死にキャラに転生したけど、仲間たちに全力で守られて溺愛されています。

藤原遊

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第1部 死にキャラに転生したはずなんだけど

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翌朝、スフィアはカーテンを開けると、柔らかな朝日が部屋に差し込んできた。昨日のユリウスとの会話を思い返しながら、少しだけ胸の奥が軽くなっているのを感じた。

(私がここにいるだけで、みんなは幸せだと言ってくれた……。)

その言葉を信じてみたい気持ちと、まだ心の奥に残る不安が交錯している。

ギルドに着くと、いつものように掲示板の前で立ち止まった。今日は軽めの依頼を探していると、背後から元気な声が聞こえた。

「スフィア、おはよう!今日も何か良い依頼、見つかった?」

振り返ると、そこにはレオンが満面の笑みを浮かべて立っていた。彼の快活な雰囲気に、スフィアの心も自然と和らぐ。

「おはようございます、レオンさん。今日は……ちょっとしたお手伝いができればと思って。」

「それならこれなんてどう?花祭りの片付け依頼が出てるよ。昨日の余韻を味わいながら片付けっていうのも悪くないでしょ?」

レオンが掲示板を指差す。そこには、「祭りの装飾品の片付け」という依頼が貼られていた。

「いいですね。皆さんにも声をかけてみても良いでしょうか?」

スフィアが尋ねると、レオンは力強く頷いた。

「もちろん!みんなでやった方が楽しいに決まってるよ!」

その日の午後、スフィアとヒーローたちは広場に集まり、装飾品の片付けを始めた。

カインは大きな梯子を軽々と持ち上げ、花飾りを一つずつ外していく。そのたくましい姿に、スフィアは思わず見とれてしまった。

「カインさん、本当に頼もしいですね。」

「このくらいは普通のことだ。それより、お前も落ち着いてやれ。」

カインが短く答える。スフィアはその無骨な優しさに胸がじんとした。

一方、エリオットは魔法を使って効率的に装飾品を集めていた。宙に浮かぶ小さな花束が一つずつ箱の中に収まっていく。

「スフィア、効率を考えればこういうやり方も悪くないだろう?」

「本当に便利ですね……エリオットさんの魔法はいつも感心します。」

「当然だよ。このくらい簡単なものさ。」

エリオットは冷静な表情を浮かべながらも、少しだけ照れくさそうにしていた。

レオンは街の子供たちと一緒に楽しげに片付けを進めていた。小さな花束を手に取った子供が「これ、どうしたらいいの?」と尋ねると、レオンは屈んで優しく答えた。

「それはあそこの箱に入れてくれる?君、すごく手伝い上手だね!」

「レオンさん、子供たちにも優しいですね。」

スフィアが微笑むと、レオンは肩をすくめながら笑った。

「だって、みんなでやる方が楽しいでしょ?」

少し離れた場所では、ユリウスが精霊たちとともに、花の香りを街の外へ運ぶ風を作っていた。その柔らかな風に乗せられた花びらが、夕日に照らされてきらきらと輝く。

「ユリウスさん……今日も素敵な風ですね。」

「ありがとう。花祭りが終わっても、花の香りを少しでも残しておきたくてね。」

ユリウスは穏やかに微笑んだ。その柔らかな視線に、スフィアは胸が温かくなるのを感じた。

作業が終わり、全員が広場の片隅で休憩を取っていた。スフィアは彼らの姿を見つめながら、そっと息を吐いた。

(本当に……素敵な人たち。)

けれど、その胸の奥にはまた別の感情が芽生えていた。

(でも……原作の未来では、みんな別々の場所で幸せになるはずだった。私がここにいることで、その未来を壊してしまっているのでは……。)

ユリウスがそっと隣に座り、彼女の顔を覗き込む。

「スフィア、また考え込んでいるの?」

その問いかけに、スフィアは驚きながらも微笑みを作った。

「いえ、大丈夫です。ただ、皆さんが素晴らしい方々だと改めて思って……。」

ユリウスは彼女をじっと見つめた後、小さく頷いた。

「それならいいけど……無理はしないでね。」

彼の優しい声に、スフィアはまた少しだけ救われる思いがした。
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