよしき
BL
祐樹は美少女顔負けの美貌で、朝の通勤ラッシュアワーを、女性専用車両に乗ることで回避していた。しかし、そんなことをしたバチなのか、ハイスペック男子の昌磨に一目惚れされて求愛をうける。男に告白されるなんて、冗談じゃねぇ!!と思ったが、この昌磨という男なかなかのハイスペック。利用できる!と、判断して、近づいたのが失敗の始まり。とある切っ掛けで、男だとバラしても昌磨の愛は諦めることを知らず、ハイスペックぶりをフルに活用して迫ってくる!! と言うタイトル通りの内容。前半は笑ってもらえたらなぁと言う気持ちで、後半はシリアスにBLらしく萌えると感じて頂けるように書きました。 完結しました。

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

処理中です...