聖女として召還されたのにフェンリルをテイムしたら追放されましたー腹いせに快適すぎる森に引きこもって我慢していた事色々好き放題してやります!

ふぃえま

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村長は聖女の来訪を待ちわびる

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「どうやら、隣の国の聖女が来るのは本当らしいぞ」
今日の分の農作業が終わり、気の知れた2人とチビチビと酒を交わしていると、一人の男が言った。
「今年は多めにすっとぼけねえとやってらんねぇからな。聖女様が来て、ぱあっと実りを良くしてくれりゃあいいけどよ」
確かに聖女様が来る年はいつも豊作になる。
ただ、今年はそうなるかどうか。

「ただ今回はなぁ」
そう、うちの聖女様がにせもんだったとか言って追放されてるんだ。
どうせお貴族様の気まぐれなんだろうが、こっちにゃたまったもんじゃない。

「うちの村はひどい有様だからなぁ。村長としては頑張るしかないんだけどよ」

このところ植えたものが次々にダメになっていく。
水が良くないのか、土が良くないのか、今年の種が良くないのか。

それとも、聖女様を追放した天罰か。

今思い出すだけでも、家の地下の倉庫に入れてある麦で村全体を賄うのは断然無理な話だ。

「その聖女様も可愛そうだが、まあ違う聖女様だからな。ここはパッとやってもらえるように神さんにお祈りすればいいんよ。ほれ、そんな辛気臭い顔すんな」
2人は俺が村の収穫を密かに気に病んでいるのを知っている。
だからこの二人の前では隠さない。
「ほれ、最後の一杯だ。ぐいっといけ、ぐいっと。やなもんは後で考えればいい」
「そうだな」

注がれた酒はカップに半分もない。
酒で喉の焼けるような熱さは、そのまま聖女の救いを渇望する心のようだった。
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