発情期のタイムリミット

なの

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抑えきれない想い

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翌朝、熱は下がらず体中が敏感になっている。
布団に触れるだけでも、ゾクゾクと感覚が走る。

陸はベッドで横になっていたが、どうしても落ち着かない。大輝のことばかり考えてしまう。

昨日の大輝の手の温もり。優しい声。心配してくれる表情。そして昨夜、両親が言ってくれた言葉。

「大輝も陸のことを大切に思ってるわ」

母親のその言葉が、陸の胸に温かく響いている。

「だめ……こんなこと考えちゃ……でも……」

陸は顔を赤くして、枕に顔を埋めた。

昼頃、スマホに大輝からメッセージが届いた。

《大輝:調子どう?今日も行くから》

《陸:ありがとう……でも、昨日より症状がひどくて……》

《大輝:大丈夫。俺が看病する》

《陸:でも……変なこと言っちゃうかも……》

《大輝:変なことって?》

陸は返信に困った。
発情期の症状で、理性が効かなくなることがある。
昨夜、母親に「素直になりなさい」と言われたが、どこまで素直になっていいのか。

《陸:その……発情期だから……普通じゃいられないかも……》

《大輝:普通じゃなくてもいい。お前はお前だから》

その優しい返事に、陸の胸が熱くなった。

《陸:本当に来てくれる?》

《大輝:当然だ。約束しただろ》

午後、陸の症状はさらに悪化した。体が火照って、息苦しい。何より、大輝への想いが抑えきれなくなっていた。

「大輝……会いたい……」

陸は無意識に呟いていた。

リビングで家事をしていた美佳が、陸の部屋から聞こえる小さな声を耳にして、そっと微笑んだ。

「あの子も、もう限界ね……」

約束通り大輝がやってきた。

「こんにちは。今日もお邪魔します」

玄関で美佳と話している大輝の声が聞こえると、陸の心臓がバクバクと鳴り始めた。

「いつもありがとう。陸も大輝くんが来るのを楽しみにしてたのよ」

「そうですか……俺も、陸のことが心配で」

美佳は大輝の真剣な表情を見て、確信を深めた。この子は本当に陸を大切に思っている。

「陸、大輝くんが来てくれたわよ」

「うん……」

大輝が部屋に入ってくると、陸の甘い香りがより一層濃くなっているのが分かった。

「よう、今日は調子どうだ?」

「昨日より……ひどい……」

陸は大輝を見つめながら答えた。その瞳は潤んでいて、頬は赤く火照っている。

「そうか……辛いな」

大輝はいつものようにベッドサイドの椅子に座ろうとしたが、陸が手を伸ばした。

「大輝……」

「何?」

「もっと……近くに来て……」

陸の甘えるような声に、大輝は困惑した。でも、陸の辛そうな表情を見ると断ることができない。

「近くって?」

「そこじゃ……遠い……」

陸は手を伸ばして、大輝を引き寄せようとする。

「おい、陸……」

「お願い……そばにいて……」

結局、大輝はベッドの端に腰を下ろした。
陸との距離が縮まり、甘い香りがより強く漂ってくる。
陸は安心したような表情を見せた。

「大輝の匂い……安心する……」

「匂い?」

「大輝の匂い……好き……」

その言葉に、大輝の心臓が跳ねた。

「陸……お前、ちゃんと意識あるか?」

「ある……でも、なんか変……大輝を見てると、胸がドキドキして……」

陸は大輝の手を握った。

「手……繋いでて……」

「ああ……」

大輝は陸の手を握り返した。陸の手は熱く、少し震えている。

「大輝、俺……大輝のこと……」

陸が何かを言いかけた時、美佳が部屋にやってきた。

「お疲れさま。お茶を持ってきたわ」

美佳は二人が手を繋いでいるのを見て、優しく微笑んだ。昨夜の会話があったからこそ、自然に受け入れることができる。

「ありがとうございます」

「陸の様子はどう?」

「昨日より……症状が強いみたいです」

美佳は心配そうに陸を見つめた。

「そうね。でも、大輝くんがいてくれると安心してるみたい」

「そうですか……」

「ええ。陸、大輝くんに甘えていいのよ。遠慮しないで」

母親の言葉に、陸は嬉しそうな表情を見せた。

美佳が部屋を出て行くと、陸は再び大輝に甘えるようになった。

「大輝……抱きしめて……」

「え?」

「お願い……苦しいの……」

陸の切ない声に、大輝は迷った。しかし、陸の辛そうな表情を見て、そっと陸を抱きしめた。

陸は大輝の胸に顔を埋めた。大輝の匂いを深く吸い込む。

「大輝の匂い……好き……安心する……」

「陸……」

「ずっと……こうしてて……」

大輝は陸の頭を優しく撫でた。陸は気持ちよさそうに目を閉じる。

「俺……大輝のことが……好き……」

ついに、陸は自分の想いを口にすると大輝の手が、一瞬止まる。

「陸……」

「友達としてじゃなくて……もっと……」

陸の告白に、大輝の胸が激しく鳴った。

「俺も……」

大輝が何かを言いかけた時、陸の意識がふっと遠のいた。

「陸?」

陸は大輝の腕の中で、安心した顔で静かに眠っていた。

「疲れてたんだな……」

大輝は陸を布団に寝かせ、額に手を当てた。まだ熱がある。

でも、陸の告白の言葉が胸に響いている。

「俺も……同じだよ」

大輝は眠っている陸に、小さく呟いた。

一時間ほど経って、陸が目を覚ました。

「大輝……いてくれたんだ……」

「当然だろ。約束したから」

陸は嬉しそうに微笑んだ。

「さっき……変なこと言わなかった?」

「変なことって?」

大輝は少しいたずらっぽく笑った。

「覚えてないの?」

「……覚えてる。恥ずかしいけど」

陸は顔を赤くした。

「恥ずかしがることじゃない」

大輝は陸の手を握った。

「俺も……同じ気持ちだから」

その言葉に、陸の目が見開かれた。

「本当?」

「本当だ。俺、陸のこと……好きだ」

二人の告白が重なった瞬間、部屋の空気が変わった。甘い香りに包まれて、二人は見つめ合っていた。

しばらくして大輝が帰ることになった。

「明日も来るから」

「本当?」

「本当だ。もう……俺の大事な人だから」

その言葉に、陸は幸せそうに微笑んだ。

大輝が帰った後、陸は一人でベッドに横になった。

想いを伝えることができた。そして、大輝も同じ気持ちでいてくれた。

「嬉しい……」

陸は枕に顔を埋めた。
体の火照りは続いているが、心は満たされていた。

夜中、陸は何度も目を覚ました。でも、今度は不安からではない。

大輝への愛しさが、胸に溢れていた。

「大輝……」

陸は大輝の名前を呼びながら、幸せな気持ちで夜を過ごした。

明日も大輝が来てくれる。陸の長い戦いは続いているが、もう一人じゃない。
愛する人と一緒に、乗り越えていける。

――そう確信した夜だった。
 
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