魔力ゼロの英雄の娘と魔族の秘密

藤原遊

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13章 賢者の塔

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塔の記録室に現れたローブの男を前に、アリアとイアンは戦闘態勢を整えた。

ローブの男は冷たい笑みを浮かべながら、二人を見下すように言葉を放つ。

「選ばれし刃とその持ち主、そして魔族の血を引く者……これほど条件が揃うのは奇跡だ。だが、全ては私が頂く。」

「誰があんたに渡すもんか!」
アリアが剣を構え、男を睨みつける。

「アリア、冷静に。」
イアンが隣で低い声で警告する。

その瞬間、ローブの男が杖を振り、暗黒の魔力が部屋全体を覆った。

室内は一瞬で暗闇に包まれ、アリアは剣を握りしめながら周囲を警戒する。

「どこにいるの……!」

「闇の中では、お前の剣の力も無力だ。」
ローブの男の声が響き渡る。

「そんなこと……やってみなきゃ分からない!」

アリアは剣を振り、青白い光で周囲を照らす。だが、男の魔力による闇は光をすぐに飲み込んでしまう。

「この闇は魔族の力そのものだ。光で打ち消すことはできない。」
イアンが冷静に分析する。

「じゃあ、どうすればいいの!?」

「君の剣だけでは限界がある。だが、私の魔力を加えれば……。」

イアンが杖を掲げ、闇に対抗するように氷の魔法を展開する。

「氷結の光――放て!」

氷の冷気が部屋全体に広がり、闇を薄く霧散させる。二人の目の前に、ローブの男の姿が再び現れた。


「ようやく姿を見せたね!」
アリアが剣を構え、男に突進する。

「無駄だ。」
男は杖を振り、闇の槍を生成してアリアを狙う。

アリアはそれを素早く避けつつ、剣を振り上げた。

「これでも食らえ――!」

「選ばれし刃」の一撃が男の防御を破り、彼のローブを裂く。しかし、その下から現れたのは、黒い鱗のような肌だった。

「その程度では私には届かない。」
男が冷笑を浮かべながら反撃に出る。

「イアン、援護して!」
アリアが叫ぶと、イアンは即座に魔法を展開した。

「氷の嵐――凍てつく拘束!」

男の周囲に氷の鎖が現れ、彼の動きを封じようとする。しかし、男はそれを力づくで破壊し、暗黒の波動を二人に向けて放つ。

「くっ……強すぎる!」
アリアが剣で防御しつつも、体力を削られていく。

そのとき、「選ばれし刃」が青白い光を放ち、さらに強く輝き始めた。

「この光……!?」

アリアが驚くと同時に、イアンの中の魔族の力が反応を示す。

「アリア、剣を私に向けてみろ!」
イアンが叫ぶ。

「えっ!?でも、それじゃ……!」

「今すぐにだ!」

アリアは躊躇しながらも剣をイアンに向けた。その瞬間、剣の光がイアンの魔力と共鳴し、さらに強大な力へと変化した。

「これは……剣と私の魔力が融合している……!」

イアンが静かに呟く。

「いける!今なら絶対勝てる!」
アリアが再び剣を振り上げ、男に向かって突進する。


「選ばれし刃」による攻撃がローブの男を直撃し、その体を貫いた。男は苦悶の表情を浮かべ、膝をつく。

「この力……貴様らがここまでの力を持つとは……。」

男は最後に呟き、体が霧のように消え去った。

「やった……!」
アリアが剣を下ろし、息を切らしながら呟く。

イアンも杖を収め、疲労の色を浮かべながら微笑んだ。

「君の力と剣がなければ、この戦いには勝てなかった。」

「イアンが支えてくれたからだよ。本当にありがとう!」

アリアが満面の笑みを浮かべると、イアンは少しだけ頬を赤らめて目を逸らした。
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