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第70話 作戦
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「アイツで間違い無いか、ディルク?」
「ええ、その気が無くても一度見たら忘れない顔ですからね。見間違う筈がありませんよッ」
「確かにな……」
ディーノはディルクは他のメンバーから独立して行動し、ターゲットの監視と見極めを行っていた。
地下ではマルクが年長者達に指示を出して所定の場所に配置させている。
作戦はこうだ。
ディーノ達はどんな相手が来ても確実に自分達が勝っている要素、地の利を最大限に生かして誘拐を実行する事を決めた。
この街の寂れ具合には不満しか無いが、今回は其れを利用する。
街に外部から来た人間が行きそうな場所は全て中心部の一部地域に密集しており、移動先を予想しやすいのだ。
予め目星を付けていた人気が無く、マンホールの配置が絶妙なポイントに事前に仲間を配置させておく。
そしてターゲットがそのポイントに入った瞬間、挟み込む様に通路を塞ぎながら襲い掛かり拘束して地下に運び込む。
もし助けを呼ばれたとしても、複雑で迷宮のような地下に引きずり込めば知識の無い人間が助け出す事は不可能に近い。
身代金を支払う以外助ける方法は無いのだ。
「それよりディーノさん。どうです、あの男は? やれそうですか??」
「ちょっと待て、今見ている……」
デディーノは物陰から顔を出し、ホテルから出て来たターゲットを凝視する。
今回の作戦には一つだけ失敗する要素があった、其れは自分が達総出で襲い掛かっても拘束する事が不可能な程ターゲットが強い場合。
相手がどんな武器を携帯していようとも、圧倒的な人数差と不意打ちによって簡単に拘束する事は可能である。
しかし世の中には、特にマフィアの中には特殊な力を使い、不意打ちが効かず、一人でメンバー全員を打ち負かす程の怪力を発揮する者が存在するのだ。
ディーノ達は嘗て、その特殊な力を持つ人間に手痛い仕返しを喰らった事があった。
しかし其処で訳に立つのがディーノの目に備わっている能力である。
原因も原理も全く不明だが、ディーノの目にはその特殊な力を操る人間の周りに色取り取りの光の玉が浮かんで見えるのだ。
ディーノは神様が自分に嫌がらせで与えた能力であると考え、『負け犬の呪い』と呼んでいる。
その能力を利用し、極力危険な人間には接触しない様にして仲間達は生き延びてきた。
今回もそれは同じであり、ターゲットがどれだけ金持ちであっても特殊な力を持っていれば太刀打ち出来ないので即撤退である。
「……大丈夫そうだ。唯の顔が厳ついだけのオッサンだ、ビビる必要は無い」
「そうですか、良かったッ」
今回のターゲットは入念に確認したが、光の玉は一つも確認出来なかった。
ディーノから太鼓判を押されてディルクは胸を撫で降ろす。
そして数年前に自警団のアジトに侵入して盗み出したトランシーバを点けて、地下に居るマルクに連絡した。
「こちら地上、こちら地上。問題無い、予定通り決行する。ターゲットはコースAで移動中」
『了解、こちらも所定の位置の付いた。何時でも行けるッ』
「了解」
マルクとの連絡を終えたディルクがアイコンタクトでディーノに全てが順調であると伝える。
そう、全てが順調であった。気味が悪い程に。
幾つか用意していたプランの中で最も都合が良いルートを、引き剥がされず尾行するのに最適なスピードでターゲットは進んでいる。
何も問題は無い、にも関わらずディーノは形容しがたい胸騒ぎを覚えていた。
(何だこの嫌な感じは……今まで幾つもの修羅場を超えてきたがこんな気味の悪い感じは初めてだ。ビビってるとかそういう問題じゃない、今すぐ逃げないと何か飛んでも無い事が起きる気がするッ!)
