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14章 双月の遺跡
閑話 彼女の変化
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夜が明け、静かな朝の光がギルドホールの窓から差し込んでいた。ユーゴは一人、書類を整理するふりをしながら、目をやった先にはベッドに横たわるイアンと、その傍らで椅子に座るアリアの姿があった。
イアンの寝顔を見守るアリアの表情には、疲れと安堵が入り混じっている。ユーゴはその様子を見て、心の中で小さく息をついた。
(ようやく、少し落ち着いたか。)
ユーゴはアリアがまだ幼かった頃のことを思い出していた。
あの日、彼女の両親がギルドの要請で街を守る戦いに出向き、帰らぬ人となった。アリアがまだ10歳だった頃のことだ。
それまで元気だったアリアは、その日を境に一変した。涙を見せることは少なかったが、その代わりに、彼女は異常なほど「自分でやらなきゃ」という思いに駆られるようになった。
(両親を信じて待っていた。それでも帰ってこなかった。――だから、彼女は“信じる”ことが怖かったんだろう。)
ユーゴはそう分析していた。アリアの無茶な行動には、常に「誰かに任せたら大切なものを失うかもしれない」という恐れが見え隠れしていた。
だが、最近の彼女には変化があった。それは、イアンと旅をするようになってからのことだ。
(信じることを少しずつ思い出したのかもしれないな。)
イアンが重傷を負ったこの数日間、アリアがどれほど自分を責めたかをユーゴは知っている。しかし、その涙と悔しさを経て、彼女は「一人で全てを抱え込む」のではなく、「イアンと共に生き抜く」覚悟を見せ始めていた。
(アリアはもう、一人で戦うだけの子供じゃない。誰かと一緒に戦うことを選べるようになった。)
彼女の変化に気づいたユーゴは、少しだけ肩の力を抜いた。
しばらくすると、アリアが目を覚ましたらしく、椅子の上で小さく伸びをした。そして、ベッドのイアンに視線を向けると、疲れた顔に少し微笑みが浮かんだ。
「……やっと、無茶しなくなりそうだな。」
ユーゴは小さく呟いた。
アリアの無茶は、彼女が両親を失ったことから生まれた「恐れ」と「覚悟」の裏返しだった。だが、イアンとの旅を通じて、彼女はその恐れを少しずつ克服し始めている。
(今のアリアなら、自分と他人を信じて進めるはずだ。)
ユーゴは書類を片付け、そっと立ち上がった。
ギルドの窓から差し込む朝の光を見ながら、ユーゴは心の中で呟く。
(両親のように無茶をして命を落とすのではないか――そんな不安を抱いていたのも、これで少しは解消されたかもしれない。)
アリアが抱えていたものは、イアンとの旅で確実に変化しつつある。かつて彼女が両親に抱いた信頼を、今はイアンに向けているのだろう。そしてそれが、彼女を守り、成長させる力になる。
「これで、俺も少し安心して見守れるな。」
ユーゴは独り言を漏らしながら、穏やかな笑みを浮かべた。
ユーゴは再びアリアとイアンを見る。イアンが回復すれば、二人はまた旅に出るだろう。その行き先は、嘆きの沼――危険な場所であることは間違いない。
(だが、あいつらならきっと乗り越える。信じて送り出すだけだ。)
そう心に決め、ユーゴは朝の静けさの中、ギルドホールを後にした。
イアンの寝顔を見守るアリアの表情には、疲れと安堵が入り混じっている。ユーゴはその様子を見て、心の中で小さく息をついた。
(ようやく、少し落ち着いたか。)
ユーゴはアリアがまだ幼かった頃のことを思い出していた。
あの日、彼女の両親がギルドの要請で街を守る戦いに出向き、帰らぬ人となった。アリアがまだ10歳だった頃のことだ。
それまで元気だったアリアは、その日を境に一変した。涙を見せることは少なかったが、その代わりに、彼女は異常なほど「自分でやらなきゃ」という思いに駆られるようになった。
(両親を信じて待っていた。それでも帰ってこなかった。――だから、彼女は“信じる”ことが怖かったんだろう。)
ユーゴはそう分析していた。アリアの無茶な行動には、常に「誰かに任せたら大切なものを失うかもしれない」という恐れが見え隠れしていた。
だが、最近の彼女には変化があった。それは、イアンと旅をするようになってからのことだ。
(信じることを少しずつ思い出したのかもしれないな。)
イアンが重傷を負ったこの数日間、アリアがどれほど自分を責めたかをユーゴは知っている。しかし、その涙と悔しさを経て、彼女は「一人で全てを抱え込む」のではなく、「イアンと共に生き抜く」覚悟を見せ始めていた。
(アリアはもう、一人で戦うだけの子供じゃない。誰かと一緒に戦うことを選べるようになった。)
彼女の変化に気づいたユーゴは、少しだけ肩の力を抜いた。
しばらくすると、アリアが目を覚ましたらしく、椅子の上で小さく伸びをした。そして、ベッドのイアンに視線を向けると、疲れた顔に少し微笑みが浮かんだ。
「……やっと、無茶しなくなりそうだな。」
ユーゴは小さく呟いた。
アリアの無茶は、彼女が両親を失ったことから生まれた「恐れ」と「覚悟」の裏返しだった。だが、イアンとの旅を通じて、彼女はその恐れを少しずつ克服し始めている。
(今のアリアなら、自分と他人を信じて進めるはずだ。)
ユーゴは書類を片付け、そっと立ち上がった。
ギルドの窓から差し込む朝の光を見ながら、ユーゴは心の中で呟く。
(両親のように無茶をして命を落とすのではないか――そんな不安を抱いていたのも、これで少しは解消されたかもしれない。)
アリアが抱えていたものは、イアンとの旅で確実に変化しつつある。かつて彼女が両親に抱いた信頼を、今はイアンに向けているのだろう。そしてそれが、彼女を守り、成長させる力になる。
「これで、俺も少し安心して見守れるな。」
ユーゴは独り言を漏らしながら、穏やかな笑みを浮かべた。
ユーゴは再びアリアとイアンを見る。イアンが回復すれば、二人はまた旅に出るだろう。その行き先は、嘆きの沼――危険な場所であることは間違いない。
(だが、あいつらならきっと乗り越える。信じて送り出すだけだ。)
そう心に決め、ユーゴは朝の静けさの中、ギルドホールを後にした。
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