聖女として召還されたのにフェンリルをテイムしたら追放されましたー腹いせに快適すぎる森に引きこもって我慢していた事色々好き放題してやります!

ふぃえま

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聖女の祈りとは

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「ところで、聖女の祈りの効果って詳しいこと知ってる?まだ教えてなかった気がするけど」

あと2日でアルテ帝国へとお披露目に行くという日のお茶会。
まるで明日は雨だよ、というようなノリでアベルが聞いてきた。

「そういえばなにも知らない気がする……向こうで聞いたのは、精霊様を召喚できるってだけだったし」

あー、そうねとアベルが頭を掻く。
ただそれだけなのに、ホントに絵になりますね。

「実はこっちの聖女、つまり今回の魔公国の聖女の祈りは少し特殊なんだ。自国の為に祈るわけじゃないからね」

どうやら魔公国の聖女は伝統的に、その力を知らしめるために就任後一度だけアルテ帝国に行って聖女の祈りをするんだけど、これには面白い特性があると教えてくれた。

「まず、聖女の祈りは均等に降り注ぐけど、その効力は人によって発揮される度合いが違う。
信仰心が篤いほど効力は発揮されやすいと言われているけど、まあそこは明らかにはなってない」
「なんだか薬の効き具合みたい」

そう言えばバファリンとか説明書で2錠なのに1錠で十分な子とかいたっけ。
そんな感じかな。なんか違うか。

「それから、聖女に憎しみをもっている場合は祈りは呪いに変換される例が報告されてる。
これは因果関係は不明とされているけど、まあ聖女の祈りは広義の聖魔法・光属性のものとされているから、それが反転して作用したんじゃないかって言われてる。
聖女に侮辱的行為を行ったものには強力な呪いとして付与される例が報告されているくらいだしね」

「へ、へえぇ……」

なんかさらっと言われたけど、結構物騒なところあるな、聖女の祈り。
ん、ってことはもしかして

「そ、正解。君はただ祈るだけで善良な人々には感謝され、嫌なことをしてきたやつには天罰という形で自然に仕返しが出来る。最高の舞台じゃない?」


あ~、アベル悪い顔!最高!

詳しいことは聞いていないけど、私がアルテ帝国追放されてから農作物がいきなり立ち枯れし始めたり、家畜が不審死することが増えているらしい。
それでもまだそれは末端だけで、上の方のお貴族たちおバカさんは慈善パーティーとか道楽にふけっているとか。
救いようのない連中だな。

そう言えば。

「その祈りって、荒れた畑とかも効果があったりするの?」
「まあ、君が願えばあると思うよ」

じゃあ、とりあえずはその祈りで私にまたヘイトが向かいそうなことはないんだね。
まあ、そもそも私の祈りの前から立ち枯れてんのに私に責任とかもおかしいけどさ。
でもまあそういうクレーマーもいるからね。
方便があるならそれに越したことは無い。
大体が自業自得で済みそうならもう思いっきりやってやろう。

「私、召喚の時はそれっぽくしてただけなんだけど、今回のは練習しなくていいの?」

ガチれるなら最大限の仕返しをしたいですアベル様。

「んー、召喚がそれっぽくやってただけでできたんなら特に練習はいらないかな。
お祈りの時にどうなったらいいなみたいなのをぼんやりでも考えればそれで大丈夫。
なんとなくで召喚できるならリリィの力、すごそうだからね」

普通なんとなくで召喚なんてできないよ、と笑っているアベルはすごい楽しそうだった。
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