ディーノはこの時点で逃げ出したくて仕方ないという衝動に駆られた。
普段の食糧集めや、小銭稼ぎであれば間違い無く逃げて別のターゲットを探しただろう。
しかし今回はこの作戦の結果に幼い子供達の命が掛っており、逃げ出す事は即ちその子達を見捨てるという事になる。
だから決して逃げる事は許されないのだ。
ディーノは必死に大切な仕事だから少しビビっているだけであると自分を納得させる。
そして等々、襲撃ポイントがある通りに差し掛かった。
ターゲットは迷い無く過度を曲がり、襲撃ポイントへ一直線に進んでいく。
「良いなディルク、道の中央まで到達したら一斉に襲い掛かっている拘束するんだぞ。その後は速やかにマンホールから地下に運び込むッ」
自分に言い聞かせる意味も含めてディーノは言った。
そしてディルクも真剣で若干引き吊った顔で頷く。
ディーノは完璧なタイミングで襲い掛かるため顔を出し、ターゲットの背中を凝視してその時を待つ。
しかし襲撃ポイントの直前でターゲットは突然足を止めた。
それからゆっくりと首を回し、ディーノの方向に顔を向けて背筋の凍る様なニイッという笑顔を作る。
次の瞬間、今まで見たことも無い量の光の玉が男を中心として溢れ出し視界の全てが七色で埋まったのだった。
「ええ、その気が無くても一度見たら忘れない顔ですからね。見間違う筈がありませんよッ」
「確かにな……」
ディーノはディルクは他のメンバーから独立して行動し、ターゲットの監視と見極めを行っていた。
地下ではマルクが年長者達に指示を出して所定の場所に配置させている。
作戦はこうだ。
ディーノ達はどんな相手が来ても確実に自分達が勝っている要素、地の利を最大限に生かして誘拐を実行する事を決めた。
この街の寂れ具合には不満しか無いが、今回は其れを利用する。
街に外部から来た人間が行きそうな場所は全て中心部の一部地域に密集しており、移動先を予想しやすいのだ。
予め目星を付けていた人気が無く、マンホールの配置が絶妙なポイントに事前に仲間を配置させておく。
そしてターゲットがそのポイントに入った瞬間、挟み込む様に通路を塞ぎながら襲い掛かり拘束して地下に運び込む。
もし助けを呼ばれたとしても、複雑で迷宮のような地下に引きずり込めば知識の無い人間が助け出す事は不可能に近い。
身代金を支払う以外助ける方法は無いのだ。
「それよりディーノさん。どうです、あの男は? やれそうですか??」
「ちょっと待て、今見ている……」
デディーノは物陰から顔を出し、ホテルから出て来たターゲットを凝視する。
今回の作戦には一つだけ失敗する要素があった、其れは自分が達総出で襲い掛かっても拘束する事が不可能な程ターゲットが強い場合。
相手がどんな武器を携帯していようとも、圧倒的な人数差と不意打ちによって簡単に拘束する事は可能である。
しかし世の中には、特にマフィアの中には特殊な力を使い、不意打ちが効かず、一人でメンバー全員を打ち負かす程の怪力を発揮する者が存在するのだ。
ディーノ達は嘗て、その特殊な力を持つ人間に手痛い仕返しを喰らった事があった。
しかし其処で訳に立つのがディーノの目に備わっている能力である。
原因も原理も全く不明だが、ディーノの目にはその特殊な力を操る人間の周りに色取り取りの光の玉が浮かんで見えるのだ。
ディーノは神様が自分に嫌がらせで与えた能力であると考え、『負け犬の呪い』と呼んでいる。
その能力を利用し、極力危険な人間には接触しない様にして仲間達は生き延びてきた。
今回もそれは同じであり、ターゲットがどれだけ金持ちであっても特殊な力を持っていれば太刀打ち出来ないので即撤退である。
「……大丈夫そうだ。唯の顔が厳ついだけのオッサンだ、ビビる必要は無い」
「そうですか、良かったッ」
今回のターゲットは入念に確認したが、光の玉は一つも確認出来なかった。
ディーノから太鼓判を押されてディルクは胸を撫で降ろす。
そして数年前に自警団のアジトに侵入して盗み出したトランシーバを点けて、地下に居るマルクに連絡した。
「こちら地上、こちら地上。問題無い、予定通り決行する。ターゲットはコースAで移動中」
『了解、こちらも所定の位置の付いた。何時でも行けるッ』
「了解」
マルクとの連絡を終えたディルクがアイコンタクトでディーノに全てが順調であると伝える。
そう、全てが順調であった。気味が悪い程に。
幾つか用意していたプランの中で最も都合が良いルートを、引き剥がされず尾行するのに最適なスピードでターゲットは進んでいる。
何も問題は無い、にも関わらずディーノは形容しがたい胸騒ぎを覚えていた。
(何だこの嫌な感じは……今まで幾つもの修羅場を超えてきたがこんな気味の悪い感じは初めてだ。ビビってるとかそういう問題じゃない、今すぐ逃げないと何か飛んでも無い事が起きる気がするッ!)
ディーノはこの時点で逃げ出したくて仕方ないという衝動に駆られた。
普段の食糧集めや、小銭稼ぎであれば間違い無く逃げて別のターゲットを探しただろう。
しかし今回はこの作戦の結果に幼い子供達の命が掛っており、逃げ出す事は即ちその子達を見捨てるという事になる。
だから決して逃げる事は許されないのだ。
ディーノは必死に大切な仕事だから少しビビっているだけであると自分を納得させる。
そして等々、襲撃ポイントがある通りに差し掛かった。
ターゲットは迷い無く過度を曲がり、襲撃ポイントへ一直線に進んでいく。
「良いなディルク、道の中央まで到達したら一斉に襲い掛かっている拘束するんだぞ。その後は速やかにマンホールから地下に運び込むッ」
自分に言い聞かせる意味も含めてディーノは言った。
そしてディルクも真剣で若干引き吊った顔で頷く。
ディーノは完璧なタイミングで襲い掛かるため顔を出し、ターゲットの背中を凝視してその時を待つ。
しかし襲撃ポイントの直前でターゲットは突然足を止めた。
それからゆっくりと首を回し、ディーノの方向に顔を向けて背筋の凍る様なニイッという笑顔を作る。
次の瞬間、今まで見たことも無い量の光の玉が男を中心として溢れ出し視界の全てが七色で埋まったのだった。
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