キング・オブ・アウト ~半分が裏社会に呑み込まれた世界で法則の力『則』と法則のを超えた力『則獣』を駆使してマフィアの頂点を目指す!!

NEOki

文字の大きさ
34 / 120

第34話 万象共鳴モード

しおりを挟む
「グガッ、、、ン!!」



 ベアトリーチェは突如目の前に現われたルチアーノに反応する事が出来ず、無造作に振り下ろされた斬撃を正面から受けてしまう。

 そして保険として纏っていたマイナスエネルギーの鎧を貫通され、エネルギーの刃に胸を斬り裂かれ手仕舞ったのだ。

 一瞬ダメージと衝撃によって膝を突きそうに成ったが、プライドが身体を支えて踏み留る。



「ハア、ハア、、、貴様ァその姿はッ!!」



 ルチアーノの全身をエネルギーに覆われて髪が僅かに逆立ち、七色の雷光が煌めいている姿に嘗ての屈辱が蘇る。

 10年前に起きたレヴィアスとグレイズの戦争でベアトリーチェが敗れたのも、この状態のルチアーノであった。



「またか、また私を見下して哀れむつもりかッ! ふざけるなぁぁぁぁッ!!」



 ベアトリーチェは再び自らを中心として絶対零度の空間を生み出した。

 しかし今回は拡散して辺り一帯のエネルギーを奪って時間を止めるのでは無く、みるみる内にマイナスエネルギーが圧縮されてベアトリーチェの身体だけを包み込む。

 そしてルチアーノが一度貫いたモノを遙かに上回るマイナスエネルギーの鎧を生み出したのだった。



(お前も待ってただけの十年間じゃ無かったって訳かベアトリーチェ!! マイナスエネルギーを纏って自分の周辺だけを疑似時間停止状態にする寸法、、、良いぜッ其れすらも貫く加速で正面から叩き潰してやる!!)



 ルチアーノはベアトリーチェが自分を殺す為に今までどれ程の努力を積んできたのかを感じ取り、その覚悟と積み重ねた日々への敬意として正面からぶつかる事を覚悟する。



「私の力の前に跪けッ、ルチアーノォォッ!!」



「跪かせたいなら力で無理矢理俺を支配してみろ。其れが俺達マフィアのルールだろうがッ!!」



「言われるまでも無いッ! 元よりそのつもりだ!!」



 ベアトリーチェは強力過ぎるマイナスエネルギーによって身体周辺の大気が凍結し、その姿は美しい純白の羽衣を纏った天女の様。

 そしてそのマイナスエネルギーを腕から伝わせて剣を覆い、高速で回転させ竜巻を生み出しルチアーノに叩き付けた。

 その凍て付く竜巻をルチアーノは先程ベアトリスの胸を切り裂いた斬撃で迎え撃つ。



 正反対のエネルギーを纏った二つの斬撃は互いに打ち消し合い、二人同時に衝撃で吹飛ばされた。



(力業じゃ拮抗か、ならそれ以外の要素で圧倒するのみッ!!)



 ルチアーノは正面からの打ち合いに見切りを付け、体勢を立て直すと同時に右手のみに集中させていたエネルギーを両足に流し込み急加速。

 殆ど瞬間移動の様な速度でベアトリーチェの背後に回り込んだ。



 しかしベアトリーチェもその動きを予測していたかの様に回転切りで迎え撃つ。

 回転切りと、ルチアーノが高速移動によって発生したエネルギーを利用し蹴りから放った斬撃が衝突。

 そして再び互いに吹飛ばされたが、ルチアーノは其れを予測して即座に体勢を立て直し、第二・第三の攻撃を打ち込んでいく。



 そしてこの流れが7度続いた後、徐々に雲行きが変わり始めた。

 最初の頃はルチアーノの高速連撃に並外れたバトルセンスと獣並の危機察知能力によって対応してきたベアトリーチェの体勢だったが、急に大きく崩れ始めたのだ。



 ルチアーノとベアトリーチェは純粋な攻撃力で言えば互角。

 しかしスピードと肉体のコントロールではルチアーノが圧倒しており、手数を重ねる内にそのスピードの差による溝は加速度的に増幅していった。



 ルチアーノは閃光の如くヒットアンドアウェイを繰り返し、次第にベアトリーチェは殴り返す事も困難になり始める。

 そして遂にルチアーノの斬撃がベアトリーチェの身体を捉えた。



(昔戦った時に比べて随分成長してたじゃねえか、嬢ちゃん。だが前回俺に力業でねじ伏せられた事が印象に残りすぎて、攻撃と防御に努力値を振り分け過ぎだぜッ!!)



 ルチアーノは此処で更に速度を上げ、ベアトリーチェに四方八方から地面を抉る程の威力が籠もった斬撃を浴びせかける。

 超音速で浴びせかけられる斬撃をマイナスエネルギーの鎧が相殺するが、一秒間で70発もの斬撃を叩き込まれ、凄まじい速度で削り取られていく。



「グ、ゾォ、、、ッ!!」



 碌な抵抗も敵わず一方的に攻撃を叩き込まれ続けたベアトリーチェは、遂にダメージを堪えきれなくなり膝を突いた。

 纏っていた羽衣の様なマイナスエネルギーの鎧も消えかけ、耐久力が著しく低下している。



(崩したッ今なら殺れる)



 ルチアーノは今のベアトリーチェであれば攻撃が通ると判断し、足に流していたエネルギーを両手に移して攻撃に全てのステータスを注ぎ込む。

 右手・左手共に七色の輝きを放ち、漏れ出たエネルギーがイナズマを発生させ空間を歪める。

 そしてベアトリーチェに手平を見せる様に反らせた両手をX字に重ね合わせ、二つのエネルギーを連結させた。



「『クサナギ・双刃十文字』」



 万象共鳴モードによって底上げされたエネルギーを全て絞り出し、『クサナギ』を二つ重ねて威力を数段跳ね上げた斬撃を叩き込もうとした寸前、意識の外側から攻撃が放たれる。

 突如攻撃の為に集めたエネルギーが防御に回され、決着の一撃となる筈だった攻撃はエネルギーが足りず中断させられたのだ。

 その攻撃とは、落雷。



「ガハッ、、、!?」



 ルチアーノは完全に不意を突かれ、落雷を回避できず直撃を受けてしまった。

 溜め込んでいたエネルギーをゴッソリと持って行かれ、今度はルチアーノが膝を突き攻撃の手が止まってしまったのである。



(何だ今の落雷ッ!? 則をコントロールして落雷を発生させたなら、周辺の則の乱れを感知して予め対処する事が出来る。だが則は全く動かされてねぇ、つまり自然産の雷が運悪く俺の真上に降ってきたって事になる、、、)



 想定外の攻撃を受けて揺らぐメンタルを何とか立て直し、高速で頭を回して今の攻撃のカラクリを解き明かそうとする。

 タネの分かった攻撃なら予め対策できるが、正体不明で予測不能の落雷は明確な脅威だ。



 則によって熱エネルギーや大気の運動を変えれば落雷を発生させる事は可能。

 だが其れであれば則をコントロールする事に成るので確実にルチアーノの感知に引っ掛かり、予め対策して防ぐ事が出来る。

 しかし今回は人為的な則への干渉は全く感じ取れていない。



(だがあのベストタイミングで? 其れも前々から落雷の音が聞こえていた訳でも無く、突然俺の頭上にピンポイントで降ってくる訳が無い!! となると体外の『則』を利用せず発動出来る力、、、いや能力ッ!! つまり何処かから放たれた『則獣』の能力か!!)



 ルチアーノは落雷によるダメージと不意打ちを喰らった事に対する衝撃で荒れに荒れている脳内を使い、何と限りなく正解に近い推理を叩き出した。



 しかし其れを喜んでいる暇は無い。

 何故なら決定打を邪魔された事によりベアトリーチェを殺す為のプランが破綻し、予定通りなら死んでいた筈のベアトリーチェが未だ生きているのだ。

 そして今正にルチアーノが死力を尽くして稼いだダメージから回復しようとしている。



(クソッ、、、正体不明の則獣への対処は一先ず後回しだ! 今は何を差し置いても此処でッ、ベアトリーチェを戦闘不能に追い込む!!)



 ルチアーノは全身の防御を解いて右腕に流し込み、なけなしのエネルギーを全て注ぎ込んだ『クサナギ』を放とうと腕を振り上げた。



 頭数の差は時間経過と共に重くのし掛かってくる。

 今の段階で恐らく敵方の最強駒であるベアトリーチェを落として置かなければ、戦いの流れを一気に変えられる危険性がある。



「ウオォォッ!! 『クサナッ、、、、」



 ルチアーノはベアトリーチェが体勢を立て直す寸前に滑り込み、文字通り魂を込めた斬撃を振り下ろそうとした。

 しかし突如、防御を完全に解いてノーガードに成っていた腹部を突き上げる様な衝撃が走る。



「グガアァッ!!」



 ルチアーノは内臓を押し潰される最低最悪の感触を自分の腹部に覚え、醜い嗚咽を残して蹴り飛ばされる。

 そしてルチアーノが後方の建物に直撃し、瓦礫の下に埋まる光景を蹴り飛ばした張本人は満足げに眺めながら何度も頷く。



「ボールは友達! 怖く無いよッ!!」



 ルチアーノに見事な不意打ちを決めた男、『無限のピエロ』チャムラップは嬉しそうに狂言を吐いたのだった。

しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜

深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。 処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。 なぜなら彼女は―― 前世で“トップインフルエンサー”だったから。 処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。 空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。 タイトルは―― 『断罪なう』。 王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。 すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、 国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。 そして宣言される、前代未聞のルール。 支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。 処刑台は舞台へ。 断罪はエンタメへ。 悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。 これは、 処刑されるはずだった悪役令嬢が、 “ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。 支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、 それとも――自由か。

[完結] 邪魔をするなら潰すわよ?

シマ
ファンタジー
私はギルドが運営する治療院で働く治療師の一人、名前はルーシー。 クエストで大怪我したハンター達の治療に毎日、忙しい。そんなある日、騎士の格好をした一人の男が運び込まれた。 貴族のお偉いさんを魔物から護った騎士団の団長さんらしいけど、その場に置いていかれたの?でも、この傷は魔物にヤられたモノじゃないわよ? 魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。 ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。 私の生活を邪魔をするなら潰すわよ? 1月5日 誤字脱字修正 54話 ★━戦闘シーンや猟奇的発言あり 流血シーンあり。 魔法・魔物あり。 ざぁま薄め。 恋愛要素あり。

【完結】物置小屋の魔法使いの娘~父の再婚相手と義妹に家を追い出され、婚約者には捨てられた。でも、私は……

buchi
恋愛
大公爵家の父が再婚して新しくやって来たのは、義母と義妹。当たり前のようにダーナの部屋を取り上げ、義妹のマチルダのものに。そして社交界への出入りを禁止し、館の隣の物置小屋に移動するよう命じた。ダーナは亡くなった母の血を受け継いで魔法が使えた。これまでは使う必要がなかった。だけど、汚い小屋に閉じ込められた時は、使用人がいるので自粛していた魔法力を存分に使った。魔法力のことは、母と母と同じ国から嫁いできた王妃様だけが知る秘密だった。 みすぼらしい物置小屋はパラダイスに。だけど、ある晩、王太子殿下のフィルがダーナを心配になってやって来て……

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

辺境貴族ののんびり三男は魔道具作って自由に暮らします

雪月夜狐
ファンタジー
書籍化決定しました! (書籍化にあわせて、タイトルが変更になりました。旧題は『辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~』です) 壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。 辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。 しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

追放された味噌カス第7王子の異種族たちと,のんびり辺境地開発

ハーフのクロエ
ファンタジー
 アテナ王国の末っ子の第7王子に産まれたルーファスは魔力が0で無能者と言われ、大陸の妖精族や亜人やモンスターの多い大陸から離れた無人島に追放される。だが前世は万能スキル持ちで魔王を倒し英雄と呼ばれていたのを隠し生まれ変わってスローライフを送る為に無能者を装っていたのだ。そんなルーファスはスローライフを送るつもりが、無人島には人間族以外の種族の独自に進化した先住民がおり、周りの人たちが勝手に動いて気が付けば豊かで平和な強国を起こしていく物語です。

処理中です...